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番外編XI.レヴェッカ・ドフェルは転生者 前編

アイシェの元側近、レヴェッカ視点です。

 キードゥル82年10月


(あぁ、やっと! やっと、ハッピーエンド! ちゃんと、ここから()()()()が幸せになるのを見れるんだ。うん、とっても楽しみっ)


 わたくし、レヴェッカ・ドフェルはそう思って微笑んだ。というよりかは、嬉しすぎて、口角が上がるのを止められなかった、という方が正しい。


 わたしには、前世の記憶がある。日本での記憶だ。

 ここは乙女ゲームの世界。主人公はもちろん、マリナ・ドティフ・エミリエール様。あんなに愛らしい方がいるなんて、この世界は素晴らしいと思う。


 乙女ゲームの世界とはいっても、本来のゲームとは結構違う。マリナ様に恋に落ちる役として出てくるはずだった、文官様や騎士様がいない。存在はしていたけれど、マリナ様とは関わることすらなかった。それに、起こるはずだったイベントなど皆無。


(最初はおかしいと思ったけど)


 わたしは、記憶持ちの転生者。だけど、かなり記憶は薄れてきている。家族とか、友達の名前も正直思い出せないし。乙女ゲームに関しては、ヒロインが金髪で〈聖女〉って呼ばれていたことだけかな。まぁ、そんなのマリナ様以外にあり得ないけど! あとはまぁ、攻略対象の特徴くらい。


 まぁ、最終的にハッピーエンドを迎えたのだから、それでいいわ。


 ちなみに、ハッピーエンドを迎えるには試練があった。

 聞きたい? 聞きたいわよね。教えてあげる。


 アイシェの妨害だ。アイシェはよくマリナ様に近づいてきた。マリナ様が嫌がっていることにすら気がついていなかったのだ。察しが悪い。


 そして、フェルーネも同じだ。フェルーネはアイシェより貴族らしい。アイシェのように汚点がない分、気が強くて、ズケズケとマリナ様を注意する。平民だったのだから、仕方ないじゃない! マリナ様が傷ついていることにすら気がついていなかった。そんなことも理解していないんだから。


 まぁ、そんなアイシェとフェルーネを処刑するのがハッピーエンド、だと思う。

 ちなみに、今月の初旬に、トール様とマリナ様の婚約が決まった。邪魔者(アイシェとフェルーネ)がいなくなって、マリナ様のストレスも軽減されたのだろう。


 マリナ様もトール様も幸せそうだ。それをわたしは間近で見られるのよ! 幸せでしょう?


 それから、わたしはマリナ様の側近になったの。アイシェの側近なんて、なんでやってたのかしらね? ってくらい幸せだわ。だって、大好きな推し様に仕えられるんだもの。これ以上の幸せはないでしょ?


 そんなある日、わたしはマリナ様に呼び出された。兄のルードルフと一緒に。ルードルフはマリナ様の側近だ。わたしがアイシェなどに仕えていた間も、マリナ様に仕えていたのだ。本当にずるい。寡黙な男で、兄弟仲はそこまで良くない。


「ごきげんよう、ルードルフ、レヴェッカ」


 そう言って、わたしたちを出迎えてくださるマリナ様。ニコリと微笑んでいる姿はまるで女神様のようだ。先日、殺人されかけたとは思えないほど。


(今日もお可愛らしい!)


「今日は二人にお話がありますの。他は人払いを」


 マリナ様がニコリと笑ってそう言うと、側近たちは部屋を出ていく。


(何のお話だろ?)


「ルードルフ、レヴェッカ。わたくしに、生涯仕えること、誓っていただけますか?」


 わたしは一瞬、何を言われたか分からなかった。ゆっくりと時間をかけて理解する。


「当然ですわ! マリナ様に生涯仕えるだなんて、光栄の極みですもの」

「私を望んでくださるのなら、いつまでも」


 わたしとルードルフの言葉にマリナ様はゆったり笑みを浮かべた。


「では、主の盟約を結んでいただけますか?」


(主の盟約?)


 わたしがキョトンとした顔をすると、マリナ様は頷く。


「レヴェッカは知りませんでしたか。ご存じない方も多いようですから、当然でしょうね。主の盟約というのは、主に命をかけて忠誠を誓うことです。忠誠を捧げた場合、主が死ぬと死にますし、主に命を握られることになります」


(命を捧げる、か。別にいいんじゃないかなぁ、マリナ様が望むなら。マリナ様がわたしを殺すことなんてないだろうし、アイシェがいなくなった今、危険もないでしょ)


「マリナ様のお望みであれば、喜んで」

「……私も」


 わたしの言葉に、ルードルフが同調する。真似しないでよね。マリナ様の前だから言わないけど。


「では。結んだ暁には、わたくしの秘密を教えてあげますね」


 そう言ったマリナ様のお顔は、十三歳とは思えないほど、大人びた艶やかな笑みだった。



 ◇◆◇



 主の盟約を結んだその日。

 正直、結んでしまった後は何ともないけど、結んでいる最中がかなり苦しかった。


「それでは、もういいですか?」


 マリナ様がそう言う――何も起こらない。戸惑ってマリナ様を見ると、ゆったりとわたしたちの後ろを指差した。


 後ろを振り向く。


(な、なんでっ!? どうやって入ってきたの!?)

乙女ゲームだった設定ですが、今後にはほぼ影響しません。

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