表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
育成スキルはもういらないと勇者パーティを解雇されたので、退職金がわりにもらった【領地】を強くしてみる   作者: 黒おーじ
《第20章》 幸せな時

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
190/191

第155話 気になります!


 ――女神の瞳。


 自分で書いたらしいノートを読んでいると、何度もこのワードが出てきた。


 どうやら文脈的に、職性と呼ばれる、人がどんなジョブに最も適しているかを見抜く育成スキルらしい。


 とんでもないスキルだな。


 そりゃあ対象がどのジョブに向いているのかわかれば、その育成はほぼ成功したようなもんだろう。


 例えば、この女鍛冶の職性は『伝説の鍛冶』だって。


 鍛冶はわかるけど、伝説のってのがちょっと意味わからん……


 まあ、すごい才能ってことだろう。


「リヴさん。キミには引き続き艦の改良をお願いする形でどうかな。前の俺もそう言っていたんだろ?」


「うん。そういう話だった。アンタ……記憶喪失なのにそこらへん全部わかっているんだねえ?」


「勉強したからな」


「……そうかい」


 リヴさんは頭をガシガシとかくと、ため息をついて言った。


「まあ、艦の改良に再着手したいのは山々だけど、一つ問題があるね」


「問題?」


「ああ。素材が足りていないんだ」


「ええと、鉄とかヒヒイロカネとか?」


 資料を見ながら、そう尋ねる。


「ヒヒイロカネはアキラたちが集中して採掘しているところだよ。鉄も大丈夫」


「じゃあ何が足りないんだ?」


「レア魔石さ」


 それも確か領内から産出するはずだ。


 ノートに、『掘削者のアキラが領地全体の地質調査を行った際、レア魔石の赤と青の埋蔵が確認された』って書いてあった。


「旦那……」


 そこでガルシアが言う。


「確かにレア魔石は領内からも産出されるッス。でも、その種類と量が十分ではないってことだと思うッスよ」


 どういうこと?


「ウチで産出する魔鉱石はわかるッスか?」


「ああ、魔力を生じる鉱石だよね」


 ノートに載ってた。


「一方でレア魔石は、それ自身は魔力を生じないけれど、魔力の性質やベクトルを変えるアイテムなんスよ」


「なるほど、そういう違いがあるのか……」


 これはノートに書いてなかった。


 さては記憶を失う前の俺もちゃんと理解していなかったな。


「そう。だから魔動機器のシステムを組むのには、色々な種類のレア魔石を組み合わせなきゃいけないのさ」


 リヴさんが髪をかき上げて続ける。


「ウチらの領地で採れるレア魔石は赤と青だけだけど、他にも緑、黄色、紫、そして銀と金とかがある。足りないレア魔石は、ガルシア君のツテで新港から輸入してきたみたいなんだけどねえ」


 そのガルシアを見ると、彼はため息をついて言った。


「面目ないッス。でも、リヴさんの作る魔動機器がどんどん高度で複雑になっているんスよ。とりわけ艦のグレードアップを始めた頃にウナギのぼりって感じッスね。そりゃスゲーし、イイコトっスけど、同時に使われるレア魔石の種類と量もどんどん増えてきてるってわけッス」


「それで不足してるってことか」


「ええ。特にレア魔石の金と銀が足りないッス」


「そうだねえ。輸入も、欲しけりゃ欲しいだけ買えるってもんじゃない。ガルシア君はよくそろえてくれているけど、こればっかりは仕方ないさ。さすがに最近のレア魔石の消費量が半端ないのは自覚してるから」


「じゃあ……艦のグレードアップはレア魔石の輸入のスピードに合わせてやっていくって感じか?」


「そうだね」


「善処するっス~」


 そう言ってガルシアは出ていった。


 大変な役目だが、彼の職性はばっちり『商人』と見えるので、なんとかしてくれるだろう。


「じゃあ、アタシも工房へ戻ろうかねえ。明日もまた来るよ。アンタの記憶喪失が心配だし」


「助かる。絆が深かった相手と話した方が記憶も戻るんじゃないかって思うしね」


「絆が深……そ、そうだね」


 女鍛冶は少し頬を赤らめた。


「……あ、それと、アンタの剣と勾玉を出しな。剣は叩いてやるし、勾玉はちょっと解析してみたいんだ。素材が集まるまで仕事も少ないしね」


「剣と勾玉か……」


 その二つのアイテムはノートの情報によって知ってはいるが……


 見たことがないのでどこにあるかわからない。


「エイガさま。こちらです」


 そんなふうに迷っていると、いつの間にか姿勢のよい悦子さんが寄り添うように立っていてマジびびる。


 両手には剣と勾玉を持っていた。


「あ、これが銅の剣と勾玉か……じゃあ、リヴさん、よろしくね」


「ああ。また明日」


 そう言って『伝説の鍛冶』は出て行った。


 居間には俺と悦子さんの二人が残る。


「……なにか?」


「い、いいや」


 彼女の横顔を見つめていた俺は、目をそらした。


「少しお疲れなのでしょう。ご休憩されては……?」


「そ、そうだね」


「メイドの子にお茶を持たせます」


 そう言って立ち去る彼女のレディスーツの背中をぼんやりと見つめる。


 そう。


 悦子さんの職性は『お嫁さん』なのだった。


「お嫁さん、かぁ……」


 そりゃあんな人がお嫁に来てくれりゃメチャいいよなあ。


 でも、それはみんな思うことだろう。


 もしかしたら……


 もう結婚しているのかもしれない。


 なんかスゲー気になってきた。


「お茶をお持ちしました~」


 そんなことをぼんやり考えていると、メイドの子がやってくる。


「ええと、キミはスイカだったっけ?」


「はい!」


 彼女は元気よく返事をすると、上品なティーカップに緑茶をコポコポと注いでゆく。


 うーん。


 こういう話はメイドさんに聞くのが良いかもしれない。


「あのさ。これは俺が聞いたっていうの内緒にしてほしいんだけど」


「はい?」


「……悦子さんって、結婚とかしているの?」


 スイカは目を見開いて止まった。


 ヤバ、引いたか?


「五十嵐さん、結婚はされていませんよ」


「そ、そっか!」


「でも、婚約者がいらっしゃいますね」


「そ、そっか……」


 そりゃそうだよな。


 あんなに魅力的な人なんだから。


 はア……


「婚約相手のこと、気になります?」


「ん? ま、まあ……でも、俺が聞いたって言わないでね?」


「大丈夫ですよー。うふふ……」


 スイカはニコっとほほ笑むと言った。


「五十嵐さんの婚約相手は、エイガさまです!」




※いつもお読みくださりありがとうございます!

第20章をぽちぽち進めて参ります。

また、お付き合い願えれば嬉しいです!


また、マンガの方が新たに14巻発売となりましましたのでお知らせいたします。

マンガも追ってくださっている方は、ぜひご覧ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ