ラノベの黒幕は、見た目で分かるようにした方が親切らしい。
前回、主人公には悪役令嬢になってもらいました。今回は男に戻ります。
調べたところ、悪役令嬢は王子と婚約するものらしいです。
ただ、婚約したまま男に戻った場合どうなるのかは、どこにも書いてありませんでした。
なので、自分で考えました。
また、ライトノベルでは、主人公が相手の正体を見抜く展開も人気らしいです。
どうやって見抜くのか調べました。
どうやら、ライトノベルのキャラクターは、見た目でだいたい分かるようです。
人物の内面を詳しく描かなくても、伝わるようになっているのは、よくできた仕組みだと思いました。
ただ、これでは黒幕がすぐに分かってしまいます。
そこで、今回は少し意外性も加えました。
以上を踏まえて書きました。
王妃になる予定だったが、性別の都合で王になった。
「つまり、第一王子の婚約者は次期王妃となります」
「しかし、私は男に戻った」
「はい」
「男が王妃にはなれない」
「その通りです」
「では、王になるしかないな」
「なぜですか?」
「王妃の男版は王だろう」
「なるほど。では殿下は?」
「王子は王子だろ」
俺は王国の有力者を集めた。
最初に入ってきたのは、細目の宰相だった。
「陛下、ご即位おめでとうございます」
「お前、裏切るだろ」
「な、なぜそれを!」
男は懐から短剣を落とした。
※細目のキャラクターは、だいたい裏切ります。
次に現れたのは、大司教だった。
「教会って、なんか怪しいよな」
大司教の懐から邪神の像が落ちた。
※ラノベの教会はだいたい悪いことをしています。
次に現れたのは、エルフの族長だった。
「お前、人間を見下してるだろ」
「当然だ。短命種ごときが」
「やっぱり」
※エルフは長命なので、人間を見下すことがあります。
最後に現れたのは、何の特徴もない男だった。
何の特徴もない。善良で、秘密もない。
「……怪しいな」
「えっ」
「お前が黒幕だろ」
「な、なぜ分かった!」
男は懐から黒い仮面を取り出した。
※何の特徴もない人物は、正体を隠していることがあります。
玉座の間は広かった。
「……ざまぁ」
言ってみたが、言う相手がいなかった。
窓の外で、森が動いた。
※森が動くと文学っぽいと思います。
俺は鏡を見た。黒いロングコート、黒い剣、頭に王冠。
「お前、最後に倒されるだろ」
鏡の中の男は、何も答えなかった。
「陛下! 北方にドラゴンが現れました!」
「ドラゴン?」
「村々が焼かれ、兵士たちは逃げ惑っています!」
俺は考えた。
王になって三日。
宰相を追放した。
大司教を追放した。
エルフの族長を追放した。
黒幕も追放した。
「……神の怒りか」
「はい?」
「俺は、何か取り返しのつかないことをしたのかもしれない」
しばらく沈黙が続いた。
「陛下、ドラゴンが現れたのは1週間前です」
「そうか」
「宰相を追放する前です」
「……では、何の怒りなんだ?」
「宝物を盗まれたそうです」
「誰の?」
「ドラゴンの」
「じゃあ、神は関係ないな」
※神罰ではありませんでした。
今回は主人公を王にしました。
王位継承については少し複雑でしたが、なるべく分かりやすく整理できたと思います。
また、王宮には陰謀が必要なので、宰相、教会、エルフなどを登場させました。
それぞれの特徴から役割が分かるようにしたので、読者にも親切な構成になったと思います。
一方で、何の特徴もない人物を黒幕にすることで、意外性も加えました
後半では、王としての責任と罪悪感を描きました。
古典に出てくる王は、だいたい二種類に分かれます。
他人を疑って破滅する王と、自分を責めて破滅する王です。
本作は一人の王で二種類楽しめるので、お得だと思います。
最後に、ドラゴンの宝を盗んだ犯人は、まだ分かっていません。
見た目を書かなかったからです。
次回は、目を細くしておこうと思います。




