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喧嘩っていやだね

ミクルは不遇な人生を歩んできた。恋人には振られてばかり。お金を貸したまま消えた知り合い。残り物のご飯を食べる幼少期。いじめ。旦那には別れを告げられた。そしてできあがったのが大物気取りの高飛車野蛮オンナだった。大きらいだった。でも、従うしかなかった。当時は。・・・ミクルが困っているのだと分かったのは、数々の難病や、悩みだったり・・・初めて涙を見たときからだった。

「ミクルちゃん」

泣いているとき、声をかけると、本当に怖い表情で望を睨んだ。

どこかで、期待をし続けていた。

いつかは、この子は優しくなれると。繊細になれると。・・・しかし、他人とは変えられないのだ。

「わたしの内部で登場人物同士が喧嘩をしているんだわ」

そう思うことには理由がある。ミクルと、ミクルの母はよく喧嘩していた。よくその場面を見てきたし、流れ込むような激しい感情を受け取ってしまっていた。穏やかではなかった。

なんでも間に受ける望にとって他人が穏やかではないシーンには一際敏感で苦痛で、最悪な気分に立たされるのだった。

そんなところを見せつけないでくれよ。いい加減に大人になってくれよと呆れた。何かあるたびにミクルは野太く雑な声で望に母のことで悩みを打ち明けてきた。正直うんざりだった。

「そんなのいい大人なんだからなんとかしなよ自分で」

ある日歪んでそう突き放したらクシャクシャな表情になってミクルは真っ赤な顔になって泣き出した。ひいひいと泣いてすがりついた。あー、あー、あ 一、と心の中でただひたすら単語を無意味に唱えて振り払いたいくらいだった。

いい加減にしてくれよ、いい加減に・・・。


「あ、」

手からガラスのコップが滑り落ちていい感じの音で割れた。そう、いい感じの・・・ 。

帰宅したのは夜の7時だった。アパートの住人はそそくさと各々の部屋でそれぞれの生活を送っている。隣の男は相変わらずいびきをかいて眠っていた。

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