第6話 気持ち悪い戦争
帝国第4部隊、出撃。
帝国駐屯地へ侵攻してきた共和国軍の撃退任務。
クインヘイデスは滑走しながら加速する。
接続値50%。
「行くよー」
ブレード一閃。
共和国REVの装甲が裂ける。
もう一機、脚部破断。
残りは散る。
帝国側の損耗は軽微。
数分で終わる戦闘だった。
通信が飛ぶ。
「撤退確認!深追いは不要!」
「第4部隊、持ち場へ戻れ!」
セナは滑走を止めない。
遠ざかる共和国REVの背を見つめる。
「……」
逃げる。
でも、どこへ?
セナはふわっと進路を変える。
「セルド!戻れ!任務は完了している!」
隊長の怒号。
「聞いてるかセルド!」
セナは小さく笑う。
「聞こえないにゃあ」
無視。
加速。
共和国REVの撤退ルートをなぞる。
丘を越えた先。
仮設の共和国駐屯地が見えた。
補給車両。
整備中のREV。
慌ただしく動く人影。
「見ーっけ」
クインヘイデスが滑り込む。
ブレードが振るわれる。
悲鳴。
爆発。
崩れるテント。
抵抗はある。
だが遅い。
数分後。
そこにあった駐屯地は瓦礫になっていた。
セナはくるりと旋回する。
「制圧完了っと」
帰投。
格納庫に戻った瞬間、怒号が飛ぶ。
「命令違反だセルド!」
「独断行動は許可していない!」
「戦略を乱すな!」
セナは機体から降りる。
伸びをする。
「あー、はいはい」
隊長の言葉は続く。
だがセナの耳には届かない。
視線はどこか遠く。
⸻
数日後。
帝国簡易都市区画。
食堂。
パフェをすくう。
「あーん」
甘い。
向かいの席で誰かが話している。
「例の駐屯地、すぐ取り返されたらしいぞ」
「共和国の連中も対応が早いよな」
スプーンが止まる。
「……?」
「セルドが潰したとこ」
「補給入って翌日には再展開だってよ」
「意味ねーな」
笑い声。
セナはゆっくりとスプーンを口に運ぶ。
取り返す。
取られたら取り返す。
普通だ。
当たり前だ。
でも。
「……気持ち悪」
小さく吐き捨てる。
勝っても、負けても。
崩れない。
削れても、すぐ埋まる。
終わらない。
終わらせない。
甘いパフェが、急に味を失った。
「退屈、じゃないなー」
視線が遠くなる。
「……これ、気持ち悪いんだ」
戦争そのものが。




