第21話 面倒
帝国第4部隊訓練区画。
定例模擬訓練。
5対5。
使用機体は
GRASP-03《ガンズ》。
接続値は全員10%固定。
ただの訓練。
理由も意図もない。
日常。
⸻
開始信号。
低出力。
重い。
鈍い。
10%。
普通の兵なら、それでも必死だ。
セナは違う。
「おっそ」
味方機が前へ出る。
敵弾。
一機被弾。
「カバーしろ!」
通信が荒れる。
セナは見ている。
助けない。
一瞬遅らせる。
その機体を遮蔽物にする。
爆散(模擬判定)。
「はぁ!? セルド!」
次の瞬間。
敵の隙。
斬る。
撃破。
二機目。
横。
三機目。
「10%で十分じゃん」
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反対側。
エル。
無駄がない。
味方を守る。
位置を整える。
連携を作る。
撃破数はセナに劣る。
だが被害は少ない。
対照的。
⸻
セナの味方は削れていく。
「お前、助けろよ!」
「補充されるんだし、別にいーじゃん」
「は?」
「どうせ次も同じ機体、同じ訓練でしょ?」
その一瞬。
敵に撃ち抜かれる。
四機目。
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最後。
セナ vs エル。
エルは慎重。
予測。
封鎖。
セナは雑。
直感。
半歩。
二歩。
エルのブレードをいなす。
関節部へ斬撃。
模擬終了。
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訓練区画。
コックピットが開く。
セナはあくび。
隊長の怒声。
「セルド!」
「はいはい」
「味方を盾にするな!連携を乱すな!」
「勝ったじゃん」
「過程の問題だ!」
チーム員も荒れる。
「自分だけ生き残りやがって」
「DCはこれだから」
「生意気なんだよ」
セナは聞いていない。
空を見る。
「んー」
隊長が詰め寄る。
「戦場では許されんぞ」
セナは肩をすくめる。
「戦場だって、補充されるじゃん」
沈黙。
空気が冷える。
「……反省しろ」
「はーい」
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格納庫を出る。
足音だけが響く。
少しだけ。
ほんの少しだけ。
胸が空く。
「シンとやってたときは、自由だったにゃあ」
命令も。
倫理も。
うるさくなかった。
背中を預けられた。
補充なんて、考えなかった。
今は。
「めーんど」
髪を耳にかける。
目の奥は、何も映していない。




