第2話 観測対象
カルネア連邦
地下観測区画
暗い。
円形のホール中央に投影される戦況ログ。
帝国。
共和国。
そして二つの異常値。
《REVR-IV共有接続値100%》
《GRASP-Σ系列 単独接続値200%》
無機質な声が響く。
「観測対象S-03」
ホログラムに少女の映像。
帝国第4部隊
DC3rd
セナ・セルド
パフェを口に運ぶ映像が一瞬だけ表示され、戦闘ログへと切り替わる。
「Σシステムにおける接続値200%到達」
「神経焼損、精神崩壊、身体壊死――いずれも確認されず」
数値が並ぶ。
脳波。
残響適正。
身体機能。
異常なし。
沈黙。
別の声。
「戦争均衡値への影響、危険域一歩手前」
映像が切り替わる。
黒と桃の機体――
GRASP-QΣ《クインヘイデス》。
そのコックピットが潰される瞬間。
「しかし」
《REVR-IV共有接続値100%》
「共和国側、対象F-01」
フィーネリア・ルミナリア
「共有型100%により撃破」
静かに結論が下される。
「均衡は維持」
「崩壊には至らず」
さらに別の声。
「単独200%は想定外」
「共有100%は理論内」
「現時点で排除対象とせず」
セナの戦闘映像が静止する。
跳躍。
斬撃。
破壊。
「後遺症なし」
「これは偶発的適応か」
「あるいは未知の分散処理か」
一瞬、間。
だが証拠はない。
仮説は保留。
「観測継続」
「排除措置、保留」
「均衡第一」
淡々と。
共和国と帝国の戦力グラフが並ぶ。
「戦争は進みすぎず」
「終わらせず」
「残響は適正量を維持」
ログが閉じる。
最後に、セナの顔が残る。
やる気のない暗い桃色の瞳。
屋上で空を見ている。
観測官が呟く。
「……退屈そうだ」
応答はない。
カルネア連邦は決定する。
観測対象S-03。
危険因子。
だが――
まだ壊すには早い。




