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第1話 退屈

帝国簡易都市区画。


金属質な床。

均一な照明。

軍人優先の食堂。


セナは一番奥の席でパフェを食べていた。


「あー、んっ」


スプーンを口に運ぶ。

甘い。


……甘い?


「あれ」


首を傾げる。


「甘い……うーん、甘いのってこんな感じだっけなー」


背後から声が飛ぶ。


「あ、いた!セナさん!」


ドン、と対面に座る影。


「ん?どこかの部隊のー」


「第6部隊の!ユウリです!」


頬を膨らませる。


「何回言わせるんですか!」


「あー、そだそれそれー」


全然覚えてない顔。


「もー……あ、私ラーメンください!」


食券を叩きつける。


ユウリはセナをじっと見る。


「セナさんって、いつもそんな感じですよね」


「どんな?」


「世界なんてどうでもいー、みたいな」


セナはもう一口。


「だいたい合ってるにゃあ」


ユウリはため息をついた。


その瞬間。


――警報。


《第4、第5及び第6部隊は迎撃にあたれ。繰り返す――》


ユウリは椅子を蹴って立ち上がる。


「行かなきゃ!」


走り去る。


セナはグラスを見つめた。


残り半分。


「……パフェ食べてから行こっと」



格納庫。


ふわ、と欠伸。


既にリンクスーツ姿。

黒基調、桃色のラインが走る。


整備士が腕を組む。


「クインヘイデスの準備は出来てるよ」


「はーい」


「遅刻なんじゃ?」


「いーのいーの、と」


コックピットへ。


接続。


「んー……今日は緩めにっと」


接続値、50%。


負荷、軽い。

視界、クリア。


「行こっか」


発進。


滑走。


先行した帝国部隊を追い越す。


共和国REVが視界に入る。


一撃。

回避。

踏み込み。


専用ブレードが閃く。


撃破。


圧倒。


追いつくことも、届くこともない。


淡々と終わる。



帰投。


整備士が端末を見る。


「今日は50%ですね。終始安定されてました」


「んー」


セナはコックピットから降りる。


血も汗もない。


物足りない。



夜。


帝国簡易都市。


光は規則正しく点滅する。


軍の巡回。

監視ドローン。

警報テスト。


すべて整っている。


整いすぎている。


セナは屋上に座る。


足をぶらつかせる。


遠くでユウリの笑い声が聞こえる。


セナは空を見上げた。


「あー……」


小さく呟く。


「なーんか、つまんないにゃあ」


沈黙。


「この世界」


風が吹く。


誰も答えない。


でも。


どこかで。


何かが、ほんの少しだけ軋んだ。


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