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第17話 用途がない

クインヘイデスの接続上限は30%。


明確に固定された。


命令。


理由は説明されない。


セナは「はーい」としか言わなかった。



任務。


帝国国境付近、小規模衝突。


「セルド、突出するな」


隊長の声。


「りょーかーい」


返事は軽い。


次の瞬間、加速。


30%。


それでも速い。


それでも強い。


共和国のREVが反応する前に斬り裂く。


撤退命令。


「追うな!」


「はーい」


追う。


背中を斬る。


爆散。


通信が荒れる。


「セルド!命令違反だ!」


「結果オーライでしょ?」


帰投。


撃破数最多。


そして、処分。



数日後。


また同じ。


また突出。


また深追い。


また余計に潰す。


「戦争って、取ったら取り返すんでしょ?」


「だったら余計に削った方がよくない?」


沈黙。


誰も答えない。



通達。


今度は少し違った。


「セナ・セルド。命令違反の累積により拘束処分」


「出撃停止は継続」


「一定期間、営倉」


「クインヘイデスは封印。整備棟保管」


セナは瞬きを一つ。


「あらら」


怒らない。


抗議しない。



鉄扉が閉まる。


簡素な独房。


硬いベッド。


小さな窓。


監視レンズ。


セナは伸びをする。


「んー暇だにゃあ」


壁にもたれ、足をぶらぶらさせる。


天井を見る。


白い。


静か。


「……」


数秒。


「戦場より静かじゃん」


寝転ぶ。


目を閉じる。


何も湧かない。


悔しさも。


怒りも。


焦りも。


ただ。


退屈。


「これ、罰になってる?」


天井に問いかける。


返事はない。



数日後。


拘束解除。


出撃は不可。


外出は制限付きで許可。


クインヘイデスは封印されたまま。


格納庫。


黒い機体は固定され、光を失っている。


セナは見上げる。


「あーあ」


近づきはしない。


触れもしない。


「キミは寝てていーよ」


背を向ける。



街。


簡易都市区画。


硬質な建物。


軍服だらけ。


視線。


今日は少し多い。


でも。


関係ない。


ショーケース。


足が止まる。


金飾りのピアス。


揺れる小さな輪。


以前、ここを通った時。


「かわいー」


そう言った。


隣から返ってきた声。


『邪魔だろ。用途がねえ』


少し不機嫌。


自然と口元が緩む。


「うっさい相方」


店に入る。


「これ、ください」


袋を受け取る。


その場で開ける。


片耳に通す。


黒髪のインナーピンクの隙間から、金が覗く。


鏡を見る。


「いい感じ」


くるりと回る。


軽い。


意味はない。


用途もない。


独房にも。


命令にも。


接続値にも。


用途がない。


「ま、いっか」


外に出る。


夕暮れ。


出撃禁止。


監視強化。


クインヘイデス封印。


戦争は続く。


セナは歩く。


「さて、何しよっかにゃー」


目の奥は、少しだけ笑っていた。


檻の中でも。


檻の外でも。


違いは、あまり無かった。


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