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65 僕には、どうすることもできないです

僕たち3人は、談話室でシャルロットさんとラクーシャの話を聞いた。


「ラクーシャにも聞いたけど、素材も大漁に狩ったようだからランクは取りあえずCには上げておくわ」

「まあ、当然ですよね」

シャルロットさんの言葉に同調してうなずいているラクーシャさん。


「ええ。ただ、サブマス権限ではここまでが限界よ。だから当然だけどマスターのクライフには伝えておくわ。今回の依頼のこともあるし、ある程度目途がついてからだけど、BかAにはなれると思うから」

「えっ、BかAって…とうより、シャルロットさんってサブマスターなんですか?」

「ああ、そうね。まだ伝えていなかったけど、一応サブマスターをやらせてもらっているわ」


表情を変えずにそう言うシャルロットさんに、やっぱり元凄腕冒険者だったのかな?と想像してみる。


そして「さっき言ったとおりの任務継続。無理のない範囲で頑張って」とのことでシャルロットさんは退出した。

その後はラクーシャさんに「本当にすごいルーキーさんだったのね。改めて見直したわ!」と手を握られたり、2人がそれを止めようとしがみ付いてきたりと賑やかな時間が流れて行った。


「と、とりあえずそろそろ素材の買取、良い時間じゃないですか?」

「えー?まだ大丈夫よ」

そう言ってまた僕の腕にからみついてくるラクーシャさん。


「もう!行くよアレス!」

「そうです!ラクーシャさんも、いい加減にしないとシャルロットさんにさぼってましたって言い付けますよ!」

ラクーシャさんは「また怒られちゃった」と舌を出し僕から離れたので、席を立ち談話室を出た。


「あっやばっ」

ラクーシャさんがそう声をもらすと僕の背中に隠れるように身を縮めた。


「アレスくん!シャルロットさんには大事な話をしてましたって言っておいてね!お願い!」

小声でそういうラクーシャに、「どうしたんですか?」と返すと、「シャルロットさん激おこ」としがみ付いてきた。


シャルロットさんの方を見てみると、珍しく表情を崩し笑顔をみせこちらを見ている。うん。確かにあれは怒っているように見えるね。


「僕には、どうすることもできないです」

そう言ってシャルロットさんの方まで歩き出した。


僕たちは笑顔のシャルロットさんから、作成依頼した杖やビッグビーの巣の分を引いた残りと言われ、金貨80枚を受け取った。そしてCランク、銀色に輝くギルドカードを受け取り、軽い足取りで3階まで戻った。


背後では「丁度、開いた談話室があるようだから、片付けついでに大事な話でもしましょう。ここ、頼めるわね」というシャルロットさんの声が聞こえてきた。

そして頼まれたであろう名も知らぬ受付嬢の「はーい」と言う気の抜けた声と、「ご、誤解ですー!」というラクーシャさんの悲鳴が聞こえてきた。


階段をのぼりながら「僕には、どうすることもできないです」と再度つぶやく僕だった。


その後、遅くなった夕食を室内で食べた僕たちは、お風呂もタイムも終わりベッドに座り寛いでいた。


「蜜は明日貰えるし杖は1週間程度らしいけど、明日からどうしようか?」

「また蛇狩るんじゃないの?」

「蛇ばかりだと飽きませんか?それと、ベイリンの塔や最果ての森の方も行きたいですし…」

確かに他の場所でさくっとスキルを取っておきたいけど…


「深層のあの場所、ダンジョンワープで記録しておけばよかったね。すっかり忘れてたよ」

「大丈夫です。ちゃんと指定しておきましたよ」

思い出したように言った僕の言葉に、クラウはそう言って魔の森用であろう使用済みのダンジョンワープを、傍に置いてあったバッグから取り出し僕とリーゼに見せている。


「さすがクラウだね」

「さすがクラウ!」

2人で褒めると「ふふん」と少し嬉しそうにしながらダンジョンワープをバッグに戻していた。


「じゃあ、明日は…さすがに働き過ぎだと思うから少し深層を覗いて蛇でひと稼ぎしてからゆっくりする?」

「そうしよう!」

「あっ、それでしたら午後から自由時間にして、私もここの2階の書庫にこもりたいです」

クラウがそう言うので明日は午前中のみ狩りをすることにした。


それでも十分に稼げるだろうと思っている。

そしていつもの様に3人川の字になり、歌って眠り夜が明けた。


翌日、予定通りに朝から蛇を10体ほど狩り終わり、報酬の金貨40枚を受け取ったのだが、少し在庫がダブついているという事もあり、しばらく蛇は勘弁してくれと言われた。仕方がないので明日からは場所をずらして他のを狩ろうと話し合った。


スキル玉は出なかったが資金面に余裕ができているので良かった。


そして自由時間。

僕はクラウに見送られながらリーゼと食料調達へと出かけた。


3人共バッグがあるので狩りでも余裕がある。

食堂を見つけてはおすすめの料理を複数お持ち帰り用に包んでもらいバッグへ収納する。

味見したスープが美味しいと、寸胴ごと買取り収納したりもした。


こうして昼間稼いだ以上に散財してゆく。

でもまあ暫く食料には困らないのだから良いだろう。こうしてあっという間に夕刻となってギルドの3階へと戻った。


そしてクラウから、明日は塔へ行こうと提案された。

なんでも1階層にメタルカメレオンという姿を隠す魔物が出るらしい。もしかしたら[隠蔽]持ちかもしれない。後は同じ1階層にスライムもでるので[物理耐性]があるので取っておきたいと。

確かに[隠蔽]が出るなら欲しいので一度確認してみたい。後はスライムだが[物理耐性]は後1つでMaxだ。リーゼは持っているから良いが、クラウにはぜひ[譲渡]しておきたい。そうなれば明日は塔で狩るのは良いだろう。


「よし!そうしよう。リーゼもそれで良い?」

「うん!新しいスキル楽しみ!」

そう言って笑顔を見せた。


明日は午後から塔だ。そうワクワクしながら、いつもの様にお風呂を頂き歌って眠った。


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ベイリンの塔

ベイリン子爵領の冒険者ギルド分所の西にある塔。1階層はスライムとメタルカメレオンという魔物が出現。現在の最高到達は12階層まで。

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