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64 えっ、ちょっと出しすぎ!

突然の冒険者の何かにより暴走するグリーンドラゴン。


「とにかく、逃げよう!」

「では[隠蔽]を切らさないで行きましょう!アレス、私を頼めますか?」

「もちろん!リーゼも、魔力が切れそうなら言ってね!」

「分かった!」


僕は念のためではあるが再び[隠蔽]を使いクラウを抱き上げると、[疾風]で外に向かって移動を開始した。


リーゼも[突き]を使いつつ後を追っているが、やはり差が開いてしまう。新しいスキルで脚力も上がっているようだが…

結局2人を抱きあげながら[疾風]を繰り返した。途中の魔物は無視をして、立ちふさがる魔物はクラウが[火炎]で牽制してくれていた。新スキルで威力も上がっているのでほぼ一撃で仕留めることができていた。


なんとか外周まで移動すると、王都側の入り口だと思われた。

見慣れた入り口の建物が見える。


ここから出るのはまずいので、2人を降ろすとベイリン領の方まで外周を移動する。考えてみたらあの石が投げ込まれ位置は、ベイリン領の分所がある方角ではないだろうか?そんなことを考えると心臓がバクバクと激しく動く。


「ねえクラウ。あれって人為的にドラゴンを外に誘導してるって言う事なのかな?」

「その可能性しか、無いですよね…」

「どう言う事?」

重苦しくなった空気をリーゼが「教えてよー!」と可愛く頬を膨らませているので、少しだけ心が和んだ。


その後、リーゼにも分かるようにあの石が投げ込まれた方角が分所の方からだったこと、その石によりグリーンドラゴンが層を抜けてしまった事、であればエド殿下の護衛任務の際のあれも同様だった可能性があることを伝えた。


「たしかに…であればあれは殿下の実習を知った誰かの策略、と言うことでしょうか?」

「そうかも知れないよ」

「何それ!殿下狙われたの?」

リーゼも怒っているのか頬を膨らませている。


とりあえずはここまで来たらいつでも森の外に出れるので、まずは報告が優先だということで外周を分所に向けてまた走り出す。

20分程度で分所近くの今朝入ってきたあたりが見えてきたが…

遠目だが、おそらく中層ぐらいだろうか?3体のドラゴンが上空をぐるぐる旋回しているのが見える。どうやら中層は抜けなかった様だ。


「大丈夫そうだね。行こう!」

少し安堵しつも、僕たちは森を出て分所へと足を速めた。


◆◇◆◇◆


「その話は、間違いないのですよね?」


緊急の報告があると伝え、談話室でシャルロットさんに見たままを報告した。シャルロットさんは「昨日の今日ですよ?」と驚いていたが、見てしまったものは仕方がない。

その後、実行犯と思われる3人の冒険者の風貌を詳しくと言われたが、正直なところ体格の良い髭面のおじさんたちとしか言えなかった。

それは2人も同様で「もしかしたら印象をそらす目的で髭もじゃだったのかも」とクラウが伝えると、シャルロットさんも「その可能性も確かにありますね」と納得していた。


結局詳しいことはあまり分かっていないが、何らかの人為的な要因でグリーンドラゴンが層を抜けているという事だけは分っている。至急依頼主となる王家にも報告するそうだ。

そしてシャルロットさんは「暫くは可能な限りで良いから、深層あたりで同じ冒険者を見ないか監視を…」と、言い残して談話室を出ていった。


僕たちはため息をつきつつ暫くその場で目の前のテーブルに突っ伏した。


僕たちは何をするでもなく、ダラダラと時間まで談話室でドリンクを飲んで寛いでいると、素材を出すのを忘れていたなと思い出しようやく談話室を出る。

カウンターへと向かうと、丁度ラクーシャさんの所が空いていたので談話室を使い終わったことを伝え、確認していなかった解体所の場所を聞く。


ラクーシャさんは解体所まで案内すると言うので、お礼を言って後を着いてゆく。

セクシーな揺れるお尻から目をそらし、大体の予想通りだったカウンター裏を抜ける。そこから迷宮のある通路の脇道に入ると、広い倉庫のような場所にたどりついた。


「さて、大物ルーキーくんは重要任務を受けてるみたいだし、いったい何が出てくるのかな?」

「そんな、大物だなんて…」

と思わず頬をゆるませながら、それぞれの素材を出してゆく。


「えっ、ちょっと出しすぎ!ひっ!蛇!」

ラクーシャさんは驚き壁際まで距離をとった。


素材が積み上がった場所に解体所の人であろうおじさん達が集まり騒がしくなる。


「おい!ちょっと量が多すぎるから位置をずらすぞ!」

そう言いながら、髭面のおじさんが大きな箱をかざすと素材が少しづつ消えて行った。わざわざ素材を持って放り込まなくても良いようなので、凄い魔道具だと思った。その機能をバッグに付けたら楽だろうな。


その後、別の場所に種別に整理された魔物達。今日は深層以外はほぼ解体せずに持ってきたので、ボアもワイバーンもそのままだ。解体した鹿肉は残して他の素材も出してある。

猿は2体だけだが大量の蛇でかなりの場所を取っていた。


一応、蛇と鹿角の素材の一部で火炎系の高位の杖ができるそうなので、解体所経由で発注してもらった。素材ありだから多分金貨50枚程度だろうと言っていた。素材の買取金から引いてくれるらしい。

さらにビッグビーの巣のことも相談すると、それらも加工場がありそちらで手配して不純物の除去と巣と蜜を完全に分離したり、適度にませて食べやすくしたりしてくれるらしい。

当然の様に巣ごと混ぜる方式で、使いやすいように適度にパッキングしてくれるようにと渡しておいた。不安をかき消すほど今回の成果に頬がゆるんだ。


「じゃあもう何も無ければ受付に戻りましょう。清算は1時間もあればできるでしょ?その間にランクを上げてしまいましょう」

「えっ?ランクが上がるんですか?」

ラクーシャさんの言葉に驚くが、そのラクーシャさんは「当然よ」と返された。


「そもそも、今回の報告だけでもギルドとしてはかなりの貢献度と見ているはずよ。そしてこのサラマンダースネークの量を見せられちゃえばね…詳しくはサブマスかギルマスの判断になるけど…ねえ?」

ラクーシャさんはそうう言いながら、解体担当のおじさんの1人に視線を送る。


「お前達、まだDランクなんだってな。それじゃあ少なくともCに上げとかないと、後々すげー面倒に成るだろーな」

おじさんの言葉に戸惑いながらお「そうなんですね」と返しその場を後にした。


その後、シャルロットさんと何か話しているラクーシャさん。そしてシャルロットさんと2人で再度談話室に案内された。


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[脚力倍増/鋭い剣の一撃を放つための脚力強化]

リーゼがLv40で覚えた新スキル。[斬]などのスキル発動の踏み込みが強化されるパッシブスキル。Lv1の現在は2倍程度に脚力が上がっている。


[多段/属性遠距離攻撃が重複する]

クラウがLv40で覚えた新スキル。遠距離攻撃が複数に分かれ威力が倍増するパッシブスキル。Lv1の現在は攻撃が2つに分かれ威力は2倍となっている。


高位の杖[火]

エルクの上位種の角と火炎系の発動器官、その他魔石や各種薬剤、鉱物によって作られた2cm程度の赤い宝石のようなものが嵌まっている30cm程度の杖で、火系統の威力を著しく上げてくれる。杖の見た目は木のようなものだが、エルクの角を特殊加工しているため、剣での攻撃を弾いたり受け止めたりすることも可能。注文すると白金貨2枚程度にはなる高額商品。

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