63 どうしようアレス!抜けちゃったよ?
一息つき、僕はブラックモンキーのスキル玉をつんして得たスキルを確認する。
「猿から[黒牙]って奴が出たんだけど、最初に飛んできたあれだよね?」
「[黒牙]?使ってみてください!」
クラウが少し興奮している。
[黒牙/Lv1/黒曜石の礫を飛ばす]
僕は手を前に突き出し[黒牙]を使う。
手の数センチ先の空間から黒い何かが放出され、狙った木の幹にガツンと刺さる。あれが黒曜石の礫というやつなのだろう。消費魔力は10で当然ではあるが木に刺さった黒い塊はすぐに消えて行った。
「威力もそれなりにありそうだね。大きくえぐれてる」
「私もそれほしい!」
「遠距離攻撃ですし、リーゼより私が持つのが良いと思いませんか?」
見た目も良いからなのか、2人も珍しく取り合いするように意見をぶつけている。
「それには後何体狩れば良いんだろうね?」
「た、たしかにそうですね」
「あれをいっぱい狩るのは無理だよー!」
2人が残念だとため息をついている。
消費魔力は10と少し重めなので、まだ連発するようなものでは無いだろう。でもいずれはこういったスキルをクラウに持たせたら有効に活用してくれそうだ。それにリーゼにもLv1だけ[譲渡]はしておけば、牽制などに使えるかも…
色々と夢が広がると妄想してしまう。
「とりあえず、森を抜けましょう」
「そうだね」
「はーい」
こうして、さらなる猿と遭遇しないように慎重に森エリアを抜け出した。
◆◇◆◇◆
無事森エリアを抜けることができ、すぐに岩場のエリアへと続いているのが見える。順番に廻れるようになってるのかな?と感じた。
「そう言えばサラマンダースネークは蛇だよね?毒とかないの?」
「毒はないようですね。なのでアレス一人が頑張らなくても大丈夫ですよ?」
「そうだよ!それに蛇ならズバンと首落としちゃうから大丈夫!」
2人の返事を聞いて逞しくなったなと感じた。
僕はいまだに蛇がちょっと苦手だけどね。2人には言えないけど…
そんな事を話していると、岩場からシュルシュルと3mはあるだろう赤と黒の斑な大蛇がこちらに向かって移動しているのが見えた。
思わず「ひっ!」と声を出し、両手で口元をふさぐ。
2人が僕を見てニッコリ笑っていた。
そしてクラウは[風牙]を連射する。リーゼは一瞬見えなくなったと思ったら走り出しているのが見えた。また[隠蔽]を使って走っているのだろう。
そして次々にくる蛇をクラウが[風牙]で足止めし、リーゼが[斬]で首を刈っている。時折口を開き火をはいているがそれらは全てリーゼが躱してゆく。僕はそれらを見ているだけだった。
結局次々と集まってきた10体以上の蛇を2人で狩り終わる。
「この層で一番狩りやすいね!」
「そうですね。動きは少し早いですがリーゼなら一撃ですし、後はスキルですが…どうだったのですかアレス」
2人が僕を期待の目で見ている。
「スキルは[火炎耐性]だったよ」
「うーん」
「微妙ですね。それであれば蛇はスルーでも良いかもしれないです」
たしかにあまり効果は薄いかもしれない。まあLv5でレッドドラゴンの[業火]が耐えられるのならぜひ上げておきたいけど…
[火炎耐性/Lv1/火属性に対する耐性を強化する]
「そういえば、その蛇って全部素材になるって聞いたけど?」
僕の言葉に2人が急に笑顔に戻る。
「そう言えばそうでした!肉もそれなりに需要がありますし、牙も火炎の発動体も、表皮も買取対象ですので、やっぱり金策で乱獲しても良いかもしれないですね。レベル上げにもなりますし…」
「よし狩ろう!」
こうして、僕たちは蛇をそのままバッグに収納すると、岩場エリアへと足を進めて狩りを続けた。もちろん僕も攻撃参加し、30体ぐらい狩り終わったところで夕刻を過ぎ、2人の集中力も切れたので終了となった。
終わってみれば追加で4つのスキル玉を獲得し、Lv3+1となった。スキルはともかく数が多いので換金が楽しみになってきた。
さらにLv40を超えた2人はそれぞれ新しいスキルを得た。どちらも有用でかなりの戦力向上となった。詳細な検証をしておこうと思った。
そんなウキウキ気分の僕たちは、最深層のすぐそばまで来ていることに気づく。注視すると見える半透明な違和感のある壁。2人とも相談し、少しだけ中を覗いてみるだけなら、ということになった。
[隠蔽]を使いゆっくりとその層を超える。
不安からかいつもの不快感が大きいように思える。
そして視界には大きな岩山が見える。
山頂には火山のようにボコボコと赤いマグマが飛び散っているように見える。層の外側からも見えてはいたが、よりクリアに見えるため迫力が違う。ここが安全なエリアであれば、きっと観光名所にもなっただろう。
そんなバカな考えをしていたら、近くを滑空中のグリーンドラゴンが横切った。一瞬こちらを見た気がするが、どうやら身動き一つできなかったからか気づかれなかった様だ。
そんな中、見たことのない冒険者が3名、少し離れた先から層をくぐって現れ、手に持っていた紫色に光る顔半分程度の大きな石のようなものを、全力で投げ入れていた。
そして層をくぐって戻って行った3人の冒険者。
呆気にとられていたが、もしかしたらドラゴン討伐の為の魔道具で、これからドラゴンとの死闘が見物できるかも!そんなことを考えていたが、その投げ入れられた石に4匹のグリーンドラゴンが集まっているのを見て、呼吸が止まるかと思った。
2人を見ると口元を押さえ、声を出さないようにして震えているようだ。
少しクンクンと嗅ぐような仕草をみせるグリーンドラゴン。そしてさっき冒険者が入ってきた層の部分を目掛け、1体のグリーンドラゴンが飛び上がり…そのまま層に頭からぶつかり血を流していた。
本当に心臓がとまりそうだったが、どうやらすり抜けることは出来ないようでホッとする。だが、次の瞬間、石をバリバリと食べだした3体のグリーンドラゴンは、大きな咆哮とともに上空に飛び上がり、先ほどの層の部分にぶつかるように滑空し…そしてその層を抜けた。
「なんだよあれ!」
「どうしようアレス!抜けちゃったよ?」
「まずい、ですよね」
戸惑い思わず大きな声を出した僕たちには見向きもせず、他の2体が次々に飛び立ち層を抜けて行く。
そしてもう一度、と先ほど通れなかったドラゴンもまた層へと滑空し、また大きな音をたて頭を打ち血を流している。そして苛立ったようにまた吠えていた。
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アレス クラス:大盗賊 Lv53
体力480 魔力530 外殻460
力43 硬55 速55 魔62
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Up [回復/Lv2/治癒の光で傷を癒す]
New [黒牙/Lv1/黒曜石の礫を飛ばす]
New [火炎耐性/Lv3+1/火属性に対する耐性を強化する]
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リーゼロッテ クラス:剣士 Lv41
体力410 魔力210 外殻820
力125 硬50 速75 魔25
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New [脚力倍増/Lv1/鋭い剣の一撃を放つための脚力強化]
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クラウディア クラス:魔法使い Lv40
体力200 魔力1370 外殻390
力48 硬24 速72 魔168
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New [多段/Lv1/属性遠距離攻撃が重複する]
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王都北西部・魔の森・深層 ※湖と深い森、岩地が点在
グリーンエルク、サラマンダースネーク、ブラックモンキー。
ブラックモンキー
2mを超える大きな体、黒い体毛は固そうに逆立っている。木の上から群れで包囲して、固有スキルの[黒牙]という黒曜石の礫を飛ばしてくるので注意。消費魔力は10。素材は魔石と耐刃性のある毛皮。
サラマンダースネーク
いわばエリアに住み着く3m程度の赤と黒の斑な大蛇。ターゲットが近づくと、口から[火炎]のような炎の矢を吐き出すので注意。[火炎耐性]を持つ。肉もそれなりに需要があり、牙も火炎の発動体も、表皮も買取対象となっている。




