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[完結]侯爵家の三男だけど能力板には大盗賊って出ちゃいました。  作者: 安ころもっち
第八章 アレス、スローライフな日々

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100/164

100 逆らうものには死、あるのみ!

あっと言う間に100話となりました。ありがとー!

4月15日(晴れ)


今日も憂鬱な朝を迎えた。

昨日は慌ただしい1日だった。


ユリアのやつが開化の儀も受けずに貴族院を抜け出したと言う。

どうやらアレスのところに向かったようだ。


その事を知ったのは激怒した母上が久しぶりに屋敷にきた時のことだ。母上の怒りが爆発し父上は無様にも森送りになった。

冗談だろ?と思っていたらセレバスに引きずられるように連れられた父上は、昨日もどってくることはなかった。本当に西の森で暫く兵士に混じってしばらく討伐に参加するのだろう。


俺たちの生活についてはセレバスがちゃんとしてくれるため、特に憂いは無いだろう。暫くはこの生活を楽しもう。


父上が居ない屋敷はとても快適ではあった。

このままの生活も悪くはないな。何をやっても特に文句を言われることもないし、セレバスに言えば全てなんとかしてくれるからな。この年で当主としてふるまう時が来てしまったということだろう。


しかし母上はなぜかあの二人を可愛がっていたようだが、まさか連れ戻したりしないだろうなと多少ではあるが心配になる。


一応バレンにもその可能性を話すと、心配そうに声をあげる。

俺はバレンに大丈夫だと伝え、日課の稽古を始めた。


バレンの木剣を華麗に捌き腹を打つ。腹を押さえてうずくまるバレンに、「俺には通じないが、今のは悪くなかったぞ」と伝えると、俺に尊敬のまなざしを向けて立ち上がるバレンと再度打ち合う。

バレンは腕力は強いがまだまだその剣に粗さが目立つ。それを見切り、捌き切るのは俺にはたやすいことであった。


開化の儀を終え剣士クラスとなった俺は、森を兵士と共に探索し3日間の修行に耐え忍んだ。Lv10にはすぐ上がり、[多撃]というスキルも覚えてしまった。自分の才能が怖かったぐらいだ。


翌年にはバレンも戦士クラスとなり修行に出たのだが、1日で音を上げてしまいLv5になっただけだった。俺のように過酷な修行に耐えうる奴は早々いないだろう。そんな俺と比べるのは流石に可哀想だろう。


その日は結局30分という長い時間をかけ、バレンと一緒に鍛錬を行った。

部屋に戻りシャワーで汗を流すとさっぱりするが、俺の不安はシャワーと一緒に流れてはいかないようだ。


アレス。

あの、大盗賊なんてふざけたクラスを授かった一族の恥さらしが…


いっそ父上が居ないこの間に、アレスを殺しに行けば…

いや、わざわざ俺が行くまでも無いな。その内、セレバスにでも頼んで冒険者でも雇い、この家には二度と戻らぬよう痛めつけてもらおう。それが侯爵家次期当主たる俺の役目だろうな。


それでもアレスが戻ってきたら…その時はどちらが当主に相応しいのかしっかりと分からせてやならくてはならない。俺の華麗な剣捌きで何度もあいつを叩きのめし…後は父上と同じように森に行ってもらおう。


どうせすぐに死んでしまうだろうがな。


その前に、俺の躾で間違えて殺してしまうかもな…

まあその時はその時だ。


俺がこの侯爵家の当主、ルイズ・ウイクエンドだ!逆らうものには死、あるのみ!

そう決意した記念すべき日と、ここに記しておこう。



◆◇◆◇◆


4月15日(晴れ)


今日、やっとユリアお嬢様がアレスお坊ちゃまと再会した。

勢いに任せてお嬢様どころかカロリーナ様もお嫁さんとして承諾させていた。


それよりもお坊ちゃま、いえ、すでに私も親愛な女となった身。旦那様とお呼びすることにしよう。

旦那様のクラスは素晴らしい。


あの大盗賊ステイルレインにも匹敵するだろう。

同じ剣士という身でありながら、すでに活動を共にしていたリーゼ様も数々のスキルを[譲渡]され、すでにトップランカーの冒険者と言っても良いだろう。


あれがユリア様が言う、チートという奴なのだろう。

将来的にも絶対に大成する方だと確信した。カロリーナ様も一緒に娶るのなら、サリアお姉ちゃんも一緒に暮らせるのだろう。そもそもユリア様からは小さい頃から旦那様とは一緒になるのだと明言されていた。


それなら、ユリア様に生涯をささげる私も、旦那様の寵愛を受ける立場になるのだと覚悟を決めていた。それが侍女として生きる私の定め。ユリア様風に言うならメイド道!なのだと。

私にも今後、余ったスキルを[譲渡]頂けるのであれば、尚更気に入られるに越したことはない。私だって男爵令嬢の端くれ、ある程度の年齢がきたら急に嫁に出される可能性だってあった。


相手が死にかけなおじいちゃん、そんなことだってあるのだから。

そんな得体の知れない誰かに嫁ぐくらいなら、小さい頃から見てきた私の目にも優しいお人柄が見える旦那様になら、妾になるのも悪くはない。地位はともかくお金にはこまらないだろう。

いざ家から嫁げと言われても逃げ出して、[譲渡]されたスキルで冒険者として独り立ちもできる。そもそも優しい旦那様は私を手放さないだろう。


旦那様の妾となることはユリア様もそれをお認めになっている。というか「セシリには一生世話をしてほしいから兄ぃをシェアしようね」と言われたことは一度や二度ではない。すでに心は決まっていた。


それにしても、ユリア様は旦那様を篭絡するために、カロリーナ様より大きいとおっしゃっていた。それだけが気がかりだった。

夜には女性陣で裸のお付き合いをした時に念のため確かめる。


カロリーナ様は大きい。もうなんて言うかもう大きい。

そしてユリア様は…やはり私と大差ないことを確認した。


良かった。いつの間に私よりも大きくなってしまわれたのだと…

主とは言え、年下に抜かれるとなれば、私の小さなプライドは傷付いてしまう…


まあカロリーナ様も年下なんだけど、見た瞬間勝てないって分かってたし。

そんな考えも、リーゼ様を見てもうどうでも良くなった。


もうなんて言うか、もうね。

勝てないって言うか崇めたいっていうか…


そんな気持ちも、サリアお姉ちゃんの「私はロリ枠。大きさはさほど問題にならない」と無い胸を張っていたのを見てどうでも良くなった。


これからは色々な出来事が起こりそうだ。

それでも幸せな未来に向かって、まずは色々報告ごとがあるため、今日はこれからシセリお姉ちゃんに手紙を書こう。


きっとカルシュ様もご覧になるだろう。

話し合いを終え旦那様の布団に潜り込んだユリア様とカロリーナ様もやっと寝ることができているようだし、この日記もここで終わりにしよう。

手紙を書いて早く寝ることにした。


明日も幸せな一日でありますように。

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