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81 エドウィンの帰る日

 エドウィンは3日の午後遅く、桐谷リュウノスケの車で畑野家に戻ってきました。

 桐谷先生がまた現れたので、おじいちゃんがすごく喜んで、大歓迎です。本の話などをして、夜遅くまで、飲んだみたいです。


 4日は成田から午前11時すぎの出発ですが、日付変更線があるので、ニューヨークには同日の朝に到着することになります。

 桐谷先生が成田まで送っていくと主張していましたが、まだ酔っぱらっているようなので、畑野さんのおばあちゃんが送ることになりました。


 めぐみも見送るために、成田に行きました。

 ロビーには、エドウィンを囲んで5、6人の男性がいました。桐谷先生の研究室の大学院生でした。その様子から、エドウィンは彼らを助けて、ずいぶんとよいお仕事をしたのだとめぐみは思いました。


 エドウィンがめぐみを見つけて近づいてきました。

「日本に来たかいがあったよ。全部ありがとう」

「こちらこそ、ありがとう」

 めぐみはカードとプレゼントを渡しました。


「メグと買い物に行けなくて、ごめん。楽しみにしていたんだけど」

「いいよ。わたし達って、すれ違う運命なのじゃないかしら」

 めぐみが苦笑いすると、エドウィンが少し悲しい目をしました。


 別れに言うべきじゃなかったと思いましたが、もう言ってしまいました。でも、何かと運命に邪魔されている気がするので、本当のことだから、まぁ、いいかと思いました。


 めぐみ先生は展望デッキから、飛び立っていく飛行機を見ていました。胸に、悲しい思いがこみあげました。

 えっちゃんのやさしさを思いました。忙しいのに、スマホを直してくれたり、たくさん語ってくれたり、生徒と付き合ってくれたり、一生懸命にがんばってくれたと思いました。

 

 気持ち的には飛行機に飛び乗ってついていっちゃいたい、ですが、でも、そんな別れの感情だけで、大事なことを決めてはいけないことは知っています。

 わたしは今学期を終わらせて、来学期も教えて、子供たちが中学にいくまで見守る。それが、わたしの決めた、わたしの生きる道なのだから。


 エドウィンは飛行機の中で、赤いセーターを着ていました。それはめぐみのプレゼントです。

 彼はカードをひらきました。

「子供たちと作りました」と書いてあり、中に五枚の切符と本などがはいっていました。


 めぐみの作るお好み焼きの券

 愛子ちゃんの店のおにぎり券

 明夫のさつまいも券

 くるみの将棋レッスン券

 「トロイカのリピート」の券

 れいかからの「明智少年事件簿」の漫画、

 そう太郎からの磁石のついた将棋盤セットでした。


 エドウィンは革ジャンパーを取り出して、その切符を胸ポケットにいれて、ぽんぽんと叩きました。

 そして、ネックレスに手を触れました。きれいな箱と紙とリボンを買い、お母さんからもらったこのネックレスをいれて、めぐみに贈ろうと計画していたのですが、手渡すことができませんでした。


 飛行機は東京を離れて、ニューヨークに向かっています。



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