75 キリタニ先生、現われる
1月2日、めぐみは新調のドレスを着て、畑野さんの家に行きました。
新年のあいさつをして、みんなでおせちをいただくためです。
玄関をあけると、れいかが飛び出してきました。
「エドウィン先生がさらわれました」
えっ。
「何があったのですか」
また事件が起こったのか、とめぐみの心臓がばくばくしました。
中から、おばあちゃんがそわそわと出てきました。
「あの桐谷リュウノスケ先生が突然現れて、どうしても助けてほしいことがあると言って、腕を引っぱるようにして連れていってしまいましたわ」
スマホの着信音がしたので見てみると、エドウィンからのテキストで、「0132」と書いてありました。
OMG!
ホンモノの誘拐ではなかったのはよかったですが、めぐみ先生が次に思ったのが、生徒たちのことでした。
自分との約束は破ってもかまいませんが、明日の約束は守ってほしいです。
「明日は大丈夫?」とテキストを打つと、「For sure」と返ってきたので、ほっとしました。
エドウィンも子供たちとのことはとても気にしていたので、「今夜か明日の朝には必ず、返しますから」と桐谷先生がおばあちゃんに言っていたそうです。
人騒がせな桐谷リュウノスケですが、でも、れいかのおじいさんは桐谷先生に会えて、ごきげんでした。おじいちゃんは彼の本を買ったほどのファンなのです。
「やっぱり、彼は違う。あのくらいの積極性がないと、成功はしないのだな」
2日の午後、めぐみはエドウィンと買い物に行くはずでした。ふたりともまだクリスマスプレゼントを交換していません。でも、彼の国のクリスマスは1月7日なので、まだ間に合います。
めぐみは普通の恋人たちのように買い物デートできるのを楽しみにしていましたが、こちらも計画したようにはうまくいきません。
何かにじゃまされているとめぐみは感じます。竜ヶ岳でもそう感じましたが、えっちゃんの大活躍で、負の部分をはね返した気になっていました。でも、また反撃してきたようで、エドウィンとは、うまくいかない運命のような気がします。
エドウィンは、プレゼントはもう決まっていると言っていましたが、何を買うつもりなのでしょうか。めぐみひとりで出かけて行って、明るい色のセーターにしました。
夜中近くになって、エドウィンから「これから帰る」というテキストをもらったので、安心して眠りました。
1月3日の朝になりました。
外は真っ白です。
テレビをつけると、ニュースでは大雪のためダイヤが乱れていると言っていましたが、エドウィンは昨夜、戻ってきているはずです。
「グッドモーニング」とテキストを送ると、「Good Morning. Still in Tokyo(おはよう。まだ東京にいる) 」と返事がきました。
What!
それって、どういうこと?




