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68 ソフィアって、どんな人?

 エドウィンはニューヨークに戻ったら、一度、カリフォルニアに行ってくるつもりだと言いました。北カリフォルニアの大学から声がかかっていることはめぐみも知っていました。


「その大学の広いキャンパスの一角に、特別なパーキングスペースがあるんだそうだよ」

「特別なパーキング?」

「なんだと思う?」

「特別な車が駐車できるのかしら。たとえば、手造りの車とか」

「コンピュータは作れるけど、車は無理だろ」

「珍しい高級車」

「カリフォルニアはリベラルなところだから、車種で差別なんかしないよ」


「じゃ、ヒントをください」

「ヒントはノーベル賞」

「ノーベル賞を取った人だけ停められるパーキング」とめぐみが言ってから、「そんなこと、ないよね」と訂正しました。


「当たり」

 とエドウィンが笑いました。

「ほんとなの?」


「そうなんだよ、大学にはたくさんノーベル賞をもらった教授がいるんだけど、彼らだけがそこに駐車できる。ちゃんとノーベル賞受賞者のパーキングという札が立っているそうだ」

「へー、すごいわね。どんな車がパークしているのだろうか」


「行ったら、写真を送るよ。そのパーキングスペースが数学科のそばなんだ。数学にノーベル賞はないというのに」

「遠くに建物がある学部の教授だったら、歩くのが大変なんじゃない?年配の先生が多いと思うし」

「きっとキャンパスの目立つところにそういうパーキングを作って、学生にモチベーションを与えているんじゃないかな」

「そうだね。学生がそれを見たら、自分もいつか、このスペースにパーキングできる学者になりたいと思うかもしれない。この話は、生徒たちに聞かせてあげたい」


「よさそうな大学だろ」

「そう思う」

「気候もいいよ」

「カリフォルニアの青い空だもんね」


「メグ、来る?」

「休みに?」

「うーん」

「長く?」

「うん」

「あまり長くは無理だけど。ところで、ソフィアはどうしているの?」

「ソフィア?」

「フランスにいる人。ガールフレンドなんでしょ」

「ああ」

「結婚するの?」

「誰と誰が」

「ちゃんと聞いている?えっちゃんとソフィアの話をしているのよ」


「ああ」

「えっちゃんのガールフレンドって、どんな人なんだろ?どんな子が好きなの?」

「なんて言えばいいのかな、まぬけ」

「その日本語の意味わかって言ってる?間抜けって、Stupidばかのことだよ」

「うん」

「本気で言ってる?愛情をこめて、言ってる?」

「本気だよ。だって。その子、全然わかっていない」


「へー、本当に?意外。えっちゃんの好きな人だから、すごくシャープな女性かと思っていたけど、ソフィアはおバカ系なの。どうしてそういう人と付き合っているの?」

「逃れられない」

「逃げたいの?」

「手伝ってくれる?」

「わたしはフランス語もできないから無理。そういうことは自分で解決するよりほかないでしょ」

 

 めぐみはえっちゃんがそういう問題の人と付き合っているとは思ってもいませんでした。でも、えっちゃんのその言い方から、ソフィアという女性のことが、なんだかとても羨ましくも思えました。


「ソフィアの写真見せてくれない?」

「今は、もってないよ」

「フランスに行く時、一緒に行って、サポートしてあげてもいいよ」

「その時は連絡するから、よろしく」

 

 そうだよね、外国って、アメリカだけじゃないから。フランスにいってみたいとめぐみは思いました。

「これからは貯金をして、休みごとに世界の国を旅して、想定外の体験をして、いろんなエピソードを集めたい。そして、えっちゃんに学んだことを伝えたいなぁ」

「ありがとう。よろしく」


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