65 大つた村は大騒ぎ
リバー先生の発表は日本時間では朝の10時からでした、
日本時刻の正午過ぎ、リバー先生から、「無事終わりました。ありがとう」というテキストが入りました。同じくらいにエドウィンから、新幹線に乗ったという連絡もはいり、これで、めぐみは一安心です。
明朝は、エドウィンを車で迎えに行き、山に向かいます。
今日はしっかりと荷物の点検をして、あとは最後のトレーニングです。
山のあたりまで走り、早くにお風呂にはいって寝ようと思いました。
でも、午後になっても、山には灰色の霧がかかったままです。
明日は晴れるという予報なので、その通りになってほしいと思いながら、ジョギングに出かけました。
愛子ちゃんの家の店の前に、人だかりができていました。
あの店のランチ弁当は人気があるので、それを買いにきた人なのだろうと思いました。
めぐみは青ヶ岳に行って、リバー先生がオーストラリアで、いつきさんの残した写真を使って発表していることを伝えました。
喜んでくれているかな。
うれしくなって、両手をあげて、くるくると回りました。
いつきさんがチョウチョになってひらひら飛んできたらいいのにと思うけれど、冬だから無理です。花か葉っぱがぽろりと落ちて、ここで見てるよと教えてくれたらいいのにと思うけれど、そういう気配はありません。
山まで走って行って戻ってくると、「せんせー」という生徒たちの声が聞こえ、6人が学校の方角から、元気に走ってきました。
「先生、村が有名になったじゃ」とそう太郎が言いました。
「何があったの?」
「大つた村のチョウチョが、ニュースになっています」と愛子が言いました。
急いで帰ってテレビをつけると、リバー先生こと川口けんじ教授がテレビに映っていました。めぐみはあまりに驚いて、座るのを忘れて、その場に立っていました。
「ユリシスイツキ」と名付けたユリシスの新種が、大つた村の山にいるというのです。その写真を残したのが中川いつき先生だと名前を言っていました。
朝に海の向こうで発表したリバー先生の研究内容が、もう日本で話題になっているなんて、世界は狭くなりました。
リバー先生はオーストラリアにだけ住んでいたチョウが、なぜはるばると海を渡って日本の大つた村にやってきたのか。それはオーストラリアで大火災があった時に、何かの方法で海を越え、空気のきれいな大つた村の山まで来たのではないかという仮説を立てました。他に、ユリシスが見つかっているシンガポールや台湾の山も、空気がきれいな場所です。
テレビには愛子パパや、「ユリシムイツキ」の動画を撮影したチョウクラブのメンバーが、インタビューを受けていました。




