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6 ハロウィンの思い出

  明夫が、昨日応援に来てくれたお礼にと、家で採れたかぼちゃをもってきてくれました。クラスのみんながいっしょです。

「ありがとう。日本のかぼちゃ、大好き」とめぐみ先生が喜びました。


「アメリカのかぼちゃはまずいんですか?」とくるみがききました。

「そう、おいしくない。今はハロウィンの季節だから、たくさん売られてはいるけれど」


「ハロウィンには、母さんがあの着物を着なさいというんじゃ」とそう太郎が言いました。

「よいこの将棋大会」のために用意したあの着物です。

「ここでも、仮装をするの?」と先生がおどろきました。

 めぐみ先生が日本にいた時には、ハロウィンのもよおしはなかったからです。


「わたしはエンジェル、妹もエンジェル。ママが用意してくれているの」とくるみが言いました。

「ぼくはガッド」と明夫。

「ガッドって?」と先生。

「神さまじゃ」


ああ、天使に神様ねと先生はようやくわかりましたが、アメリカでも天使の仮装はみたことがありますが、神さまの仮装はなかったと思います。キリスト教の人が多い国ではそういうアイデアはないので、日本の子どもの自由な発想だわと思いました。


 れいかはバレリーナ、和歌は雪の女王エルサ、愛子はドラえもんの委員長。

「そんなの、ランドセルをせおうだけじゃ」とそう太郎が言いました。

「うちのお兄ちゃんがのび太くんで、わたしが委員長」と愛子がいったので、みんながそういうことかと納得しました。


「先生のハロウィンの話を聞かせて」とれいかが言いました。

 そうね、と先生はかぼちゃをなでなでしました。


 それはめぐみ先生がアメリカに行ったばかりの頃、保育園では話です。

 保育園からは、その日にはキャンディ用の袋をもってくるように言われていたのですが、めぐみママは誰かのバースディかなにかでキャンディがもらえるのかと思って、スーパーにある透明なプラスチックの袋を持たせたのです。


 ところが、保育園につくと、みんなが仮装をしていたので、子供だっためぐみ先生はびっくりです。

 その頃は、めぐみママも先生も、ハロウィンのことを何も知りませんでしたから。

 ハロウィンには衣装をつけた子供達が近所を回り、キャンディもらうのですが、衣装をつけていないのはめぐみ先生だけでした。


「恥ずかしかった?」と和歌が涙ぐみました。

「はじめは、ちょっとね。でも、その日、わたしは赤い服をきていたので、担任のミス・ゴールドが赤いスカーフをまいて赤ずきんにしてくれたので、だいじょうぶでした」

「頭のよい先生じゃ」と明夫が感心しました。


 次の年、めぐみママは特別にすてきな衣装を作ろうと思って、いろいろと研究しました。そして、布や紙を買ってきて、「カップケーキ」の衣装を作ることにしました。白い厚紙でスポンジの部分を作り、それにピンクやブルーのかざりをつけました。


「これで去年のリベンジだわ」とめぐみママは自信たっぷりです。

 めぐみ先生は喜んでカップケーキを着て出かけました。頭の上には、赤いイチゴのかざりまでついています。


 友達の中には、四角いトーストの衣装を着た男の子がいました。

 近所の家を回った特、カップケーキが一番くらいに評判がよかったのです。

でも、そこまではよかったのですが、保育園にもどった時、そのカップケーのままでは椅子にすわれないことに気がつきました。


 トーストの子は下にシャツを着ていて、トーストを脱いでしまえば座れるのですが、めぐみのカップケーキの下は下着だったので、人の前では脱ぐことができません。だから、ずーっと立っていました。


「先生のママ、またやっちゃったね」とそう太郎が言いました。

「でも、ママがあんなにがんばってくれたんだもの。いい思い出よ」

 めぐみ先生は窓から外を見て、なつかしいなぁという顔をしました。




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