55 バスコード見つかる
れいかが言うには、「数字ごろ合わせツール」で、「まいったね」を変換すると、「0132」なのです。
「れいかちゃん、すごい」とめぐみ先生がびっくり。そして、「まいったね」と言ったので、「ほら、また言ってる」と子供たちが指をさして騒ぎました。
ツールを使って名前を数字で表すと、
めぐみせんせいは 693 100071、
あいこは 15
そう太郎は 336
明夫 は 190
くるみは 963
和歌は 85
れいかは05です。
「そんなものがあるのね、おもしろい」とめぐみ先生が感心しました。
「エドウィン先生のエドウィンは0101 」とれいかが言いました。
「0101なんて、エドウィン先生にぴったり」とくるみです。
めぐみ先生はさっそくスマホの写真をクリックしてみました。
生徒たちが先生のそばに寄ってきました。
そこにあったのは、緑の葉の上に、10滴ほどの丸い水晶のような球がのった4枚の写真でした。まるで水滴が行儀よく並んでいるみたいに見えます。
「これは、何かしら」
めぐみ先生が、もっと目を近づけました。
何かの昆虫の卵のようです。
「チョウチョの卵だと思います」と愛子が言いました。
「チョウチョの卵って、こんなに集まっているものかしら」
「あります。それに、集団で冬眠したほうがあったかいのではないですか」
なるほどとめぐみ先生が感心しました。
「では、お礼に、ケーキをたべましょう」
めぐみ先生は冷蔵庫からクリスマスケーキを出してきました。
でも、そのケーキを見て、「小さいなぁ」とそう太郎が言いました。
「そう。ひとり用なので、小さいのよ。少しずつ分けてたべましょう」
めぐみ先生がケーキを分けて、お皿にのせました。
「アメリカでも、クリスマスにケーキを食べるのですか」とれいかがききました。
「アメリカにはクリスマスケーキはないけれど、わたしはイブにはフライドチキンとケーキを食べるのが大好きよ」
「アメリカでは何をたべるんじゃ」と明夫です。
「イブには、たいてい七面鳥。大体、サンクスギビングの時と同じ」
先生がミルクをあたためて、みんなのカップに注ぎました。
「それでは、みんなで、クリスマスイブをお祝いしましょうか」
「クリスマスの歌をうたうのはどうじゃ」とそう太郎が言うと、みんなが賛成しました。
「じゃ、行くよ。1.2.3」
みんなが「きよしこの夜を」歌おうとすると、そう太郎が「ハッピーバースディトゥユー」と歌い出しました。
みんなの目がそう太郎に集まりました。
「何かおかしいか。キリストさまのたんじょう日じゃろうが」
「そうだ、イエス・キリストのたんじよう日だから、それでいいんじゃ」と明夫が言って、みんなで「ハッピーバースディ、ティア・イエス・キリストさま」と歌いました。
子供たちが帰った後、めぐみ先生はいつき先生が残した写真を見つめていました。
とうとう見つけることができたのです。いつきさんのスマホに残っていたのはチョウチョの卵のようです。
わたしはなんというユニークで、頭がよくて、楽しい子供たちに囲まれているのだろうとめぐみ先生は思いました。とてもすてきなクリスマスイブになりました。
今朝は、イブをひとりで過ごすつもりでいましたが、生徒のみんなと過ごせました。
今は、午後の出来事を誰かに伝えたいなと思っているめぐみ先生でした。
「まいったね」
また口から出てしまいました。




