47 Never give up
「ツールって、ペンチのこと?」とめぐみがききました。
「ドライバー。小さなドライバー」
「ないわ。大きいのもない」
めぐみのところには、大工道具といったら、とんかちとペンチくらいしかありません。
「スマホのバッテリーを入れ替える時に使うツールない?」
「ない。それって、なに?」
「じゃ、バッテリーはどうやって取り替えたているの?」
「あれはお店でやってもらうものでしょ」
えっ、エドウィンが驚きました。自分でやらない人がいるのかという顔です。
めぐみにしたら反対で、そんなこと、自分でやる人なんているの?です。
彼のふつうは、めぐみのふつうとは違うようです。
「どこに行けば買える?」
「村にはないけど、町に行けば、あるかもしれないわ」
「じゃ、行ってくる。車、貸して」
えっ。
「そんなの、今日でなくても、いいわよ。どうせ直らないと思うし」
「やってみないと、わからないよ」
「そうかな」
「明日、京都に行くから、今日中に、直したい」
「いつきさんのお母さんが専門家に2回も見てもらったんだよ。それでだめなんだから、直すのなんか、無理だと思うけど」
「やってみたい。Never give up(絶対に、あきらめるな)だろ」
「それはそうだけど」
「すぐに戻るから」
「行き方わかる?わたしも行く」
「住所さえわかれば、GPSがあるから大丈夫だよ。メグはディナーの支度をしていて。戻って来たら、すぐに食べたいから。お腹、へっているんだよ」
そう言って、エドウィンは突風のようにとび出していきました。
あっけにとられて、野原の木のように、部屋にぽつんと立っているめぐみです。




