39 ハッピーな話をしてください
今日で二学期の授業はおしまいで、明日が通知表をもらう日です。
さいごは理科の授業で、トリを飾るのは明夫くんです。
明夫の家は農家です。
物置や畑にクモはたくさん見かけるのですが、ある日、お腹の下から糸を出して、枝にぶらぶらとぶらさがっているクモを見つけました。
そのクモは明夫の目の前で、突然、風にのって、別の枝にピューンと飛び移ったのです。
「まるで、スパイダーマンだった」と明夫が言ったので、「こっちが本物のスパイダーじゃろ」とそう太郎が言って、みんなが笑いました。
明夫がクモは次はどうするのだろうと思って見ていると、今度はまた糸を出して、もとの枝に戻りました。そして、真ん中でやってきて、今度は糸を伸ばしながら下に行きました。クモは休むこともなく、まず枠組みを作り、それから時計と反対周りで、巣を編んでいきました。
「クモは学校で先生から習うわけでもないし、教科書もないのに、どうしてあんなことがわかるんじゃろ」
クモの巣が完成するまでの1時間あまり、明夫はずうっと観察していました。
そして、それを絵に描いてめぐみ先生のところにもって行ったのです。すると、先生がとてもほめてくれました。そして、これはすばらしい自由研究なので、クラスの前で発表しましょう、ということになったのでした。
今日がその発表の日でした。
「おまえ、ずうっと見ていたんか」とそう太郎が驚きました。
みんなもすごいすごいと言いました。
「みなさんも、何か発見したり、疑問に思ったことを調べたら、わたしにみせてくださいね」とめぐみ先生が言いました。
「わたしも、調べてみるじゃ」とれいかが言いました。推理が得意なれいかですから、きっと誰もが驚くような発見があるでしょう。
「わたしも」とくるみです。
くるみはこのところ、とても積極的になりました。みんなが自分も自由研究をして、先生にみせると言いました。
「うれしいわ。とても楽しみです」とめぐみ先生が喜びました。
「アー・ユー・ハッピー?」とれいかがきき、「イエス、ベリー・ハッピー」と先生が答えました。
みんなも「ベリー・ハッピー」、「ベリー・ハッピー」と言いました。
「じゃ、先生、何かお話をしてださい」と愛子が言いました。みんなの瞳が輝いています。
「そうねぇ、どんな話がいいかしら」
「アメリカで、一番、ベリー・ハッピーだった時の話はどうじゃ?」とそう太郎が言いました。
「さんせい。前に泣いた時の話をきいたから、今度はうれしい時の話がいい」と和歌が言いました。
「先生、そんな話、ありますか?」と愛子です。
「あるある、ありますよ。とっておきのがあります」
めぐみ先生の瞳がきらきら輝いていました。




