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26 れいかの機転

 最近、れいかのおじいちゃんは孫といっしょに習いごとを始めました。

「土曜日の午後にばあさんが車でれいかを迎えにいって、その晩はうちに泊まります。日曜日に白鳥先生が来てくれて英語を勉強して、その後で、れいかを送って帰るというルーティンで、とても楽しみなんじゃ」

 おじいちゃんはとてもうれしそうです。


「その日曜日も、れいかを家まで送っていったんじゃが、時間があったので、散歩をすることにしたんじゃ」とおじいちゃんがその日の話を始めました。


 おじいちゃんとれいかは平家山のふもとまで散歩をしました。

 秋がすっかり深くなっていて、茶色いイガグリが道に落ちていました。もう栗は取られた後で、イガだけが残っていました。来年は栗拾いをしようなどと話しながら行くと、派出所がありました。


 その時、れいかが「わたし、きいてくる」と言って、派出所にはいっていきました。

 警視庁遺失センターからは、黄色いケースのスマホは届けられていないという報告書が届いていたのですが、れいかはあきらめていなかったのです。


 ちょうどそこにいたのが佐々木ルツ子という若い巡査でした。

 れいかが「黄色いケースにはいったスマホは届いていませんか」と質問すると、ルツ子巡査は「あなたのお母さんはめぐさんですか」ときいたのです。


「いいえ。担任のめぐみ先生がスマホをさがしているんです」とれいかが答えました。


 おじいちゃんが話をきいてみると、3年前に、黄色いスマホは派出所に届けられていたのですが、誰も取りにきませんでした。ルツ子巡査は遺失センターに送るという規則は知っていたのですが、送るのをためらっていたのです。


 スマホはひどくこわれていたので、持ち主を捜すためにSIMカードを取り出そうとして、ケースから外した時、ケースの裏にメッセージが書いてありました。


「Never leave me alone.

 Meg」


 それは「わたしをひとりにしないで」という意味です。

 ルツ子はこのメグという人が、恋人に贈ったケースなのではないかしらと思ったのです。


 その時、ルツ子巡査はこのメグという人の気持ちを、自分のことのように感じたのです。きっとメグさんが、恋人のスマホをさがしに来るに違いない。さがしにきてほしい、そう思って、取っておいたのです。



 それがおじいちゃんの話でした。

「あのう、ひとりにしないで、というのはスマホの気持ちになって書いたのです」

 とめぐみ先生が顔を赤くして言いました。

 いつきさんが研究室の中で、一日に何度もスマホをおき忘れるので、忘れないようにという意味で。


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