2 和歌とふみふみマッサージ
二学期が始まった時には、クラス中に、めぐみ先生が英語がペラペラだということは知れわたっていました。
「先生、どうして教えてくれなかったんですか。みずくさいじゃ」とクラスリーダーのれいかが言いました。
「みずくさいなんていう言葉を知っているのね」とめぐみ先生が感心しました。
「わたし、本を読むのが大好きです。宮沢賢治が大好きなんじゃ」とれいかが得意そうに言いました。
みんなはめぐみ先生がアメリカにいた時の話をしてほしいと頼みました。
「わたしはおしゃべりだから、話し始めると、ずうっとしゃべり続けてしまうから、お勉強にさしつかえると思うのよ」
「いつもでなくてもいいから、なんか、いいことをしたら、話してくれますか?」と愛子がききました。
すると、和歌が「わたしは九九をしっかりおぼえてくるじゃ」と言ったので、みんなが注目しました。
「数字がきらいじゃ」と和歌は九九をおぼえることをずっとこばんでいたからです。
「和歌、おまえは泣き虫じゃ。泣かないでできるんか」とそう太郎が言いました。
「できるさ。もう泣かんじゃ」 と言いながら、和歌はもう泣きそうです。
「和歌ちゃんはできますよ」とめぐみ先生がやさしく言いました。
「これから、おばあちゃんの背中にのりながら、暗記するじゃ」
和歌はおばあちゃんが大好きなのです。
毎晩、おばあちゃんの背中にのって、ふみふみマッサージをしてあげているのです。
「わかりました。約束します。和歌ちゃん、がんばって」とめぐみ先生がほほえみました。
和歌が九九をしっかりと覚えて来た日、みんながめぐみ先生のまわりに集まりました。
「先生、約束じゃ。アメリカの話をしてください」と和歌が胸をはって言いました。
「では、何の話をしましょうか」
「私はよく泣き虫なんじゃけど、先生はアメリカで泣いたことあるじゃろか?」と和歌がききました。
「ありますよ」
めぐみ先生は上のほうを見て、あの時のことを思い出していました。




