1 めぐみ先生の英語
八条めぐみ先生は大蔦村にある下藤小学校の3年生の担任です。
大学を卒業して、東京から遠く離れたこの村にやってきたのは、今年の春。なんでも、自然が大好きで、この村に住んでみたかったからなのだと言っています。
3年生は男子がふたり、聡太郎、明夫、女子はれいか、和歌、愛子、くるみの4人、全員で6人です。
そう太郎くんは名前が将棋の藤井聡太五冠(現在は八段ですよね)とほぼ同じなので、そのことをとても自慢に思っています。
五段のことを「大先生」と呼び、自分もいつか、大先生のようになりたいと思い、町の駅前にある将棋教室に、明夫といっしょに通い始めました。
夏休みのある日のこと、その駅前で、外国人の男性を見ました。もちろんテレビでは見たことがありますが、ホンモノのガイジンははじめてです。ふたりの外国人は何か質問しているのですが、何を言っているのか、誰もわかりません。そう太郎と明夫も助けようと駆けつけたのですが、すごく背が高くて、下から見ると鼻も大きくて、ちょっとびびりました。
「ハロー」とそう太郎が言いました。
ガイジンは喜んで何か言いましたが、ふたりにはさっぱりわかりません。
困ったなぁと思っていると、そこにめぐみ先生が現れて、ぺらぺらぺら。
外国人がぺらぺらぺらで、めぐみ先生がまたぺらぺらぺら。
「サンキュー・ベリーマッチ」と外国人が笑顔でお礼を言って、歩いて行きました。
そう太郎と明夫はびっくりです。
もともとやさしいめぐみ先生のことは好きでしたが、ぺらぺらぺらのめぐみ先生を見てもっと好きになり、リスペクトの気持ちが湧いてきました。
「先生、すごい」とふたりは目を輝かせました。
「すごくなんかないわよ」とめぐみ先生が照れました。
「どうして外国語ができるんじゃ?」とそう太郎がきくと、
「子供の頃、ニューヨークにいたのよ」と先生が答えました。




