13 めぐみ先生、さがしものは何ですか
お昼休みに、れいか、愛子、和歌、くるみの女子4人がめぐみ先生のところにやってきました。
「先生の友達の昆虫学者は、3年前に、青ヶ岳で転落して死んだんですか」とれいかがききました。
生徒には何でもわかってしまうのね。
「そうなのよ」
めぐみ先生がこたえると、和歌が涙ぐみました。
「事件性はありますか」とれいかがききました。
「ひとりだったから、ないと思います」
「その友達は先生のカレですか」とくるみがききました。
中川樹さんのことをカレと呼ばれて、めぐみ先生はどきっとしました。
いつきさんの存在は、世間では「カレ」というものなのかと思いました。なんかしっくりはしませんが、大好きだったのは本当です。
「そうよ」
「そのカレのことを思って、この村にやってきたのですか」と愛子です。
「イエスアンドノーかな」
英語がでたので、みんなの瞳がまん丸です。
「そうかもしれないし、そうでないかもしれないわ。自然がいっぱいのところで暮らしてみたかったし、・・・・・・、それと、さがしものをしてるの」
「さがしもの?」
「めぐみ先生、さがしものはなんですか」
れいかがあごに手を当てて、考えこみました。
「さがしているのは、チョウチョですか」と愛子がききました。
「いいえ」とめぐみ先生が答えました。
生徒たちの顔を見ると、えさをまっているひなのようです。
「さがしものはね、スマホです」とめぐみ先生が言いました。
実はいつきさんの遺品の中に、スマホがなかったのです。
でも、彼が山に、スマホを持って行ったのはたしかなのです。
前の夜にはめぐみのもとに満月の写真が、次の日の朝には、「みつかった。こうご期待」というメールが届いていたからです。
でも、そのメールがさいごでした。
「だから、そのスマホをさがしに、先生はよく青ヶ岳に行っているのですね」と愛子が言いました。
そうなのよ、とめぐみ先生がうなずきました。
「わたし、パパに頼んでみるじゃ」とれいかが言いました。
れいかの家は警察一家です。
れいかのパパは警察官で、叔父さんが刑事で、おじいさんが県警の本部長なのです。
「もう3年前のことですし、事件でもないのに、ご迷惑はかけられません」
「警察は人の幸福を守るのがお仕事です。パパがだめなら、おじいちゃんに頼みます。わたしが何か頼むと、おじいちゃんがすごーく喜ぶんじゃ」とれいかがはりきりました。
れいかは「金田一少年事件簿」の大ファンで、大人になったら、名探偵になりたいと思っているのです。




