63、指南と警護2
先日ゴツマスから渡された指南手順書を頭に入れてきたアン。
手順書やメモを片手にというカッコ悪いことはしないと縛りを付ける。
手順書通りの順に下級魔物から倒してもらい、実力を確かめる。
10歳から指導されているだけあって型は良い。
下級種の魔物ならこれなら問題ない。
「今から魔物一体に付き、二、三手の邪魔をする、気を抜くな」
「えっ?どうし……なぜだ?」
どうしてですか?と言いそうになった所をギリで止めて、一呼吸してから問うてきた。
「ほら次だ」
そこは応えないのがセオリーと手順書に書いてある。
ここは、街の外の林の中。
下級の魔物がいい感じに種類ごとに縄張りを作る。
手前から奥に入って行くと魔物の強さが強くなっていく。
林奥には山へと繋がる森があり、森からは中級以上の住処。
ちなみにアンは、この林から森もしっかりと自分縛りも付けて攻略した。
一種10体を倒してから次の魔物へと移る。
レベルのあるゲームであれば、100体狩り縛りを楽しんでいた。
だが、ここはゲームとは違い、くるくる回っているだけでは現れてくれず、探す時間が必要。
泣く泣く10体に数を大幅に減らしたが、回数をこなしているので、この林の100体狩りは確実なはず。
討伐数のカウンターが欲しい限りである。
そんなゲーム脳を片隅に、魔物に対峙するエントの観察。
型はいい、だが型通りで抜きがない。
だから、アンが小石を足に当てたら、少し体勢を崩してしまう。
「なっ」
「気配を探れ、こっちを向くな」
この言葉も手順書に書いてある。
ギルドに加入時にある程度の初心者ランク分けがなされる。
細かいランク度合いは分からないが、そのランク分けで分けられたエントのランクは、『型坊ちゃん良』
型を習ってきたいいとこ出の坊ちゃん。
良が付いてるので、坊ちゃんであるが見込みはいい方。
そんな対象には、型の崩し方が載っていた。
ちなみにアンの加入時のランクは、『無問題』である。
敢えて星を貫き通すシェルが指南しているのだ、難癖付けられるような指導はされてないし、望んでいない。
それから二手ほど邪魔をしたせいで、先よりも少し時間がかかりつつも倒すとこちらに走ってきた。
「っ、説明を」
「これがお前の欠点だ。見守りがいなくなれば死ぬぞ」
「……魔物と対峙していても周りに気を配れと?」
「それだけか?」
「……踏み込み、振り下ろし、三手目の組み替え時……」
邪魔した瞬間を思い出して考察する頭も持ち合わせてる、これは確かに良に値する。
「型ですね」
「ん?」
「あっ、型だな」
「稽古じゃない、全て崩せ」
「はっ……ああ。引き続き頼む」
はいっと言いたくなる気持ちは分かるが、それも崩さなくては、だって冒険者だもの!




