54、弟二人と昼食にて④
その後は、それこそ4人でまったりとお茶タイム。
その話の内容は、貴族学生達の話す内容とは少しかけ離れているが、単なる世間話で花が咲いた。
そろそろかと、ふっと思い出したかのようにシキュに告げた。
「……そう言えば、先ほど学業外と言っていたけど、シキュはここの学生ではないわよね?」
その言葉に声を出したのは、ハモる気がなくてもハモってしまう双子の方。
「「えっ??」」
「貴方達、シキュと同じ授業の科目ある?」
「「同じのは……全くない……」」
「なら、会うのはどこ?」
「「渡り廊下とか庭とか、あと寮の庭……あれ?」」
自分たちがシキュに会う場所が、室内ではなく、室外であることに気付いた二人。
「いくら記憶を辿っても、学生名簿や関係者名簿にシキュの名を見かけたことはないの。貴方、無許可営業していたのね。先ほど追われていたのは、警備課かしら?」
そう言うと、シキュがニコリッと笑んだ。
「あらー、さすがお姉様。関係者名簿までも網羅しているとはおみそれしました」
悪びれてもいない、淡々とこの場を切り抜ける為の文言を述べるシキュ。
「残念だけど、我が家としては無許可営業を看過する訳にはいかないわ。だから、提案なのだけど、本当にしてしまわない?」
「へぇ?」
シキュの間の抜けた返答にアンは笑みを返した。
「無許可営業だけでなく、学園への不法侵入も裁かれる対象ではあるの。だから全部合法化にしてしまいましょう。手続き上のことは我が家でしっかりと行うわ。更正機関として学園を活用すれば、一石二鳥よ、どうかしら?」
「えーっと、それこそ逃げ道なしでは?」
「箱や、穴などでの酷使よりは、良いと思うのだけど」
ここは王族貴族が集う由緒正しい学園である。
最悪、牢獄行きや修道院でのお勤め、又は坑道での肉体労働、そんな重罪を課される罪になり得てしまう。
「うー、ではそれで……」
「では、決まりね。第一責任者はもちろんシキュよ。更正なのだから、もちろん代理はなし」
「えっ、それはまたお姉様、手厳しくないですか?」
「私が思うに、貴方は木の葉よりも腰を据えた方がいいと思うの。しかもこの学園内なら、他の誰も手を出せない場所よ、貴方が思う存分に様々な分野で発揮できると思うわ」
シキュは、アンの言葉に思案顔。
すると、蚊帳の外にしてしまっていた双子が割って入ってきた。
「「待った!追いつけてない!どういうこと?」」
二人の言葉に一瞬固まったアンは、一度自分が話した内容を回想した。




