新しい箱庭作り
「フローレンスさん、どうぞこちらよ。」とリディア奥様に食堂へ案内された。
フローレンスは離れで着替えを済ませて軽く体を拭きさっぱりとさせると、鏡で全身をチェックして来た。これからこちらの家族の皆さんと一緒に夕食になるかもしれないと考えられたからだ。
食堂に入ると既に食事は呈された後でまだ手付かずである。テーブル席には先ほど荷物を手伝ってくれた息子さんのリックさんと、そのリックさんの面影を感じる50代ぐらいのふっくらとしたグレイヘアの男性が座っていた。
「フローレンスさんはこちらよ。私の隣で良いわね?」と奥様の隣の席ヘ案内された。
席へ着席すると奥様が「今日から教会の壁画のお手伝いをされる事になったフローレンスさんです。離れを使ってもらう事になったわ。困ったりしてたら助けてあげてちょうだい。」と紹介してくれた。
「私がここの主人のルーベンスだ。ルーベンス・サンダースだよ。宜しく頼む。」とこちらを見てにっこりと笑いながら挨拶された。
「ご挨拶が遅れ申し訳ありませんでした。トリニティから来ましたフローレンスです。今日から宜しくお願いします。」と会釈をした。
「さぁさぁ、お互い分かったところで食事にしましょうか?」とリディアさんが言うと、旦那様の「そうだなじゃあ頂こうか。」この言葉を合図にお祈りが始まった。
お祈りが済むと皆一斉に食事を始めた。
食事はお野菜を使った物が多く体に負担をかけない内容が多い。でも料理人の腕が良いのか、しっかりとベースのスープを取ってあるので、全体的に素朴で美味しかった。
食事が終わりデザートとコーヒーが出て来た。デザートはこちらの特産の桃を使ったコンポートだった。こちらの地方ではこうして旬の果物をたくさんコンポートにして長く楽しむんだそう。
コーヒーを飲みながら旦那様と今後の事について話をした。
チラシに書いてあった通り月に1回で良いから教会に寄付を入れて欲しい事。そのおよその金額はだいたいこれぐらいで。などの現実的な話をした。フローレンスは了解の意思を伝えて、更に1つ提案をした。
「旦那様、先ほど奥様にもお話しさせて頂いたのですが、こちらの箱庭をお手入れしても宜しいでしょうか?」
「あぁ聞いてるよ。本当に良いのかい?こちらとしても願ったりだ。この屋敷は代々伝えられて来た物だが、私も家内もあまりこの分野は興味が無くてね。」と苦笑いされてました。
「早速明日から少しずつ取り掛かりたいと思います。ご迷惑をお掛けする様なら遠慮なく言って下さい。」とサンダース家の皆さんに話して置いた。それから家族の話などを少ししてから
「ご馳走様でした。私は離れに戻って休みますね、皆様お休みなさい。失礼します。」と食堂を後にし離れへ戻った。
離れに入り、机に向かうとスケッチブックを出し、アイデアを形にするためここの箱庭のスケッチ始めた。こんなに陽気で過ごしやすい気候ですもの。お花は植えやすいわ。
「今はこんな感じかしら?」と呟くとスケッチ帳を閉じ、この日は疲れていたのもあって早く休んだ。
次の日は早くに目が覚めた。
動きやすい服に着替えて箱庭へ出た。朝の空気が清々しく鳥のさえずりも爽やかだ。
「うん~。」と伸びをしてピシッと両頬を叩いた。
「さぁ、少しずつやりますか。」としゃがみ込むと片隅から草を抜き始めた。
草をむしりながらゴミを避けていく。フローレンスが好きな時間だ。気がつくと4分の1ぐらいまで進んでいた。
脇に避けたゴミを1か所に集め、その隣に抜いた雑草を積んでおいた。箱庭で作業が済んだ頃合いで「フローレンスさんおはよう。ありがとう早速やってくれているのね?これから朝食ですよ。」とリディア奥様が声をかけて下さいました。
「おはようございます。では着替えてから食堂へ行きますね。」と返事をし、離れで着替えてから食堂へ向かった。
食堂には既にサンダースの皆さんが揃ってて「フローレンスさんおはようございます。」と旦那様とリックが挨拶して来た。
「旦那様、リックさんおはようございます。」とフローレンスも返し「旦那様、先ほど箱庭で作業した際にゴミが出てしまいました。すいませんが処分をお願いします。」と頼んで置いた。
「あぁ、わかったよ。下男にでも処分させておく。」とおっしゃってました。
そのまま全員で朝食を食べ、フローレンスは教会へと向かった。




