宥める。
お怒りの治まらないウィルトス様をお連れしてお屋敷へ……
ふぅ、やっとお屋敷が見えて来ましたね、
門衛さんに門を開けてもらいお屋敷の敷地の中へ…
足を一歩踏み入れた瞬間にウィルトス様が大きく息を吐く
そうですそうです、しっかりと深呼吸なさって落ち着いて下さい、
お屋敷の中からウェルトスさんとセルスさんとセリスさんがいらっしゃいましたね、
「フィーリアさん、兄さんと会えたようですね、良かったです」
「えぇ、お陰様で、……?お家では兄さんなのですね、昨日は兄上だった気がしますが…?」
「あはは、ええと、昨日は緊張していまして……ついつい余所行きの口調になってしまっていて……」
「そうだったのですね……」
本当に仲の良いご兄弟なんですね〜羨ましいですね。
思わず頷いてしまう、
「……それでフィーリアさん、何故兄さんはあんなに怒っているのですか?」
「ええと、それがですね……」
私が街でのことを説明する、
「昨日お世話になった方々とお菓子を食べていたところに突然見知らぬ貴族がやって来たと思ったら唐突に
貴族の私が居るんだ〜さっさと這いつくばれ〜庶民どもめ〜
と、私含め街の方々に怒鳴り散らして……
ほんと、失礼しちゃいますよね、
何故街の方々が頭を下げ無くてはならないのか理解が出来ません、それも王都でその様な行い……
有り得ませんね。
それからしばらくその貴族に絡まれて不愉快に思っていた所にウィルトス様と宰相様が来て下さって…
本当に助かりました、」
「そ、その様なことが……」
「街でその様な横暴が……」
「それに王女殿下であるフィーリア様に……」
「…………不愉快?不愉快の一言で済ませるなんてもんじゃなかったよ…?
……フィーリアを妾にしてやる?
平民であるお前に私の子を産む権利をやる?
ありがたく思え?
………巫山戯るんじゃない!!!!!
あの場で八つ裂きにするのを私が…私がどれほど必死になって抑えたか!!
次彼奴に会ったのならばその時は必ず、この手」
「ウィルトス様、私の為に怒って下さり、そして私を大切に思って下さりありがとうございます。ですがそこまでですよ。それ以上仰ってはなりません。まずお屋敷に入りましょう。」
「………ああ。」
二人で先にお屋敷に入る、
「兄さんがあんなに怒る訳だな。兄さんのフィーリアさんへの気持ちは相当なものだ、そのフィーリアさんを、か。」
「何という無礼……フィーリア様にもウィルトス様にも…侮辱以外の何ものでも有りませんな。」
「その貴族、竜の尾を踏み抜きましたな。ウィルトス様をあそこまで怒らせるとは……それも当然の行いですが…」
執事さんの案内でフラフラと歩くウィルトス様をお部屋まで連れて行く、
力なくベッドに腰を下ろすウィルトス様。
半ば呆然と遠くを見つめている、
「……ウィルトス様、
私はあの人の妾になんてなりませんよ?
それにあの人の子どもなんて産みませんし、そんな未来なんてないわ。
私が結婚するのはあなたですもの。
私が産むのはウィルトス様の子どもだけですよ?
それにそんなに心配なさらなくとも、
あなたは既に私の特別ですよ?
代わりなんていませんし要りません。
私は何処にも行きませんし、生きている限り、貴方と共に歩もうと思っております。
なので、元気を出してください、ウィルトス様。」
そっとウィルトス様を抱きしめる
「っ…………」
頭を撫でてみますが………
なかなかだめなようですね…
う〜ん、そうでした、焼き菓子を食べてもらいましょう!
「ウィルトス様、こちらを一緒に食べませんか?」
「…………?」
「焼き菓子ですよ、私が作ったのです、」
「…フィーリアが作ったのかい?」
「えぇ、今日はお菓子作りをしていたのです、皆さんに食べて頂こうと思って。
お屋敷の方々は私たちの結婚式の準備で忙しくなさっているのに私に出来ることはありませんからね、
せめて休憩の時に食べて頂こうと思って作ったのです。
それを昨日街でお世話になった方々におすそ分けしていたらあのような事に…
すみませんでした。」
「ぁ……」
お口を開けて待っていらっしゃいますが……
まぁ、いいですかね、たまには
手を添えてお口へ運びます、
「はい、どうぞ、」
ぱくっ
もぐもぐ
「おひしひよ、ふーりあ」
「それは良かったです、次は焼きたてを食べて下さいね!
いえ、今度はまた違うものを作ってみましょうか、ウィルトス様はどのようなお菓子がお好きですか?」
「う〜ん、甘過ぎなければ、なんでも好きかなぁ」
「では色々と作ってみますので楽しみになさっていてくださいね!」
「あぁ、楽しみしてるよ。」
やっと何時もの優しいお顔になりました、
こちらのお顔の方が素敵ですね。
「やっと元気になったようで良かったですわ、」
「……ありがとうフィーリア、」
「ふふっ、今の優しいお顔の方が素敵ですよ?」
「っ!」
ゆっくりと立ち上がったウィルトス様が優しく私を抱きしめる、
まるで私がそこにいるか確認しているかのように、
思わず笑みがこぼれてしまう、
「私はちゃんとあなたの腕の中におりますよ?」
そう言って笑うと私を抱きしめる腕に少し力が入った、
……?照れているのでしょうか?
顔を上げてみると本当に照れているようでした…
照れているお顔で優しく微笑む…
優しさに満ちた彼の腕の中はとても心が落ち着きますね…




