アクセル、ハンドル、そして衝突
念頭に置いてほしいことがあります。厳かな討論は望んでいません。私は、作者も読者も楽しめる物を作りたいだけです。この物語は、よくある転生ものとも解釈できるし、歴史のありえないifを書いているとんでもない物語とも解釈できます。後者の解釈をした場合、細かな史実の違いをいちいち指摘するのは控えるようお願いいたします。
『説明書には、我々は前世と似て非なる一人の人間だから、前世通りにならないことの方が多いかもしれないって書いてあるし…。』――本文より
「まあ、10年かかるラーダも私の魔法を使えば一発で呼び出せますけどね★」
セキはシャルを中庭に案内しつつ話す。
「魔法?魔女か?水に入れて浮いたら処刑な。」
ウラがまた口を挟む。
「魔女狩りやめろや!お前世代じゃないだろ!もうこっちくんな!あっちのずぶ濡れの客たちの相手してろ!!」
セキがキレる。開店初日でこれは先が思いやられる。
「はい、これがラーダです!」
セキが中庭につくなり、どこからかラーダが現れた。枯山水がある中庭は、どこか和を感じさせるが、ラーダのせいで風情がない。
「これ弁償代はいくらですか?」
シャルが早速問いかける。
「壊す前提で話すのやめてください。」
セキが真顔でツッコむ。
「まあ、もうこいつはいらないし、壊してもいいですよ。むしろ、壊してあいつに見せてやってください。」
セキは相当彼が嫌いらしい。
「よっしゃ!じゃあアクセルのかけ方を教えてくれ!」
シャルは早く操作したくてたまらないようだ。
「あなたにはまずブレーキを覚えてほしいですけどね。」
セキは嫌味を言った。
そしてシャルが簡単な操作の練習をしている頃、ウラは毒素チームの相手をしにいった。
「このへっどふぉん?という機械は一体何に使うのか?」
ウラが来たので、ヨシが聞いた。彼女らは急に高校生の姿になってこの世界に来たので、世界の物資をよく知らない。創造主が自分の歴史の教科書を見せて説明しているものの、教科書にヘッドフォンは載っていないので…。事情を知らないルフからすると、どんな田舎から来たんだと恐怖を感じる一言である。
「えっと…、耳にあてて使うようだ。音がよく聞こえるらしい。集中して作業ができるから、ゲームをする君らにはおすすめらしい。」
そしてカタログをガン見して喋るウラ。この二人は前世も今世もどんでもないド田舎からきたのだろうかと推測を始めるルフ。
「まあ、金が有り余ってるし買うか。一つくれ。」
そういって千円札をウラに渡した。食事などの生活費は創造主が負担するので、追加でお菓子などを買わなければお金は有り余るはずである。しかし、チルはココアシガレットを家にいるときはずっと食べているため、箱買いしていて早速たくさんのお金が消えている。年齢的にタバコが吸えないから、こうした形で前世の影響が出たのだ。
「もう帰るんですか?俺がついてきた意味は…。」
出口に向かうヨシに驚いてルフが言う。
「全員分買おうかと思ったから、荷物持ちとして連れてきたが、やっぱり気が変わったのでね。」
あまりにきまぐれすぎるとルフは呆れた。しかし、実際はただ全員分を買えるほどのお金を持ってきていなかったからである。
「金がないだけだろ。財布の中身がさみしいぞ?」
そして堂々と指摘するルー。
「そうか、社会主義やってるとそんなにお金がなくなっちゃうんだ。前世で人民を苦しめた罰だね。」
ルーが煽り散らかす。
「忘れただけだわ!私の国舐めんな!!」
ヨシはルーを睨む。ルフは、どこかの国の重要人物で、なんかよくない統治をしたのだと察する。社会主義国家だったようだ。社会主義…?なんか拒絶反応が…。なぜだろう。
「ようやく出てきたな。」
シャルは独り言を呟いく。アクセルの位置、ハンドルの方向、それだけを確認して、出てきた三人の方へ動き出す。
「おらっ!」
そしてルーと思われる人物めがけてハンドルを回し、加速する。こちらに突進してくる車に怯え、ルー以外は硬直している。
「ヤバい!こっち来る!!」
ルーは二人を押しのける。そして自分も逃げるも、間に合わなかった。
窓を開けていなくても、悲鳴がこっちまで聞こえてくる。目の前には倒れているなにかがいる。作戦成功のようだ。その劈く悲鳴を聞きつけて、セキとウラがやってきた。
「まさか、本当に壊す前提で…。」
セキは思わず口から言葉がこぼれた。
〜前世の相関図〜
あくまで前世と今世では違いますからね!シャルの前世がこんなに残酷な人物だったわけではないですよ!!




