女神との邂逅! ユニークスキルはシャカパチ!?
パック剥くの楽しいよね。
釈迦 パチ男、童貞21歳。生涯をカードゲームとシャカパチに捧げた男は言った。
「あの絶妙な角度から差し込む感じが溜まらないんだよ 」
続けてこうも言った。
「相手が考えてる時でもお構いなしにかましてしまうのがシャカパチなんだ、これはもう癖なんだ。くせぇだけに 」
人それぞれついうっかりやってしまう習慣は誰にでもある。例えそれが他人に迷惑だとしてもやってしまう。彼がもしも異世界に転生することになってもそれは変わらないだろう。
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暗闇から聞こえる不気味な音。
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真っ暗な空間で鳴り響くその音は、聞く人によっては快感と不快感を与えるだろう。
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この音を聞くたびに脳裏に過るゲーム展開。
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あぁ、あの神引きでついうっかりもらしちゃったっけ。
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孤独な心を慰めてくれるこの音が俺の生きがいなんだ。
「あの~、、、 」
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「もしも~し、、、 」
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「あの~! きこえてますかぁ~、もしも~し、聞こえてたらへんじしてくださ~い 」
「あっ、お構いなく、、、 」
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「~~~、くっ、、、 」
シャカパチに夢中な俺の精一杯の誠意”お構いなく”。これを言えば、どんな強敵も諦め去っていくのだ。ただそんな無粋な返答に突然現れた声の主が納得するはずもなく、
「お構いなくじゃな~~~い! 」
ぶちぎれた。彼女の咆哮によってカードが吹き飛んでしまった、拾いに行かなくては。
「あのさ~君もうっっっちょい他社との関りを大事にした方がいいよ。こんなにかわいくて美しい聡明な女神さまが対応してあげているというのに! 」
彼女は女神だったようだ。女神にしては包容力はなさそうだが?
「はぁ、はぁ、ぜはぁ、久しぶりに大声出したから、のどが、ちぬ、、、 」
銀髪ショートの女神さまはロリロリしていた。見る人が見たら卒倒しそうな見た目をしているが、パチ男にはあまり刺さらなかった。
「女神を前にしてなんて表情をしてるんだ! もっと喜べ! 興奮しろ! 崇め奉れ! 」
「わ~(笑)、女神様さいこ~う(笑) 」
「棒読みやめい、この童貞糞くそ男! 臭いあまりにも臭すぎる。ここは死後の世界だというのになぜ臭いをもちこめるのだ! はっ! もしや貴様は神殺し、、、 」
とてつもなく物騒で人権侵害な発言が多すぎる。動物愛護団体に泣いて縋り付いて守ってもらうしかないな、この絶滅危惧種童貞を。さてパチパチ、、、。
「パチパチやめい、おろすぞ、おおん。今回君を呼び出した目的はただ一つ。君は勇者となり異世界を救う英雄になってもらいます 」
ほけーっとした顔でパチ男は話を聞く。おー、ふぁんたじーっぽいと心の中でつぶやく。
「そこぉ、心の中で呟くんじゃない! 声を出せ声を! 」
「おー、パチパチパチパチ、、、 」
「シャカパチで拍手をするんじゃないよまったく、そんなわけであなたには初めにユニークスキルとノーマルスキルを一つずつ獲得してもらいます。じゃ、この穴に突っ込んでカードをドローしてください 」
なに!ドローだと! と眼光をギラツかせながら近づき手を突っ込んだ。
デュエリストの魂に呼ばれている気がする。そんな肌触りの一枚だ! 俺のターンドロー!!
「これは、、、 」
”ユニークスキル シャカパチ”
①一定時間シャカパチをすることでドローエナジーをチャージすることができる。
②チャージが溜まると一枚ドローすることができる。
③引いたカードによって効果を適用する。
「シャカパチをすることで効果を得ることができるのか。神スキルだな 」
「いや、ごみだろ、、、うっおっほん、とても珍しいスキルですねぇ! 私初めて見ましたぁ、このスキルなら世界なんて簡単に救っちゃえますね 」
なんか聞こえたが無視しよう。それよりも早くユニークスキルを試したい。
「女神、さ、ま、早く試したい、早く転生させてくれ 」
「まぁ、焦りナさんなってパチ男さん! もう一枚ひいちゃってください。そして早く消えてくりゃざい 」
さらに聞こえたが、はやる気持ちを抑えてドローする。
”スキル お構いなく”
①自分に対しての対話、攻撃、万物のあれやこれやを受け流すことができる。
「こ、れは、KAMIだな 」
「いや、くっさ、、、 」
最上級の失礼なことを言われた気がしたが、獲得したスキルを気に入りすぎてどうでもよくなっていた。
「女神! もういいか! はよ俺を転生させてくれ 」
「わがりまちだ、、、 」
顔面蒼白の女神が魔法を行使する。すると、パチ男の足元に魔法陣が展開される。
「おお、ふぁんたじー、、、 」
棒読みで感想を言い終えると、体は浮遊し発光する。
「はい♡ 転送! 」
童貞の姿が消えた。彼の姿が消えたことで異臭も収まる。
「鼻がもげるがどおもっだ、、、 」
女神は不敵に笑いゲボしたのだった。
「彼は行ったかい? 」
暗闇から先の尖った革靴を履きパキッとしたスーツを纏ったサラリーマンが現れた。女神は吐きながら彼を一瞥すると再び吐き出した。
「げぇ~、おぇ~、えっっえ、はぁ、はぁ、はぁ、おばぇ、なんてもんをよこしやがったんのよ、おぇ、、、 」
男は鼻を摘みながら近づいて女神の背中をさする。
「女神様すびばぜん。まさか精神体にまで臭いがついてくるなんて夢にも思いませんでしたよ。あとで上司に報告しなければ 」
「ま~じでちぬかどおぼった、もう無理。二度とカードゲーマーは送ってこないで 」
「かしこまりました。それも伝えます。して女神様、私も彼の飛ばした場所に転生してほしいのですが 」
「あぁ、あなたが監視役なのね。わかったわ、そこに立って 」
女神が指さした場所に移動すると、先ほどと同様にリーマンの体が輝き始めた。
「じゃあ、おねがいね、目標が達成された暁にはあなたの会社に莫大な富を与えることになるでしょう 」
「ええ、お任せください 」
リーマンは会釈をするとその場から消え去った。
一人取り残された女神は、彼からもらった消臭スプレーを全力で散布していた。
アイスの実を鼻に突っ込んで遊んでたら、うんこ漏れた。




