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そんな魔法ならいらない  作者: door
Chapter 3 : Anti-Fake Strength
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#14 “偽り”の証明④

「『魔法規格検査(マジック・ジャッジ)』・・・への、“反逆”・・・?」


言葉を繰り返し、思わず息を呑む楓。真剣な表情で呟く當真と目を合わせるも、いまだ思考に感情はまだ追いつかない。緊張感も漂う、が


「ふわあ・・・ねえねえ?ないと?“はんぎゃく”って、なーに?あと。なんで、ちょっとカッコつけてるんだよ?」


お昼寝モードの最中、楓と當真のやり取りを眠気眼のまま眺めていたパレットが、隣人の“いつになく”“入っている”感に違和感を覚えたのか、思うままに感想を疑問にしてぶつける。


真剣な表情から一変、頬を赤らめていく當真と、緊張感が一瞬にして崩壊した状況を受けた楓も、思わず視線を外し含み笑いをしてしまう。


「ゴ、ゴホン、ゴホンッ・・・とにかく、ここ一連のボヤ騒ぎの企業や会社も、昨日のビルでの火災事件も。どこも『魔法規格検査』を実施するにあたって、何かしらの協力や協賛、出資してるところばかりだったんだよ・・・(あと、別に、カッコつけてねえし・・・)」


咳払いの後、最後の小言は除き、テーブル置いたスマートフォンの画面を示しながら説明を続ける當真。


「一件目の企業は小規模出資で、二件目は『魔法規格検査』の主に“身体操作系”の検査時に使う用具の提供をしている会社のひとつ、三件目は“精神操作系”での筆記検査時での教材の一部提供企業・・・」


「ちょっと待って待って!!『魔法規格検査』に協力してる企業や会社なんて、このリストに載ってるのに限らず、山ほどあるんじゃないの?!それこそ“世界国民義務”なんだし!?」


當真の説明に、思わず口を挟む楓。だが、確かに、その意見は往々にして“正しい”。


“二年に一度”行われている『魔法規格検査』は、この国に限らず全世界共通で実施され、その対象は“全人類”。大きなスポーツの祭典などで“全世界が熱狂し注目する”、などと言った比喩とは“そもそも比較”にもならない程の、“魔法が生まれた日”以降にこの星に生きる人類全てを対象とした“強制行事”なのだ。


ゆえに、国の選別はあれど、この“強制行事”に対し協賛、協力している企業や会社は、特に検査実施年度においては、言葉そのままの意味で“山ほど”いるのだ。


たまたま数件のボヤ騒ぎが続いた中で、それが“共通点”だったと見出したとしても、一概に関連性が強いとは断定出来ない。“偶然”であることを否定しきれない理由だって、十二分にあり得るのだが・・・


「スマホさ、ちょっとスクロールしてみて?」


當真に言われるがままに、楓はテーブルに置かれた當真のスマートフォンの画面をスライドする。


そこに映し出されたのは、“一枚のメモ用紙”のスクリーンショット。


数字が“六つ”、箇条書きに記載されていて・・・・・そして、すぐに楓は気がつく、


それらが、“当てはまる日付”であるという事に。



「“それ”も、“アイツ”が“追加”でくれた『情報』なんだけどさ。“それ”自体は今年の“春先”くらいの“とある”メモ書きらしくてさ。最初見た時は、何のことかさっぱり分かんなかったんだけど・・・上から三つまでの日付と、下から二つ目の日付は、これまでの一連のボヤ騒ぎの事件と“昨日”のビルの分で当てはまってたんだけど、“四つ目”の日付が分かんなくて、俺も確信はなかったんだ。でも、」


當真は一呼吸、視線を楓に向ける。そう、“四つ目の日付”は、一昨日の日付。つまり


「さっきお前から話を聞いて。“四つ目”も“魔研”の分で該当してることが分かってさ、つまりこの一連が“繋がった”んだ。だから、“共通点”が『魔法規格検査』だって考えるには、もう十分すぎるほどの“理由”があるんだよ」


スマートフォンのメモ書きの“日付”と、この“一連の騒動”が“繋がった”事で、その中の“唯一”の共通点が“魔法規格検査”で在る事を踏まえると、當真が導き出した“結論”も十二分に“正解”であるという可能性を楓も感じ取っていた。


だが、何よりもまず、楓が“気になる”のは


「・・・ねえ、あんた、この“情報”って、そもそも“どこ“”から手にしたの?“アイツ”って?情報自体の“グレー”度合を考えてもさ、“信用”していいものなのかも私には分かんないんだけど?」


そう。こうした“世に公表されるはずのない”『情報』を目の前の少年が手にしている事も、その『情報』自体も、とてもじゃないが“非日常”すぎる現実に対し、楓が疑いの気持ちを抱いてしまうのは、決しておかしな反応ではない。


しかし


「“どこ”、からかは正直俺にも“分かんねえ”けど・・・でも、“アイツ”が“必要”な『情報』を“間違える”ことはなかったからさ、これまでも“一度も”。だからさ、そこだけは絶対的に“信頼”出来んだよ。まあ、そこ“だけ”、なんだけどな。ハハッ」



ドキッ



楓に向かって、声を荒げるでも慌てるでもなく、ごく“当たり前”のようにまっすぐと、最後には微笑みながら言葉を続ける當真。


その一切の“迷いがない”姿と、笑顔に。楓の心に芽生えていた“非日常”の“疑念”も、不思議とゆっくりと薄まっていくようで。


思わず、楓は一度視線を當真から外し、俯く。まるで“ナニカ“を當真に悟られないように、その“赤らんでいく”表情を隠すように。


(・・・なんで、私は、コイツが笑ってるだけで・・・こんな“感じ”になるのよ、もう?!)


そんな楓の表情を、當真の話途中で飽きてテーブルに自身の顔をうなだれさせていたパレットが、覗き込むように視線を上げ眺めながら、ふと、


「むむ?かえで、なんで、かおを“赤く”してー」


「ーッ!!!?と、とにかく!!分かったわよ!!とりあえず“真犯人”の狙いが“魔法規格検査”である“可能性”もある、って事よね!?」


「ん!?ああ、まあ、」


パレットの“追及”を掻き消すように、勢いよくテーブルに両手を押し付けながら顔を上げ、声を大にする楓。そして、當真が違和感を抱く“暇”を与えないように、口早に言葉を続ける。


「でも!それでも!!それだってあくまで“可能性”って話だし、それだけじゃ警察だって本当に動いてくれるかー」


「警察?なんで?」


「え?」


楓の言葉を遮るように示した當真の反応、言葉に。楓は思わず、驚きを表情と言葉にして返す。


そして、當真は“迷わず”、言葉を続ける。



「可能性が『ゼロ』じゃなきゃ、十分だろ?友達の事心配して探すのに、動き出す理由なんてさ?」



ストン、と。



撃ち抜かれるように、そして胸の内の“靄”の一切が綺麗に晴れていくような、そんな感覚に。


楓は視線をゆっくりと、少しだけ下げる。そして、その一瞬の隙間に、自身の思考がクリアになった事も、自身がこれから動くべき“理由”も全て、言葉にするでもなく、だが本能で“決意する”。



きっと、いつかくる“未来”で、ここは“きっかけ”の“始まり”の、ひとつ。



だが、それをまだ知る由のない少女は、一呼吸。そして、真剣な表情でコクリと軽く俯き、少年の言葉と“想い”に同意を示す。


「まあ、お前と違って俺は双葉とは会ったばっかだから“友達”なんて大それた事は言えないかもだし、もちろん正蔵さんの話もあるからさ、こっからの状況によっては警察に“協力”するのは当然、つーか、お前の話聞いてさ、この『情報』も全部警察にも伝えるべきかなって、“今”は思ってる。・・・それで警察がどう動くかは分かんねえけど」


一呼吸。當真は、続きを謳う。


「でも、単純に知ってしまった以上、俺はこのまま自分自身が何もせずに“見過ごせねえ”って、ただそれだけなんだよ」


そこは、“迷わない”。自身がどう“在りたい”か、少年にとって決して『ゼロ』になることのない、“揺るがない”信念なのだから。



そして。目の前の少年“も”、“そういう”人間であるという事を、楓は“知っている”。



だからこそ、楓は話を戻し、“進める”為に、切り出す。


「・・・それで、“理由”は分かったけど、じゃああんたの言う、“アテ”って?」


「ん?ああ、ちょっと調べてる時にも思ったんだけどさ、一連のボヤ騒ぎもさ、段階踏んでるというか、“少しずつ”だけど被害の度合いの規模も大きくなってんだよな、実は?・・・それで、お前の“魔研”の話、そして昨日のビル火災の“規模感”、それにー」


當真は改めて、自身のスマートフォンの“メモ用紙”のスクリーンショットを指し示しながら、自身の“推理”の結論へと繋げていく。


「一番下の日付、これが“最後”の一個ってことになるよな?つまり、ここが“真犯人”の“最終目的”って事を考えるとさ、こう思ったんだ、」



そう、一連の騒動の“共通点”であると見なした“魔法規格検査”、その“始まり”にして、全てが行きつく“場所”、つまり



「“魔法規格検査”を実施する“魔法機関”の所属元、つまり、『魔法省』こそが“真犯人”の“最終目標”なんじゃねえかなって、さ?」



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