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そんな魔法ならいらない  作者: door
Chapter 2 : PAST, PRESENT, and FUTURE
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#25 ヴィジョンズ②

轟轟と唸る、『大怪盗』の重なる両腕に纏われた、“不可思議”な“超常現象の塊”。


空気を割る雷鳴、大気を切り裂き続ける風の音。同じ空間に、同時に存在するそれらは、触れる全てを壊しかねない悍ましさを放ち続ける。


その規模も、これまで當真が見てきた景色の“魔法それ”とは、比べようがない程の“圧”と“濃度”。


大怪盗が謳ったその言葉の通り、“再現”された二つの強大な“魔法ちから”が一つに成った“脅威”。


「君がどんなに足掻いても、『未来げんじつ』は変わらないんだよ!!その身を持って、あの世で後悔しなよ!!」


ルームズ=アルシャロックは踏み出し、突き出した両腕に力と意志を込める。立ち向かってくる、黒髪の少年へと、明確な“殺意”を持った一撃。



ガガガガガッッッ!!!!!バヂヂヂヂヂヂヂヂヂリリリリリリリリ!!!!ザザザザザザザッッッッッ!!!!!!!



放たれた“決殺”の“魔法ちから”。唸り、行進しながら、その軌跡に触れる地面の一切を、削り壊しながら、真っ直ぐと突き進む“塊”。


先に駆け出した當真との距離は、瞬く間に『ゼロ』に近づいていく。


邂逅までのカウントダウンは、数秒もない程に、ごく“僅か”。


(君の“魔法ちから”じゃ“嫌いきれない”ほどのレベルさ、どう足掻いてもこれで、このくだらない“幕間”の時間も終わりさ!!!!!)


ルームズ=アルシャロックは確信する。ここまでの経緯、過程。その“碧”の瞳で見てきた全てで、“結末”を確信していた。



三、二、一・・・・・ゼロ、



衝突の刹那、當真は、“右拳”を突き出す、



“嫌う”でも“躱す”でもない、迷わず“まっすぐ”と、その“魔法ちから”に向けて。



ガッッッッ!!!ギィィィィィィィンンンンンンン!!!!!!!



それは。衝突の音でも、破壊の音でも、ましてや確信された“終わり”を告げる音ではない、


ルームズ=アルシャロックの“再現”した、全ての“魔法ちから”が“消え去る”、“不可思議”な音。


「なっ!!!!!???」


その“不可思議”な現象を目の当たりにして、


瞬間、ルームズ=アルシャロックの脳裏にフラッシュバックするのは、数分前の『過去けしき』。


(まさか・・・“あの時”も、“見間違い”じゃなかった、っていうのか!!!!?)


巡る思考と逸る焦燥感、そして、コマ送りのように自身に向かって突き進んでくる當真の姿に、


ルームズ=アルシャロックは無自覚に、無造作に、その両腕を


「おおおッッッッ!!!!!」


ルームズ=アルシャロックの両腕に纏いつつある“淡い白光”に、當真の拳が届く、



瞬間、その光は、“消失”する。



ルームズ=アルシャロックの全身に駆け巡るのは、自身の中から、“意志”と“力”が『ゼロ』になっていく、空虚の“感覚”。


「!!?」


「らあああああッッッ!!!!!」



ゴッッッ!!ガガンンンンンンッ!!!!



「かはっ!!?」



當真の二連撃が、無防備なルームズ=アルシャロックの腹部へと叩き込まれる。


咄嗟に距離を取るために、その反動を利用して数歩後退するルームズ=アルシャロック、その最中、両腕を“変容”させ、投げ打つように“魔法ちから”を當真に向けて放つも、



ガッ!ガッッ!!ギィィィィィィィ!!!!!!!



當真は、ただ、まっすぐに“右手”を突き出し、ルームズ=アルシャロックの放った“不可思議”は、その手に触れた瞬間、“消失”する、



と、同時に。



目の前の一連の光景を目の当たりにした瞬間、アルマの瞳に“疼く”感覚。



ゆっくりと、“左”の瞳を閉じ、“青”の瞳で見据える、その光景は、



刻一刻と、歪み、“変容”していく『未来けしき



「これ・・・『未来』が・・・“変わって”・・・?」



アルマの言葉が届く余地もない程に、“魔法ちから”を振り払った勢いそのままに、當真はルームズ=アルシャロックの元へと突き進む、


反面、ルームズ=アルシャロックの表情は強張る、なぜなら、彼の“碧”の瞳が“この短時間”で目の当たりにしているのは、



“二度”に渡る、その『結末』。



「君も!君ごときも!!“覚醒”したでも言うのか!!?“端役モブ”のくせに!!!ふっざけるなああああ!!!!!!!!」



ゴウゴウゴウゴウッッッ!!!ザザザザザザッッッッ!!!



唸る炎波、渦巻く水流の波動。一体を埋め尽くす規模に膨らみ、躊躇なく當真へと降り注ぐ、


だが、當真の翳した“右手”は、その一斉を“消失”させる。



「はぁ・・・はぁ・・・もう、終わりだよ、ルームズ=アルシャロック。どんな“魔法”を使ってもー」



ザンンンンンンンンンンン!!!!!!!



ルームズ=アルシャロックが“変容”した“右腕”を振り払う、放たれる風の刃、その矛先は當真の奥のアルマに向かってー



ガッッ!!ギンンンンンンン!!!!!!



その軌道上に、“右手”を振り、触れ、“消失”させる當真。



「させるわけ、ねぇだろ・・・ッ?!」



ダッッ!!ドッッッッ!!!!



當真の“行動”を予見したかのように、その“一瞬”で詰め寄り、ルームズ=アルシャロックの掌底が當真を押し出す。


當真の全身に伝播する、少しの“衝撃”。


だが、“これまで”の“魔法ちから”に比べれば、それは“ただ”當真に“触れる”程度の“衝撃”でしかなかった、



だが、途端に、軽妙な調子で高笑いを謳う、ルームズ=アルシャロック。



「アハハ!!“触れた”よ?これで君の“魔法ちから”はもう!!僕が“盗んだ”!!これで君は!!!何も出来ない!!!『ゼロ』の君には何も変えられない!!!僕の勝ちだ!!!アハハハハハハハ!!!!!!」



當真の全身に駆け巡るのは、“懐かしさ”にも似た、『ゼロ』の感覚。



ルームズ=アルシャロックは確信する、『未来しょうり』を。


そして、両腕に纏う“淡い白光”、この距離、この状況、もはや外しようがないその一撃の照準を、目の前の『ゼロ』の少年に向けてー



「・・・そんなに欲しけりゃ、くれてやるよ、」



俯いていた顔を上げる當真。その瞳は、決して揺るがない。


まっすぐと、その視線をルームズ=アルシャロックに向け、當真は力強く拳を握る。



「盗んだ“魔法ちから”で、何でもひとりで思い通りに出来ると思ってんなら好きにすりゃあいいさ・・・でもな、変えてやるよ、そんな『未来』、」



意を決し、迷うことなく駆け出す、當真。


叫ぶ、『オッドアイの少女』の声を、その背に受け止めながら。



「ナイト!!!『まっすぐ』!!!いけええええええええええ!!!!!!」



「『ゼロ』の俺には!!!こうやって力を貸してくれる人が!!!いるからなッッッ!!!!!!!」



當真とルームズ=アルシャロック、互いの距離が一気に縮まっていく、



「アハハハハハ!!そんなくだらない戯言はもういらないんだよおお!!!??僕の“魔法ちから”で!!!!!僕の物語からああああ!!!!とっとと消えろおおおおおおおおお!!!!!!!!!」



拳を振り被る當真に向かって、怒号のような咆哮を放ち、その“変容する”両腕を一気に振りぬくルームズ=アルシャロック。


“淡い白光”は瞬く間に、その形を、向かい来る少年へと放つ、決殺の一撃へと成り変わ・・・



ギッッ!!イィィィィィィィンンンンンンン!!!!!!!



内側から鳴り響く、広がっていく、不可解で“不可思議”な、“消失音”。


そして。ルームズ=アルシャロックの振り切った両腕の“淡い白光”は、その姿を“消失”する。



「なっ、なにッ、が!!!!???」



混乱、疑念、そして一瞬で全身を支配する、焦燥感に、



ルームズ=アルシャロックは言葉と感情を見失う、



唯一捉えられるのは、その瞳の先に映る、黒髪の少年の姿だけ。



そして。それは、その先は、アルマの“青”の瞳に映し出された『未来』。



少年の声が、言葉が、ゆっくりと届く



「“忘れた”のか、ルームズ・・・お前が“盗んだ”、俺の“魔法ちから”?」



「ッッッ!?まさ、かッー!!???」



ルームズ=アルシャロックは、思い起こす、



その手で“盗んだ”、目の前の少年の“魔法ちから”は、



『“魔法”に“嫌われる”』ということを。



そして、“思い知る”。いや、“理解”し、込み上げるその想いは、“確信”へと“変容”する、



幾重の“魔法ちから”をその手に抱えるルームズ=アルシャロックの、その『世界』において、



當真 夜の、“魔法”こそが、“唯一無二”の『天敵』で在るという事を。



「なりてえ『未来』!!!もっぺん!!!!ちゃんと見直してこいッッッ!!!!!!!」



ゴッッッガギンンンンッッッッッッッッ!!!!!!!



唸る咆哮、當真の全霊の拳が、無防備な『大怪盗』のその“瞳”を閉ざす一撃として、炸裂する。


月夜の下、春風が舞い、静寂がゆっくりと空間を包み込んでいく中、


アルマの“青”と“赤”の瞳に映る景色、それは


宙を舞い、吹き飛び、着地と同時に両腕を広げたまま、その場に仰向けに倒れ、動く様子もないルームズ=アルシャロックの姿と、


振り切った右腕をそのままに、荒ぶる呼吸、だが、よろめきながらも、しっかりとその足で立ち続ける當真の後ろ姿。



『過去』に“”た“魔法みらい”を変えた『現在いま』、その瞳に映る景色によって、



ようやく『オッドアイの少女』を巡るひとつの“物語”に、『未来けつまつ』は告げられるのであった。



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