てめぇなんか怖かねぇ!!!
「あぁ……人生詰んだ…」
絶望からその場に崩れ落ちる。
それが見えたらしいゾンビたちが迫ってくる。
でも、もう動けない。
自分がもう終わったことを感じて……何にもできなくなってしまったのだ。
けど、そんな私に声をかけるものが居た。
《いいえ。まだ終わっていませんよ。今からでも魔法スキルを取得しましょう》
「ミシャ………」
ミシャが私に諦めるなと言う。
その言葉に、もう一度顔を上げた。
「そっか、魔法スキル。魔法での攻撃なら!!」
《はい。スキルポイントを2消費して、スキル『炎魔法』を取得しますか?》
「もちろん!!」
攻撃できるのならどうにかなるかもしれない。
それに、私には『魔力無限』のスキルがある。
魔法さえ使えれば、攻撃さえできるなら…私は弱い私じゃない!!
《かしまりました。スキルポイントを2消費して、スキル『炎魔法』を取得します》
ミシャがスキルを取得する。
次の瞬間、私の頭の中にどこからかイメージが送られてきた。
それは……炎魔法の使い方。
これが、スキルを取得する感覚なのか…!
《スキル『炎魔法Lv1』を取得しました。これを使い、ゾンビを攻撃しましょう》
「うん!!」
今の私には魔法が使える。
ゾンビ相手でも攻撃できる。
もう、やらっれっぱなしではいないよ!!
「こうでいいんだよね!?『ファイア』!!」
スキル取得で頭の中に入ってきた炎魔法の使い方。
それに従って魔法を発動する。
すると、私のかざした右手の先から本当に炎が飛び出し、私を襲おうとしていたゾンビを焼いた。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ーーーーーー!!!!??」
ゾンビの体は一瞬で炎に包まれ、体を焼かれたゾンビは悶絶している。
けど、一撃では倒せなかった。
「なら、倒せるまで撃つまでだよ!『ファイア』!『ファイア』!『ファイア』!」
大きな炎がブワッ!って出るけど、それで焼き尽くせるほどの火力は無い。
だから、ゾンビが動かなくなるまで何度だって魔法を撃つ。
どうせ魔力切れなんて気にしなくていいんだ。
とにかく撃って撃って撃ちまくる!
「お前らも全部燃えろ!!『ファイア』!『ファイア』!『ファイア』!『ファイア』!」
一体だけじゃない。
こっちに向かってくるゾンビ全部にひたすら『ファイア』を撃つ。
いくらでも撃ち放題だから、無茶苦茶だとしても撃ち続ける。
「誰があんたたちなんか!あんたらなんか怖くねぇ!ぶっ殺してやる!!」
攻撃手段を得た私は強い。
ゾンビがゆっくりのんびり近づかなきゃいけないところを、私は遠くから何度でも打てる炎魔法で焼くだけだ。
次々とゾンビを燃やしていくだけの簡単な作業。
もうとっくに死んでるくせに死体で動く連中を火葬してやる!
「アッハッハッハッ!燃えろ燃えろ!!『ファイア』!『ファイア』!!」
残弾無限の魔法をひたすら撃つ。
世の中トリガーハッピーなんて言葉があるけど、今の私がそうだ。
ゾンビパンデミックが起こった世界で機関銃をぶっ放すのは定番だけど、それに似たことを私はひたすらやればいい。
それだけ聞くと苦かもしれないけど…あの手のゲームが何十年も前からずっと人気な理由がよくわかる。
「圧倒的な力でゾンビをなぎ倒していくのは楽しいね!なんで前世でもっとやらなかったんだろ!?」
全方位から迫ってくるゾンビ共に『ファイア』を浴びせ続け、どんどん燃やしていく。
そんな中のこと……
《報告します。スキル『炎魔法』がレベル2になりました》
「スキルのレベルアップ!てことは、もっと沢山撃てるようになるってことだね!!」
ミシャが『炎魔法』のレベルが上がったことを教えてくれた。
あれだけ撃ち続けたら、確かにレベルも上がるよね。
けど、そんなことは大事じゃない。
レベルが上がったってことは、威力が上がるとか使える魔法が増えてるはず。
炎魔法でどんどんゾンビを焼いていこう!
「新しい弾だよ!『ファイアーボール』!!」
『炎魔法』レベル2で使える魔法は『ファイアーボール』。
『ファイア』よりも弾は小さいけど、威力と速度がずっと上の炎の玉を発射し、ぶつかった相手を爆破し燃やす魔法だ。
それを撃ち込みまくって、ゾンビを焼いてく。
レベル2の魔法だけあって威力は十分。
次々とゾンビを焼き払い、倒していく。
「アッハッハッハッ!『ファイアーボール』!『ファイアーボール』!『ファイアーボール』!『ファイアーボール』!」
『ファイア』では倒しきれなかったゾンビが、『ファイアーボール』なら楽に倒せる。
それが爽快感を加速させ、脳汁があふれる。…ま、脳みそは無いけどね!
ハイになったまま『ファイアーボール』を撃ち続ける。
目につく全てに。
とにかくとにかく撃って撃って撃って撃って―――
「―――あれ?もういない?」
《はい。周辺のゾンビはすべて倒しきったようです》
気が付くと私は周囲のゾンビをすべて倒しきっていた。
後に残るのは焦げた肉と骨だけで、動く死体は1つもない。
「もう終わり……殴られた時は焦ったけど、案外呆気なかったね」
いきなり殴られてかなり怖かったけど、いざ攻撃手段を手に入れたらこんなもの。
やっぱり、『魔力無限』は強いね。
それを持ってる私、自分の事を強いって思っていいかな?
「そう言えば、なんでゾンビは私の事殴れたんだろ?物理攻撃無効じゃなかったけ?」
私の強さは一旦置いておくとして、なぜゾンビが私を攻撃できたのか気になる。
私は霊体で、物理攻撃は通らないはずなのに……
そんな疑問に答えてくれるのは、やっぱりミシャだ。
《アンデッドモンスターは瘴気によって生まれます。ゾンビは死体に瘴気が宿ることで生まれるモンスターであり、その全身は瘴気に覆われています。その結果、ゾンビは霊体を攻撃できるのです》
「瘴気があれば霊体に触れるの?」
《はい。他にも魔力を帯びた攻撃や、そうでなくともスキル『霊体攻撃』を有していれば霊体への攻撃が可能です》
「意外と霊体の物理攻撃無効って簡単に破られるんだね……」
物理攻撃無効で調子に乗ってたけど、案外当てにしちゃいけないものらしい。
森に居たモンスターはそれに該当しないから大丈夫だったけど、そうじゃないモンスターも沢山いるだろう。
あの弱いゾンビが私を攻撃できるんだから、強いモンスターも当然できるだろう。
あと、人間もできるだろうね。
前世にも霊媒師とかいたし、魔法があるこの世界じゃもっと簡単にゴーストを何とかできそう。
「耐久性を上げるスキルとかも取るべきなのかな?…でも、ゴーストってそんなに硬いイメージないんだよね」
今後も攻撃されることは想定しておくべきだろう。
攻撃を受けたときの対策スキルでもあればいいんだけど……スキルポイントは有限だ。
どのスキルを取るかはしっかり吟味したい。
……その重要さは、ついさっき身に染みて感じたからね。
「…まあ、もうすこしゆっくり考えよう。今は、生き残ったことを喜ぶべきなんだから」
なんとか生き残れた。
その事実を嚙み締め、私はその場に座り込んでゆっくりすることにした。
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