新しい獲物!いや!やっぱり同種じゃん!?
外に出てモンスターを狩り始めておよそ2時間。
『生命感知』と『魔力感知』を頼りに森を飛び回り、計24回モンスターと遭遇した。
なんで正確な数字が分かるかというと、ミシャが数えてくれているから。
本当にミシャには助けられてばかりだよ。…たまに役に立たないことあるけど。
まあ、それでその2時間の成果はどんなものかと言うと……
「はぁ……このままだと、今夜は坊主だろうなぁ…」
そう、なんと倒したモンスターの数は驚異のゼロ体。
成果無し、坊主、骨折り損のくたびれ儲けである!
……いや、全く笑えないんだよね。
「ミシャ…ホントにここがどこか分からないの?絶対ここ転生先として選ばれる難易度の森じゃないよね?」
《はい。権限不足のため、この森がどこであるかの情報はお伝えすることができません。ですが、あなたのおっしゃる通り、ゴーストとして転生する際のスタート地点に相応しくない事は確かです》
「だよね!そうだよね!絶対あの女神の嫌がらせでしょ!?だっておかしいもん!!モンスターの強さが!!」
この2時間、私が出会ったモンスターはどいつもこいつもすごく強かった。
魔法を使ってくるスライムを筆頭に、マンラットは当たり前みたいに魔力を纏って攻撃してきたし、ゴブリンは魔法の矢を撃ってきた。
それ以外のモンスターもヤバい。
透明化する巨大なカブトムシとか、『生命感知』にも『魔力感知』にも引っかからない大蛇とか、口から火を吐くクマとか。
「逆になんで私あの時は殺されなかったんだろう?大真面目にそう考えちゃうくらい、モンスターが強すぎるって」
私が転生(?)したのがゴーストでなければ、モンスターとの初遭遇の段階で訳も分からず食い殺されていただろう。
そうならなかったのは、私が弱いゴーストで可食部も経験値もないから。
こんなことで自分がゴーストになってよかったと思えるなんて、本当に最悪な采配だと思う。
もしあの女神にもう一度会えるなら、一発ぶん殴ってやりたい…
「…私がこの森で倒せそうなモンスター……居ないよねぇ、スライムでアレなんだし…」
あの洞窟は奇跡的なものだった。今ならそう思えるくらい、倒せるモンスターが少ない。
それに、そもそもモンスターの数が少ないんだ。
このままだと、あの洞窟のゴーストたちのように……
「――~~~っっ!!!それだけはイヤ!!」
死の恐怖に襲われて、逃げるように飛び回る。
何処だっていい、なんだっていい。とにかく私が倒せる獲物に会いたい。
じゃないと、私が死んでしまう!
そんな強迫観念に1人で追い詰められ、飛び回っていた。
「っ!?今、魔力を感じた!」
とにかく飛び回っていたら、『魔力感知』で何かの魔力を感じ取った。
すぐに通り過ぎちゃったけど、すぐそこに居ることは確か。
大慌てで引き返してその魔力の発生源にやってくると、そこには髪の毛の生えた、形がまだしっかりしているゴーストが居た。
「ゴースト!アレなら倒せる!!」
獲物発見だ。…まあ、またしても同種なんだけど。
でも、アレが私の倒せるモンスターであることに変わりはない。
すぐに魔法を撃とうと、手をかざして神聖魔法を構える。
その時だった。
『あああああああああああああああああああああ!!!!!』
「ひっ――!?」
魔法を構えたことで、私に気付いたゴーストが奇声を上げながら迫ってきた。
それに驚いて、反射的に神聖魔法を撃つ。
その神聖魔法は狙いが定まっていなかったが、ゴーストが私を襲おうと迫ってきていたおかげで命中する。
『ひぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!』
打たれ弱いゴーストは、神聖魔法を食らって簡単に消滅する。
最後の断末魔が静かな森へ木霊し、木々をざわめかせる。
けれどすぐに木の葉が風で揺れる音しか聞こえなくなった。
「……倒しちゃった。でも、何もしてないのに襲って来たよね?ミシャ?どういうこと?」
静かになった森で、あのゴーストについて考える。
ゴーストは自分から襲い掛かるようなことはせず、攻撃されて初めて襲ってくる。
そのはずなのに…あのゴーストは私に気付いた瞬間襲ってきた。どうなってるの?
《はい。あのゴーストは完全に自我が霧散していないものと考えられます。自我が完全に霧散したゴーストはこちらから攻撃しなければ襲ってきませんが、そうでないゴーストは高い攻撃性を有しています。そのため、襲われたものと推測します》
「ああ、そういうことなんだね。……じゃあアレは、洞窟を見つけられずひたすら森を彷徨うしかなかった私の成れの果て、或いは未来の私の姿なのか……なおさら、頑張ってレベルを上げないと」
自我を完全に失い、漂うことしかできないのが私の終着点。
その一歩手前、自我を完全に失ったわけではないけれど、記憶も意識もほとんど残って無い。
ただ、残った意識が死の恐怖から逃れようと目につく全てに襲い掛かる状況。
このまま獲物を見つけられなかった私が辿る子音になるであろう末路だ。
そんなのごめんだね。
「私は生き残るんだ。ああはなるものか。絶対に生き残って、あの女神を一発……うん?」
自分に喝を入れようとしていたら、『魔力感知』でこちらへ向かってくる何かの気配を感じ取った。
その方向へ目を向けると……それがゴーストであることに気が付いた。
「明らかにこっちを認識してるよね…?もしかして、さっきの断末魔につられて寄ってきた?」
あのゴーストが私よりも広範囲に効果を持つ『魔力感知』を持っているとは思えない。
多分さっき倒したゴーストの断末魔を聞いて、こっちに獲物が居るかもしれないと思い集まってきたゴーストに違いない。
なら…好都合だ。
「こんなこと言うと狂人みたいだけど、できるだけいい声で鳴いてくれると嬉しいな!『ホーリーショット』!!」
こちらへ向かってくるゴーストに対し、『ホーリーショット』を放つ。
一直線にこちらへ向かってくるゴーストは、それが危険だとわかっていないらしい。
もうそんなことを考える頭が残っていないんだろう。
だから、私の魔法を避けもせず突っ込んできた。
『ぎゃあああああああああああああああああああああ!!!!』
そして、案の定耳をつんざく様な絶叫を上げて消滅する。
さっきまでなら気分が悪くなるような声だけど……今の私にとっては、むしろ嬉しいくらいだ。
「これ他にもゴーストが居たら……お?来た来た!」
断末魔を聞いて集まってくるゴースト。
それを狩るだけで、勝手にレベルが上がっていく。
そして、私には神聖魔法という対アンデッドに特化した魔法があるため、万が一にも負けることはない。
このまま森中のゴーストを狩り尽くそう。
そうすれば、きっと私は他のモンスターを狩れるくらいに強くなるはず。
…ああ、そのためには炎魔法も使っていかないとね?
「…ここまで同種か同系統のモンスターしか狩ってないけど、それで生き残れるのなら万々歳。恨みは無いけど、私が生き残るために死んで!」
本当に、彼らには何の恨みも憎しみもない。
ただ私が生き残るために必要だから殺す。どうか悪く思わないでね?
心の中で言い訳をしつつ、次々と襲ってくる半狂乱のゴーストを炎魔法で焼いていく。
そのまま朝が来るまでゴーストを燃やし続け……私のレベルは30に到達した。
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名 広田未来
種族 ゴースト
レベル30
HP 130/130
MP ∞
筋力 0
防御 59(物理無効)
魔力 499
防魔 108
素早さ 315
スキル
『魔力無限』『自由自在』『浮遊Lv2』『霊体攻撃Lv1』『炎魔法Lv2』『神聖魔法Lv2』『防御魔法Lv1』『生命力吸収Lv1』『魔力制御Lv1』『思考加速Lv2』『生命感知Lv1』『魔力感知Lv2』『情報精霊Lv1』
スキルポイント13
称号
『転生者』『同族殺し』『アンデッドハンター』『格上殺し』『解放者』
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