VS洞窟の主!下
更新が遅れて申し訳ありません。更新は今後も続けます。
ファイアーボールを構える私。
洞窟の主はそれを見て、いきなり踏み込んで来た。
「速っ!?」
洞窟の主は私の想像以上に速く、とても攻撃できる余裕はない。
それに、速すぎて攻撃を避けるのもほぼ無理だ。
「ミシャ!」
《スキル『思考加速Lv2』『防御魔法Lv1』『神聖魔法Lv1』『魔力制御Lv1』を取得しました》
すぐに攻撃と回避を諦め、ミシャに全てを賭ける。
すると、私の期待通りミシャが今必要なスキルを取得してくれた。
スキル『思考加速』によって世界がスローモーションに見え、高速で迫ってくる洞窟の主を前に考える余裕ができた。
そして、ミシャが新しく取得してくれたスキルを試す。
「『スモールシールド』!!」
防御魔法・スモールシールド。
大きめの鍋蓋サイズの半透明な盾が出現した。
その半透明の盾を洞窟の主の剣の方へ向け、防御する。
ガキィィィイイイン!!!
「うっ!嫌な音…!」
剣と盾がぶつかり、甲高い金属音が洞窟に響く。
そして、私は無傷だ。
新しく取得した防御魔法は、確かに私のことを守ってくれた!
さらに、渾身の一撃を防がれた洞窟の主はその反動で動きが鈍っている。
チャンスだ!
「『ホーリーショット』!!」
ミシャが新しく取得したスキル、神聖魔法。
レベル1の魔法はホーリーショットという、なんか白い光の玉を飛ばす魔法だ。
名前からしてアンデッド特攻の魔法何だけど……その効果は絶大だった。
『キィィィィィイイイイイイ!!!?』
洞窟の主は声かも怪しい悲鳴を上げ、全身を震わせながら引き下がる。
そして、隠し玉を持っていた私を警戒して近づいて来ようとしない。
「すごい効果だね。コレなら炎魔法より先に取得するべきだったんじゃない?」
神聖魔法の強さを見て、ミシャに炎魔法より先に取得するべきだったんじゃないかと訊く。
コレがあれば、そこで倒れてる死に損ないの鎧との戦いも少し楽だっただろうに……
《いいえ。神聖魔法は確かに対アンデッドにおいては無類の性能を発揮しますが、それ以外の状況には威力が控え目であると言えます。後の汎用性を考えれば、炎魔法を先に取得するべきでした》
「そういう事ね?確かに、白い光の玉をぶつけたくらいじゃ、そこらのモンスターはびくともしないか…」
神聖魔法はアンデッド特攻の魔法。
だから、確かに今は効果的だけど、その後のことを考えると汎用性が無い。
もしさっきから神聖魔法を使ってスキルレベルを上げたとしても、外に出たときに対して役に立たない。
なら、汎用性に優れる炎魔法のほうが良かった。
でもその炎魔法の通りが悪い敵が出てきたから、別の通りの良い魔法を取得して対策したわけだね。
「こんなに強い魔法があるなら負けない。そうでしょミシャ?」
《はい。油断せず、距離を置いて戦えば勝率は十分です。ですが、HPが残り9しかないため油断は禁物です。攻撃は必ず避けるか防御しましょう》
そうだった。
今の私がHPが9しかないんだ。
何かの拍子に攻撃を受ければ潰える命。
ミシャに注意されてなければ、調子に乗ってやられてたかも。
「その点、あっちから距離を取ってくれるのはありがたいね。おかげで遠くから撃ち放題。『ホーリーショット』!!」
近付かれたら何もできないけど、近付かれさえしなければ私は無敵だ。
なにせ、弾切れの概念が無いからね。
魔力の残量を気にせず、当たればいいなという考えでひたすらホーリーショットを撃ち続ける。
ファイアーボールほどの速度は無いけど、男子が投げるドッチボールのボールくらいだから、避け続けるのは大変だろう。
そのうち疲れて当たってくれるんじゃないかな?
……いや、アンデッドって疲れるのかな?
「ミシャ。アイツって疲れるの?」
《アンデッドには基本的に疲労という概念はありません。ですが、このまま攻撃を続ければ周囲の瘴気濃度が下がり、動きが鈍ると思われます》
アンデッドって疲れないのか…
なんで?って不思議はあるけど、そこは一旦いいや。
それよりも…
「瘴気濃度が下がる?それ大丈夫?私にも影響無い?」
この洞窟は瘴気濃度が高く、私にとっては心地よい環境。
その瘴気濃度が下がってしまうってことは…私にもなにか影響があるんじゃない?
そう思ってミシャに再び問いかけた。
《問題ありません。あなたは瘴気への依存度が低いため、周囲の瘴気濃度が低下しても活動が鈍ることはありません》
でも、ミシャ曰く私には瘴気濃度の低下は関係ないみたいだ。
なら良かった。
瘴気濃度の影響を受けるのは洞窟の主だけ。
……なら、とにかく瘴気濃度を下げればいいのか!
「もう当たらなくていいや。とにかく瘴気濃度を下げればいいわけだし!」
瘴気濃度が下がれば洞窟の主の動きが鈍って攻撃が当たりやすくなる。
なら、今無理に狙う必要はない。
だから、私は『当たればいいな』から、『狙わなくていい』に考えをシフトする。
大事なのは数を撃つこと。
神聖魔法は撃つだけで周囲の瘴気を浄化するから、とにかく試行回数を増やせばいい。
ホーリーショットの弾幕を反復横跳びのように躱す洞窟の主。
当たれば死のドッチボールをさせられる気持ちはどんなものなんだろうね?
ヒヤヒヤしてるのか、意外と楽しんでるのか。
「仕掛けてくるかな?それなら防御魔法からの神聖魔法で倒すんだけど」
ずーっと死のドッチボールをし続けるわけにも行かないだろう。
となると、どこかで仕掛けてくると思う。
それを見極めて、しっかり防御魔法を使わないと。
防御さえできれば、間違いなく私の勝ちだし。
「仕掛けてこないなら、瘴気濃度が下がって動きが鈍ったところを……うん?鎧?」
ピョンピョン飛んだり走ったりして私の攻撃を躱す洞窟の主。
無理に狙わず、洞窟の主の居る方向へホーリーショットを撃ち続けていたら、視界に今にも立ち上がりそうな鎧の姿が映った。
「倒せてなかったのか…でも、ホーリーショットを一発当てれば終わりだね」
そう思って狙いを死に損ないの鎧の方へ切り替え、ホーリーショットを放つ。
よろよろと立ち上がったばかりの鎧にそれを躱す力は無く、白い光の玉が鎧に当たる。
―――ガジャガシャガシャ!!
鎧はホーリーショットの力によって一気に体が浄化され、激しく痙攣した。
関節部が擦れて大きな音を立てる。
そして立つ力も無くし、震えながら倒れた。
「うわっ…結構死に方グロぃ―――ッ!?」
鎧の最後に気を取られ、完全に洞窟の主から意識を外してしまっていた。
背筋が凍り付くような猛烈な死の予感を感じ、反射的にそちらを見ると、洞窟の主がすぐ目の前にいて剣を振り上げていた。
「やばっ!?『スモールシールド』!!」
すぐに防御魔法を展開し、剣を受け止めようとする。
そこへ洞窟の主の剣が振り下ろされ……私にも半透明の盾にもかすることなく、空を切った。
「はっ…?」
謎の空振り。
それも変な振り方に呆気に取られたのも束の間。
洞窟の主は半歩下がり、姿勢を低くくする。
それは……私を恐怖させた鎧の突進の姿勢に重なって見えた。
「っ!?まさか!!」
初撃はフェイント。
そんな考えが脳裏に浮かぶ。
それに気付いた私はすぐにスモールシールドを移動させ、突進を受け止めようとした。
その時だった。
《警告します。現在の防御魔法では洞窟の主の突きを防ぐことはできません。反撃を推奨します》
「嘘ッ!?」
ミシャが突然話しかけてきて、防御魔法では防げないと伝えてきた。
それを聞いた私は即座にホーリーショットを構える。
突かれる前にホーリーショットで倒せ。
ミシャがそう言ったから。
「『ホーリーショット』!!」
洞窟の主が脚に力を込め、踏み込もうとしたその瞬間、私はホーリーショットを放った。
それを見た洞窟の主の体が少し震える。
私には…それが洞窟の主が驚いているように見えた。
次の瞬間、ホーリーショットは洞窟の主を捉え―――
『□□□□□□□』
――――ガシャガシャと音を立てて崩れ落ちる洞窟の主の方から、全く知らない言語の声が聞こえた気がした。
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