第37話 忘れていた、この展開
【第三部】推しは私が救うー終ー
……忘れていた。この展開であることを。
翌朝の城内は、いつになく慌ただしかった。
朽葉ノ国から、再び文書が届いたためである。
内容は、当初の見積もりでは冬を越せない可能性があるというもので、さらなる塩の増量を求める要請だった。
これを受け、栄善さんはその要請を承諾した。
さらに桂ノ国側も、冬季の消費増加を見越し、お米の供給量を増やす方針を固める。
突然のことにもかかわらず、重役たちを筆頭に的確な指示が飛び、それぞれが持ち場へと散っていった。
私は時雨さんの指示のもと、承諾の文書とお米の増量に関する書類を任されていた。
「……えっと、この塩の増量分の手配は、晩秋には間に合わないから、手配できるのは冬になる旨も記載してっと……」
慣れない筆を握り締めながら、どうにか形にしていく。
「できたー!!」
あとは、時雨さんに公印を押してもらえば完了ー!
自分の書いた文書を、静かに見つめる。
……トワさんの書く字とは、やっぱり全然違うな〜。
トワさんは料理は苦手だけど、字は段を持っているくらい綺麗なんだよね。
食堂前に貼られている御品書きを眺めては、思わず見惚れてしまう。
小柄で可愛らしい見た目とのギャップもあって、その字にはどこか気品まで感じるんだよね〜。
あ〜……やっぱりトワさん、素敵♡
よし、時雨さんの書斎へ向かうとするか。
私はそのまま、書斎へと足を向けた。
***
あーー!!どっと疲れた!!
どうやら私は、昨日出した文書のことで舞い上がってしまい、今日という日のことをすっかり忘れていたらしい。
あのあと時雨さんに公印をもらいに行ったんだけど……文書が公印が押されていないまま封に入っていたなんて知らず、私はそのまま糊付けをして飛脚さんに預けてしまった。
慌てて書き直したけど、気づけて本当によかった……これからは、公印をもらったあとにちゃんと自分の目で確認しよっと。
あ〜今日は文書を二回も書いて、さすがに疲れたぜ。
……あっ、そうだ!
この疲れを癒しに、囲炉裏の部屋に行こう!
あの場所も、アニメで見て一度行ってみたかったんだよね〜。
私は癒しを求めて、お城の離れにある囲炉裏の部屋へと向かった。




