第32話 やっぱり来た、この展開
【第三部】推しは私が救うー終ー
あの後、雲祈さんと煎承さんのお店へ行き、雲祈さんが手配してくれた糊を無事に受け取った私は、雲祈さんと別れ、お城へと戻っていた。
煎承さんのお店には、この国の製紙職人・糯虎さんの姿もあり、その柔らかい雰囲気に、張りつめていた気持ちが少しだけほどける。
けれど、心の奥にはまだ、雲祈さんのあの表情が残っていた。
(あのとき……どうしてあんな顔をしたんだろう)
思わず、自分の問いかけを振り返る。
気づけば私は、少し言いすぎていたのかもしれない。
私にとって綿花は、ただの“悪”だった。
だけど、雲祈さんにとってはそうじゃなかったのかもしれない。
この世界に来てから、何度も思い知らされる。
アニメで見ていた出来事は、ほんの一部にすぎない。
その見えない場所で、皆さんそれぞれに何かを抱えながら生きている。
それを私はまだ何も分かっていないのかもしれない。
そんなことを考えながら、私はお城へととぼとぼ歩いていた。
***
お城へ戻り、門をくぐろうとすると、琥景さんと煌景さんが元気よく声をかけてくれた。
少し会話を交わしたあと、琥景さんがふと思い出したように口を開いた。
「杏歌様と言えば……もしかすると、今お城の中、かなり大変なことになっているかもしれませんよ」
……待って。この展開、まさか……
「……大変なことっすか?」
私の問いかけに応えるように、今度は煌景さんが口を開く。
「はい。先ほど、杏歌様の声が城内に響き渡ったんです。これは、何かがお城の中で起こっているに違いありませんな」
やっぱりーーー!!!!
結局、アニメ通りの展開になってしまうのだと理解した瞬間、私は足早にお城の中へと駆け込んだ。




