第3話 念願のキャラ集結
【第三部】推しは私が救うー終ー
「ぎゃあーーーーー!!!!」
会議の間に、私の叫び声が響く。
無理もない。
だって、だって……
ずっとアニメで見てたキャラクターの方々が、目の前にいるんだもーーーん!!!
鼻血、鼻血ーーー!!!
「この子……鼻血出てない? 色んな意味で大丈夫なの?」
「おいらの手拭い貸してやるぞー!」
「……しかもなんか、栄善みたいな人形持ってないか……?」
「七左衛門、それにもう一つ女の子の人形も持ってるわよ、この子……」
栄善さんの幼馴染である、哀伝さん、団丸さん、七左衛門さん、杏歌さんが次々に言葉を放つ。
それぞれこのお城で、交易相談役・訓練隊長・戦術担当・外交補佐を担っている。
団丸さんと七左衛門さんは、人が生きるうえで欠かせない農民の家の出だ。
「見慣れない装いね。海を越えて来たのではなくて?」
「言語は同じだがな……どうやって城に……」
はぅ!柚寧さん。
帳簿と国庫を預かる勘定奉行。数字とお金の流れを見通す、冷静な目の持ち主。
そして春風さん。
かつて戦術担当として重要な役割を担っていたが、ある負傷をきっかけにその役目を退いた。今は外交奉行として、外との交渉を預かっている。役目は変わっても、その判断力は今もこのお城を支えている。
驚きが入り混じる中で、場の空気はまだどこか騒がしかった。
けれど、そのざわめきの奥に──一人だけ、明らかに冷えた視線があった。
「……なんだこのうるせぇ女は。怪しすぎてとても信用できねぇな」
ぴきっ。
──その一言で、何かが切れた。
頭の奥が、一気に熱を持つ。
冷静になろうとしても、もう遅い。
気づけばもう、言葉が先に飛び出していた。
「あぁー!?んだと、万里小路ゴリラめ!!もう一回言ってみろー!?」
「……てめぇ、誰に向かって口利いてんだ!!ゴリラだと!?てめぇこそ、もう一回言ってみやがれ!!」
「言ってやるよ!!だいたいあんたが四乃森綿花なんか連れて来るから、あんなことになったんっすよ!!反省しろってんだ!!」
私がそう言い放つと、ぽつりと外交使者の新人、雲祈さんが呟いた。
「四乃森……綿花……さん……」
その呟きに、同期の新人である二人──勘定補佐の大納さんと、勘定使者の蒼月さんが不思議そうに視線を向ける。
「ん?雲祈、知り合いか?」
「私は初めて聞いた名前だな」
それに続き、茶々蔵さんが問いかける。
「雲祈、どうしたんじゃ。その者を知っておるのかの?」
雲祈さんは目を伏せて、静かに答えた。
「……いえ……なぜかその名を、聞いたことがあるような気がしただけです……」
室内は一瞬、静寂に包まれた。
その沈黙を破るように、茶々蔵さんが口を開く。
「……栄善の話によれば、この者は天音歌羽と言い、わしらとは別の世界の者で、“とりっぷ”とやらをして来たらしい」
──トリップ。
その聞き慣れぬ言葉に、室内がざわめく。
ざわめきが収まらぬ中、栄善さんが皆さんへ向き直った。
「歌羽の世界では、私たちの日常が“あにめ”という映像として映し出されているらしい。……そして、私たちのことも少なからず知っているという」
その発言に、杏歌さんが顔を赤くして声を上げた。
「……映像って何!?それに日常!?何よそれ……恥ずかしいじゃない!」
春風さんは顎に手を当て、静かに口を開く。
「……映像はよく分からないが、それならば時雨の苗字やあだ名を知っていたのも頷ける……」
それに続き、栄善さんも言葉を落とすように続けた。
「……それに歌羽は、団丸や七左衛門が城に入った経緯、そして私たちしか知り得ぬことまで知っていた……」
室内に重い沈黙が落ちる。
その空気を断ち切るように、栄善さんは静かに口を開いた。
「歌羽は、私たちを救いに来たと言っておる」
その瞬間、乾いた笑い声が室内に響いた。
「……はっ。救いにだと?何も問題ねぇのに、何を救うってんだよ。それに、こんなうるせぇ餓鬼に何ができるってんだ」
かっちーーん。
万里小路ゴリラめ……こいつぅううーー!!
私は頭をフル回転し一気に情報を整理する。
(綿花のことを誰も知らないってことは……まだゴリラが綿花を連れてくる前の時期。つまり、トワさんも当然まだ現れていない)
トワぬいもこんなに似てるのに、誰も気づいてなかったし。(自己満)
私は、ゆっくりと息を吸い込む。
──そして、意を決して口を開いた。




