第2話 推しの世界
【第三部】推しは私が救うー終ー
あのアニメで、何度も聞いたはずの声と同じ言葉に目を覚ます。
「そこのおなご。ここで何をしているんだ。この場所は、限られた者しか入れぬ場所であるぞ。……見慣れない装いをしているな。其方は海を越えてきたのか?」
……え、え、え。
その声は、もやし……?
いや違う、違う、違う、舌が回らない!!
もしや……?
……っ
「ぎゃあーーーーーーー!!栄善さん!?」
──目の前にいる。
画面の中じゃない。
本物の栄善さんだ。
……待って。待って。待って。
今のセリフ、完全にアニメと同じなんだけど!?
これだって、トワさんに言うセリフだよ?
推しに言うセリフを、推しが私に言ってくれたんだよ!?
こんなの興奮の極みっしょ!!
ってことは、ここ……栄善さんが治める桂ノ国!?
え、待って……お城の中ってこと!?本編スタート地点じゃん!!
私が一人で興奮していると、栄善さんが困惑した表情で口を開いた。
「……其方……大丈夫であるか……?」
困惑してる栄善さんもきゅん。
「はははははっ。初めまして、栄善さん。私は決して怪しい者ではございません」
「……其方は、何者だ……」
「申し遅れました。私は、天音歌羽と申します。あなた方を救いに参りました!」
「……救いに……?」
「まぁまぁ、立ち話もなんなんで!ここは茶々蔵さんや皆さんを呼んで、会議の間で、お話ししましょう!」
「……茶々蔵や会議の間のことも知っておるのか……」
「知ってるに決まってるじゃないですか!茶々蔵さんは、このお城の家老です!それに昔、やんちゃだった栄善さんたちの面倒を見ていた時期があって、その頃に腰を痛めて今に至ります!」
目を見開く栄善さんに、かまわず私は続ける。
「それに見てくださいよ!これは私の大切な、トワぬいと栄善ぬいです!」
私は寝るときに抱えていたからなのか、一緒にこの世界へ来てしまった、トワぬいと栄善ぬいを栄善さんに見せた。
「……ぬい……?其方の言っておることは、よく分からぬが……皆に会わせて話す必要がありそうだな」
この言葉を合図に、私は会議の間へと連れて行かれることになった。
*
「ぎゃあーーーーー!!!!」




