第1話 いざ行け!愛する推し活へ!
【第三部】推しは私が救うー終ー
どん!どん!
──真っ暗な室内に、大きなスクリーンが浮かび上がる。
私は、今か今かとその瞬間を待っていた。
来た。来た。来たーー!!
胸の高鳴りが止まらねぇーー!!
「ぎゃ〜〜〜!!待ってましたーーって……あれ?なんか違うくね?」
「歌羽さん!何やってるんですか!応援上映はスクリーン3ですよ!」
「なぁに〜〜ぃ!?私としたことが!!急がねばーー!!」
自慢の足で一気に駆け出す。
「歌羽さん、今からですよ。応援隊長の歌羽さんがいないと始まらないんですから、しっかりしてくださいよ」
「めんごめんごー!私って、いつも場所間違っちゃうんだよねー!」
そして始まる応援上映。
一斉に響く歓声。
「ぎゃーーー!!トワさんーー!!栄善さんーー!!」
あっ、皆さん、こんにちはー!
──私、天音 歌羽。
大のアニメオタクで、この応援上映の応援隊長をやっている。
「よしー!みんな準備はいいっすかー?ペンラと団扇は持ってるかー!!振って振って振りまくれー!!」
「おーー!!!」
ここは──『心の扉【始】』と『遺志を継ぐ者たち【巡】』の応援上映。
私は、このアニメが大好き!
その中でも──トワさんと栄善さん。
尊い、なんて言葉じゃ足りねぇぜ!
トワさんの健気さ。
そして、栄善さんのすべてを懸けて守ろうとするあの姿。
あぁ……思い出すだけで、胸が熱くなる。
「ごぉらぁーー!!小梅このやろぉ〜!!ふざけんなーー!!」
「歌羽さん!落ち着いてください!スクリーン壊れますよ!」
はっ……いけない、またやってしまった。
「……ごぉらぁーー!!綿花ぁぁ!!お前のせいでこんなことになったんだろぉぉ!!」
「歌羽さん!ペンライトが本当に壊れますって!」
周囲に止められながら、ようやく深呼吸する。
危ねぇー危ねぇー……またしても、我を忘れてしまうところであった。
そして、無事に上映も終わり、私は幸せな余韻に浸りながら映画館を後にする。
「歌羽さんのおかげで、今回もすごく盛り上がりましたよ!また私たちの隊長としてよろしくお願いしますね!」
「いやぁー、楽しかったねー!もちろん、この歌羽様に任せなさーい!」
──と、そのとき。
「……やばい」
限界だった。
「ごめん!!トイレ!!またねー!!」
私はその場を飛び出し、全力でトイレへと駆け込んだ。
そして──何事もなかったかのように、私は家へと帰った。
*
お風呂も済ませ、夜空を眺めながら今日のことを振り返る。
「あ〜ぁ、幸せだな〜。アニメの世界に行けないかな〜」
私には、夢がある。
トリップして、トワさんと栄善さんを救うこと。
尊すぎるもん、あの二人!!
……絶対、あんな思いさせたくない。
──そのときだった。
流れ星が、夜空を横切る。
「ぎゃあ〜〜!!願え私!!アニメの世界にトリップしてトワさんと栄善さんを救いたい。アニメの世界にトリップしてトワさんと栄善さんを救いたい。アニメのせ……」
「歌羽!!今何時だと思ってるの!!早く寝なさい!!」
ちっ……おかんに怒られちまった。
まぁ、いいや。願ったもんね〜。
私の癒しである、手作りのトワぬいと栄善ぬいを抱えて、ベッドに潜り込む。
「あぁ〜……今日も本当に幸せだったな〜。目が覚めたら、トリップしてますように」
そうして私は、静かに眠りに落ちていった。
──……
──助けて。
誰が、そう呟いた気がした。
お主……
……そこのおなご!!
ここで何をしておる……っ!!




