↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/39

第16話 晩秋到来!てんこ盛りな日々

【第三部】推しは私が救うー終ー

なんやかんやで、晩秋がやってきた。


そして……ここ最近は、びっくりするくらい忙しかった。


もうね、あたい、目ん玉飛び出るかと思ったくらい!


そりゃ杏歌きょうかさんも、なかなかトワさんに会いに行けなかったわけだ。


ほら、身分制度の廃止に向けた新たな改革についての会議や調整でしょ〜。

冬に向けての備蓄のやり取りもあるし、対縁たいえんの準備も進んでるし、それに……我が推し・栄善さんの御誕辰祭ごたんしんさいの段取りまで!


もうね、行事関連の準備と会議で、てんこ盛りなわけですよ!


ははははは。

しかし皆さん、侮っちゃいけませんよ。

このオタクの神(自己満)・天音歌羽(あまねうたは)を。


忙しい中でも、推しに会いに行くのがオタク。

私はゴリラの目をかいくぐり、トワさんに会いに行っていた。


「トワさんー!今夜の夕食は何ですか?トワさんの夕食を楽しみに頑張りますからねー!」


「ふふふ。ありがとう歌羽ちゃん。だけど今、みんな忙しそうだけどここに来ちゃって大丈夫なの?」


「全然大丈夫っすよー!それに癒しがないと頑張れませんからー!」


──なんて、呑気なことを言っていると。


ごっ!!

頭上から拳が降ってきた。


「……なぁ〜にが、全然大丈夫だ」


「……いったぁーー!なにすんだゴリラー!」


「てめぇ、上司に向かってその口の利き方はなんだ!おめぇは早く報告書まとめねぇか!ちょこまかと抜け出しやがって」


ちっ、出たな万里小路時雨までのこうじしぐれ

通称:ゴリラ。


「トワさん〜この方は私の上司で、万里小路時雨までのこうじしぐれ。通称:ゴリラです。態度も図体もでかいですが、実は繊細な一面も持ち合わせている意外な人です。仲良くしてやってください」


私がそう言うと、トワさんは可愛らしくくすっと笑った。


時雨さんは「……てんめぇ……なんてこと言いやがる……」とぼそっと言っていたけど、そのあと何故かもじもじし始めて。


「……おっ、おう、トワ。よろしくな」


「ふふふっ。こちらこそよろしくお願いします」


そうして、小さなトワさんと握手をした。


「……ぎゃーーーーー!!!!あたいの、あたいの……推しぃぃ!!ぐぇっ!!」


“推し”と言いかけた瞬間、時雨さんに首根っこを掴まれ、そのまま走り去られる。


「てんめぇ、哀伝たちに言うなって言われてんだろうが!!」


「だってぇぇぇ……!」


その様子を見て、お(きく)さんがふふっと笑った。


「歌羽ちゃんは、トワちゃんのことが本当に大好きなのね」


だから私は去り際に叫んだ。


「なぁに言ってるんすか!お菊さんのことも大好きに決まってるじゃないっすか!」


その言葉に、お菊さんはとても嬉しそうで、あとでトワさんにそのことを楽しそうに話していたらしい。


──もうこの世界の人たち、みんな尊い!


私はトワさんとまだ絡んでいない皆さんを、時雨さんのように紹介していった。


トワさんたちが嬉しそうで楽しそうな姿を見ていると、胸の奥がじんわりと温かくなった。


……あっ、思い出すだけで涙と鼻水が。


「お!どうしたんだ歌羽!?腹でも痛いのか!?それとも疲れたのか!?」


「違うっすよ団丸(だんまる)さん!はははははー。この天音歌羽の体力をみくびってもらっちゃ困ります。うらぁーー!」


「そうか!さすが歌羽だな!おいらも負けないぞー!がははははー!」


——あっ、急にすみません。

今、団丸さんと深夜の城内で絶賛訓練中です。

このお城、広いから走り甲斐があるんだよね〜。


「あぁ〜夜風が気持ちいいっすね〜。明日も休みだし最高な気分ですよ〜」


私がそう言うと、団丸さんが目を輝かせて言った。


「歌羽は明日休みなのか?おいらもだ!じゃあ明日、町へ出て走り回ろう!がははははー!」


「ええー!まぢっすか!行きたいっす、行きたいっす!」


私のあまりの勢いに、団丸さんはきょとんとしたまま、素直に尋ねた。


「歌羽は町に行きたかったのか?どこか行きたいところがあるのか?」


「ありますとも!ありますとも!」


私の返答に、団丸さんは豪快な笑顔を浮かべ、嬉しそうに言った。


「そうなのか!それなら明日は歌羽の行きたいところに行こう!」


「本当ですか!やったーー!」


「よし、もう一周走るぞー!おいらに続けー!」


「うっしゃあ〜!負けませんよ〜!」


私は嬉しさのあまり、全速力で団丸さんの後を追った。


「歌羽そんなに明日が楽しみなのか!がははははー!」


「はははははー!楽しみに決まってるじゃないですかー!」


静かな城内に、私と団丸さんの笑い声が響く。

明日が楽しみで仕方がなかった。


──だって。

私の夢が叶うんだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。