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道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


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第90話 皇帝の寝室から掘り出されたもの

「ここが我が主の部屋である」


 王離は琅宋(ろうそう)のプライベートの部屋に連れてくれた。


 本当にフリーパスだった。

 おそらくこの周りには誰も近づかないように言われているのだろう。


 私は部屋の中をウロウロ歩き回る。


 特に何かを探している風でもなく、ただ歩き回っているだけ。


 私が手に持つツタの塊が、ピクリと動いた。ここだ。


「ねぇ、ここの床を剥がしてくれない?」


 私は振り返って、王離に言う。

 琅宋(ろうそう)の寝台の下の床を剥がすようにと。


 私の言葉に頷く王離の背後には、青い顔色をしている力仕事要員の人たち。


 確かに、今日の琅宋(ろうそう)が寝る部屋が無くなるということだよね。でも部屋はたくさんあるようだから、その辺りの物置でも開ければいいと思うし……私が物置でいいよ。


 なんだか、部屋が広くて居心地が悪いし。


「ここにコレの本体があるから、さっさと剥がして」


 私はぐるぐる巻のツタをブンブンと振り回す。


「おおおおお! それをそのように振りまわすのではない! この床を剥がせ」


 王離が慌てて、部下たちに命じる。

 あとこのツタの中身は鳥の死骸だから、別に生き物じゃないよ。



 そして一刻(二時間)かけて床が丁寧に剥がされ、更にその下を掘るのに一刻(二時間)かかった。


 ちょっと時間がかかりすぎじゃない?


「暇。もう少し、早くできたんじゃないの?」

「まずは部屋の物を外に出すことから始めないといけなかったからだろう?」


 私が現場の監視員のように長椅子に座って暇を持て余していると、隣から呆れたような声が聞こえてきた。


琅宋(ろうそう)、って暇人?」


 そう皇帝である琅宋(ろうそう)がここにいるのだ。


「もうすぐ、掘り起こされると連絡がきたから見に来たのだ」

「別に面白いことはなにもないのに?」


 私の予想が正しければ何も面白いことは何もない。


「一気に持ち上げろ」

「そこに当たるぞ」

「丁寧にだ! 丁寧に扱え!」


 そろそろ埋まった物が出てきそう。


 私は力仕事要員が増えた部屋の一角を見る。十人ぐらいで、持ち上げられる物。

 大なは箱型のもの。それも装飾が豪勢です。まるで高貴な人の持ち物のよう。


 ただ敢えていうのなら、それはまるで木棺のようだね。それほど大きなものが剥がされた床の穴から出された。


「五本指の龍が描かれているね。これに見覚えはある?」


 私は隣にいる琅宋(ろうそう)に尋ねる。

 だが、琅宋(ろうそう)は蒼白の顔色をして木棺をガン見しています。


 まぁ、まさか自分の寝台の下に棺が埋まっているとか気味が悪いよね。


 さてと、私は立ち上がる。


 そして、床の上に散乱している土を踏みしめながら、近づいていく。

 その木棺の上にドンとツタの塊を置いた。


「霍道士! 扱いは丁寧に!」


 はいはい、王離うるさいよ。木棺には傷はついていないからね。


「はぁ、これあまり得意じゃないんだよね」


 私は左手で召請印を組む。

 あ、その前に一言言っておかないと……そう思って振り返った。


「今から外法を使うからさぁ。あまり得意じゃないから、失敗したらごめんね」

「今、言うのは違うのである!」


 王離は慌てて、琅宋(ろうそう)を隣の部屋に移動させている。

 だって、使い方が違うけど、これを話させるためには必要なんだよ。


「ノウモウラチノウチラヤ・ダモガリチエイ・マカヤキャシテイ・サッチエイバジネイ・ソワカ」


 呪言を唱えて、仙嚢から出した水をツタの塊にかける。そして葉っぱをツタから出ているくちばしに挟んだ。

 これは話すための舌の代わり。


 よし。

 左手を皿のような形にして、閼伽の印にする。


「ナモ・サンマンダ・ボダナン・キリク・カ・ソワカ」


 唱え終わったと同時に、札ごとツタを取る。

 すると葉っぱを咥えた梟鳥(シャオニャオ)が姿を現した。


 さて、上手くいったかなぁ?

 この手の呪法は分野が違うから失敗している可能性があるんだよね。


「名前、教えてくれるかなぁ?」


 さて、これで素直にこの鳥が話せば、成功なのだけどね。



『余は、朔栄帝である』


 ……誰だよ。


「ちょっと、この名前に覚えある? 皇帝ぽいのだけど?」


 私が振り返って尋ねると、何故か琅宋(ろうそう)はじめ、平服していた。

 いや、だから誰だよ。


 私は確証が欲しいのだけど?


「先々代の皇帝です」


 硬い口調の琅宋(ろうそう)が答えた。

 やっぱり、予想通りの先々代の皇帝か。


「霍道士よ。尋ねたい。今の術は何をした?」


 そしてこの状況を琅宋(ろうそう)に聞かれたので、簡単に答える。


「鳥だとしゃべれないので、話せるようにしただけ、あと素直に話せるようにだね」

「……」


 なに? 王離、その理解不能という感じの視線は?

 この鳥のままでは人の言葉を話せないじゃない! これって大事だよね!


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