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道士の私が仙女になれない理由〜後宮が三食昼寝付きって本当?〜  作者: 白雲八鈴


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第85話 蝶は……

 私はぐっすりと寝て、翌昼過ぎにとある人物を訪ねていた。


「あら?貴女はいつかいらした霍家の……」

「霍道士です。数日ぶりです許夫人」


 そう私は墓守をしている許夫人の下を訪ねたのだ。


「少し散歩にいきませんか?」

「ええ、いいですよ」


 老夫人の墓守の女性の手をとって、私は先々代の皇帝の広くて人気が無い陵墓へ続く道を歩く。


「どうかされましたか?」

「あの許夫人がおっしゃっていたのは、誰のことなのか確認をしたかったのです。誰の目があるのかと」


 私は饕餮(とうてつ)と繋がりがある炎駒えんくのことだと思った。

 何故なら許夫人が高家を訪ねるようにいい、そこには饕餮(とうてつ)が封じられていたからだ。


「答える前に霍道士、貴女はどこまで真実にたどり着けたのですか?」


 真実ですか。

 私はどれが真実なのかはわかりません。

 なぜなら、二十年前のことと、現在起こっていることは、全く別ものだと考えていい。


「高家の地下深くには饕餮(とうてつ)が封じられており、高家は贄を差し出していたというぐらいでしょうか?」

「どこからそのような太古の妖魔の名が出てくるのです」

「は?」

「え?」


 許夫人の言葉に足を止めて、思わず『許夫人が高家に行くように助言をくれたのでは』と言いそうになり、口を噤んだ。


 もしかして私は知らなくてもいいものを掘り当ててしまった?


 許夫人も私の顔を見て固まってしまっているので、予想外の言葉だったのだろう。


「ちょっと待ってください。許夫人は何を私に見つけてほしかったのですか?」

「……そそそそそこまでのものが……あの……屋敷に……」


 ものすごく動揺してしまっています。

 そして、大きく息を吐き出した許夫人は落ち着きを取り戻し話してくれました。


「外法と呼ばれる術があると、高耀が教えてくれたのですよ」


 高家が外法を使っていた?

 これはあり得るかもしれない。あの地下を高美人が使用していたというのであればという話なのだけど……どうも最近も使われていたから何ともいえない。


「蝶はね。目と言っていたのよ」

「目?」

「覗き見よ」


 ん?もしかしてこれのことを言っていた?


「ああ、高耀のことを言っていたのではないのよ。だって、彼女は死んでしまったもの」


 ということは、高美人は誰かに言われて、何かを見るように言われていたということ?

 しかし、殭屍(キョンシー)は高皇妃だった。


 ならば高美人ではないのかと、死後目撃された白い蝶を飛ばしていた女性が誰かと言うことになる。


 しかし、首都の瑞曉(ずいきょう)からここまで馬車で半日。白に乗って飛べば半刻(一時間)


 もし、騎獣に乗れば一刻(二時間)若しくは一刻半(三時間)でここまで来れる。


 余裕で日付をまたぐ前には戻れる。だから……高皇妃……当時は皇太子妃か。いやいやいや、皇太子妃ってそんな自由なの?


 ただ、それが可能が人物がいるのも事実。


「その外法で、何をやっていたのかは教えてはくれませんでしたが、おそらくそれがきっかけで殺されたのだと思います」


 結局、高美人は誰に殺されたのかはわからないと。しかし、私が知りたいのはそこじゃない。


「許夫人。誰の目があるのかいい加減に教えてください」


 すると、許夫人は首を横に振る。

 周りには人の気配もないし、術が発動している感じもない。

 高美人が目として使っていた蝶がとんでいるわけでもない。


「では、炎駒(えんく)の目ではない?」

「え?麒麟様がなぜ?」


 やはり、炎駒(えんく)のことは別件になるのか。

 饕餮(とうてつ)の存在を知らなかったということは、炎駒(えんく)の正体に気づく理由もない。


 では炎駒(えんく)が何かしら企んでいる件は、今回のことから外していい。

 高家が饕餮(とうてつ)と関わりを持っていたということはいらない混乱を招くので、一旦横に置いておく。


「まだ、冬に蝶は見ますか?」


 すると許夫人の肩がビクッと震えて小刻みに揺れている。


「それは冬だけですか?」

「……ええ」


 冬だけに現れる蝶ですか。


「ただ、ここ数年は現れていません」

「具体的な数字を教えてください」

「三年です」


 三年……三年ということは……私は小高い丘と言っていい陵墓を見る。

 もう一度確認しておきたい。


「今から私が行うことを知らなかったこととしていただけませんか?」

「それは、やらなければならないことなのかしら?」

「はい」

「そう、私は少し散歩をしてから戻ることにするわ」

「ありがとうございます」


 私はお礼を言い、先々代の皇帝の陵墓に向って行ったのでした。


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