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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第4章「夜叉衆暗躍編」
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第99話「地下に眠る起爆装置」

ドン……。


ドン……。


地下深くから響く振動が、四人の足元を揺らしていた。


蒼真は玄岳と向かい合ったまま、奥の通路へ視線を向ける。


「……あれは何だ」


玄岳は答えない。


黒雷だけが、身体の周囲を激しく走っていた。


「気になるなら、俺を倒して確かめろ」


「そういうことかよ……!」


蒼真が踏み込む。


「風遁・風纏!」


一瞬で間合いを詰め、風影刀を振り抜く。


ガキィン!


玄岳は黒雷をまとわせた腕で刀を受け止めた。


「まだ甘い」


「くっ……!」


黒雷が刀身を伝ってくる。


蒼真はすぐに刀を引いた。


バチッ!


足元の地面が弾ける。


「近づくだけじゃ勝てないか」


玄岳が笑う。


「お前は風を操る。ならば、風を使えない場所ではどうする?」


蒼真は周囲を見る。


地下空間には蒸気と煙が充満していた。


風の流れが乱れている。


しかし――。


「風は消えたわけじゃない」


蒼真は目を閉じた。


「流れが見えないなら……感じる」


玄岳の黒雷が動いた。


「黒雷遁・雷鳴煙!」


黒い煙が一気に広がる。


視界が完全に消えた。


「蒼真!」


凛の声が響く。


「大丈夫!」


蒼真はその場から動かなかった。


煙の中で、微かな空気の揺れを感じる。


右。


そして――左。


「そこだ!」


蒼真が刀を振る。


ガキィン!


玄岳の黒雷とぶつかった。


「……!」


玄岳が初めて目を見開く。


「見えているのか?」


「見えてない」


蒼真は刀を押し込む。


「感じてるだけだ!」


二人の攻防が激しくなる。


一方、蓮司。


土牢の中に閉じ込められていた。


「まずいな……」


壁は厚い。


刀で切っても、すぐに土が崩れて塞がる。


敵が外から声を飛ばす。


「そのまま閉じ込めておけばいい」


蓮司は刀を握り直した。


「そうはいかねぇよ」


壁に手を当てる。


そして、自分の周囲を確認する。


「……土ってことは、力を受け流せる場所もある」


蓮司は刀を土壁に突き刺した。


「ここだ!」


刀を横へ滑らせる。


ズズッ……。


壁に亀裂が走った。


敵が気づく。


「何をしている!」


蓮司は笑った。


「お前が作った壁だろ?」


亀裂を蹴る。


ドゴォン!


土壁が崩れた。


蓮司は土煙の中から飛び出した。


「だったら、壊し方も分かるってことだ!」


敵が拳を振り抜く。


蓮司は受け止めない。


身体を横へ流し、拳の勢いを利用する。


敵の身体が前へ流れた。


「なっ……!」


蓮司の刀が敵の背後へ回る。


「終わりだ!」


しかし、敵は地面へ手をついた。


「土遁・土壁!」


二人の間に巨大な壁が立ち上がる。


蓮司は舌打ちした。


「まだやるかよ!」


凛の方でも戦いは続いていた。


火遁の忍が、蒸気の中から突然現れる。


「火遁・炎弾!」


炎の弾丸が飛ぶ。


凛は水遁で受け止める。


「水遁・水盾!」


ジュッ!


水蒸気が広がる。


その隙に、凛は村人たちへ駆け寄った。


「みんな、こっち!」


村人を少しずつ安全な場所へ移動させる。


だが、一人の村人がその場に座り込んだ。


「足が……」


怪我をしている。


凛は迷わず肩を貸した。


「大丈夫。私が連れていく」


その瞬間。


火遁の忍が背後から苦無を投げた。


ヒュッ!


レイが二本の短刀で弾き飛ばす。


「凛、下がれ」


「レイ!」


「ここは俺がやる」


レイは火遁の忍と向かい合う。


敵が印を結ぶ。


「火遁・火走!」


炎が床を這う。


レイは後ろへ跳ぶ。


そのまま壁を蹴り、天井へ。


敵が上を見る。


しかし――。


レイはすでに背後へ回っていた。


「遅い」


二本の短刀が交差する。


敵の袖と肩当てが切り裂かれる。


「ぐっ!」


敵は距離を取った。


レイは追わない。


ちらりと凛を見る。


「村人を頼む」


「分かった!」


その頃。


蒼真と玄岳の戦いは激しさを増していた。


ガキィン!


風影刀と黒雷の拳がぶつかる。


蒼真が一歩下がる。


玄岳が追撃する。


「黒雷遁・黒雷走!」


黒い雷が一直線に走った。


蒼真は横へ避ける。


だが――。


雷が途中で分岐した。


「なに……!」


バチィッ!


蒼真の左肩を黒雷が掠める。


「ぐっ!」


蒼真が膝をつく。


玄岳が迫る。


「終わりだ」


その瞬間。


蒼真は地面へ手をついた。


「風遁……」


周囲の空気が動く。


「風刃!」


風の刃が玄岳の足元を切り裂いた。


玄岳が跳ぶ。


その隙に蒼真は立ち上がる。


「……まだ終わってない」


玄岳は左腕を見る。


袖が切れている。


「少しは変わったな」


そして、地下の奥を指差した。


「だが、時間は待ってくれない」


蒼真が振り返る。


奥の通路から赤い光が漏れていた。


「……あれは?」


「起爆装置だ」


玄岳が初めて明確に答えた。


「この地下迷宮の最深部にある」


蒼真は目を見開く。


「じゃあ、あれを止めれば……」


「誘爆印も止まる」


「なら、そこへ行く!」


蒼真が走ろうとする。


しかし玄岳が立ちはだかる。


「俺を倒してからだ」


「邪魔するな!」


「それが第二段階だ」


玄岳の全身から黒雷が噴き出した。


その瞬間。


地下の奥から、巨大な音が響いた。


ゴゴゴゴゴ……。


壁が開いていく。


その向こうに、巨大な円形の装置が姿を現した。


無数の起爆札。


それを繋ぐ黒い管。


中央には巨大な黒い球体。


そして――。


中央の球体に、赤い光が灯った。


凛が息を呑む。


「……あれが起爆装置?」


玄岳が答える。


「そうだ」


蒼真は風影刀を握る。


「なら、あれを壊す」


「簡単にはいかない」


玄岳が印を結ぶ。


同時に、四人の忍たちも動いた。


四方向から攻撃が迫る。


蒼真たちは、それぞれ敵と再び向かい合った。


そして中央の起爆装置が――。


カチッ。


一段階、赤く染まった。


第99話 完

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