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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第4章「夜叉衆暗躍編」
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第100話「四人の忍、最後の壁」

巨大な起爆装置を中心に、四人の忍が散開した。


中央の黒い球体は、一定の間隔で赤く明滅している。


カチッ。


カチッ。


蒼真は風影刀を握り直した。


「……あれを止めればいいんだな」


玄岳が黒雷をまといながら答える。


「そうだ。ただし、お前たちは俺たちを倒さなければ装置には触れられない」


「だったら――」


蒼真が一歩踏み出す。


「全員で突破する!」


その瞬間、四人の忍が同時に印を結んだ。


「風遁・風裂!」


「土遁・岩壁!」


「雷遁・雷槍!」


「火遁・炎牙!」


四つの忍術が同時に放たれる。


「凛!」


「分かってる!」


凛が両手を前へ出した。


「水遁・水壁!」


巨大な水の壁が展開される。


炎と雷が水壁へ突っ込む。


ドォォン!


大量の蒸気が発生した。


だが、土の槍が水壁を突き破る。


「蓮司!」


「任せろ!」


蓮司が前へ出た。


ガキン!


土の槍を刀で受ける。


そのまま力を横へ流した。


「はあっ!」


岩槍の軌道が変わり、敵の火遁忍へ向かう。


「なにっ!」


敵が横へ飛ぶ。


その隙にレイが走った。


「今だ」


二本の短刀が閃く。


雷遁の忍が苦無を構える。


「雷遁・雷刃!」


レイの短刀と雷の刃がぶつかる。


キィン!


一撃。


二撃。


三撃。


互いに一歩も譲らない。


「お前……速いな」


「お前もな」


レイは短く答えた。


雷遁の忍が一気に踏み込む。


「雷遁・雷走!」


姿が消えた。


次の瞬間、レイの背後。


「終わりだ!」


雷刃が振り下ろされる。


レイは振り返らない。


二本目の短刀を背後へ回す。


ガキィン!


雷刃を受け止めた。


「読んでいたのか!」


レイは身体を捻る。


一本目の短刀が敵の腕を狙う。


敵は苦無を離して後退した。


その頃、凛も火遁の忍と激しくぶつかっていた。


「火遁・火球連弾!」


炎が連続して飛ぶ。


凛は水を操りながら避ける。


「水遁・水流陣!」


水の流れが地面を走り、炎の軌道を逸らす。


しかし敵はその水流へ向かって手を伸ばした。


「火遁・爆炎!」


ドンッ!


水流が一気に蒸発する。


凛は顔を腕で覆った。


熱気が皮膚を焼く。


「くっ……!」


敵が接近する。


「これで終わりだ!」


炎をまとった拳。


凛は後退しながら、足元を見る。


蒸発した水が床に残っている。


「……そういうことか」


凛は両手を合わせた。


「水遁・水縛!」


床の水が一気に跳ね上がる。


水の縄が敵の足へ絡みついた。


「なっ!」


動きが止まる。


凛はすぐに起爆装置を見る。


「蒼真!」


「分かってる!」


蒼真は玄岳との戦いを続けていた。


黒雷が地下を走る。


バチバチバチッ!


蒼真は風を纏って避ける。


だが、玄岳の攻撃は速い。


「黒雷遁・黒雷走!」


玄岳が迫る。


蒼真は風影刀を振る。


ガキィン!


刀と黒雷が衝突する。


玄岳の拳が蒼真の腹へ入る。


「ぐっ!」


蒼真の身体が吹き飛ぶ。


ドンッ!


壁に叩きつけられる。


「蒼真!」


凛が叫ぶ。


蒼真は壁に手をつき、立ち上がった。


「大丈夫……!」


息が荒い。


左肩には黒雷による傷。


腹部にも痛みが残っている。


玄岳は静かに歩いてくる。


「まだ立つか」


「立つさ」


蒼真は風影刀を構える。


「仲間がいるからな」


玄岳の表情が僅かに変わった。


「仲間……か」


玄岳は一瞬だけ目を伏せる。


しかし、すぐに構え直した。


「ならば、その仲間ごと試してやる」


玄岳が両手を広げる。


「黒雷遁・黒雷陣!」


黒い雷が床を走った。


四人の忍たちにも雷が繋がる。


「これは……!」


蓮司が足元を見る。


黒雷が四人の忍を通して循環している。


玄岳が言う。


「四人の忍は、俺の黒雷を受け取る器だ」


四人の忍の身体から黒い雷が噴き出す。


風遁の忍が笑った。


「ここからが本当の戦いだ」


土遁の忍が拳を握る。


雷遁の忍が雷をまとわせる。


火遁の忍の炎も、黒雷によって黒く染まっていく。


「まずい……!」


蒼真が叫ぶ。


「みんな、距離を取れ!」


しかし――。


遅かった。


「黒雷連携!」


四人の忍が同時に動いた。


風と黒雷。


土と黒雷。


雷と黒雷。


炎と黒雷。


四つの忍術が一つの攻撃となって襲いかかる。


ドォォォン!


地下室全体が揺れた。


壁に亀裂が走る。


起爆装置の赤い光が強くなる。


カチッ。


カチッ。


カチッ。


凛が村人を見る。


誘爆印の赤色も濃くなっている。


「時間がない!」


蓮司が刀を握る。


「だったら、こいつらを突破する!」


レイが短刀を構える。


「四人を同時には無理だ」


蒼真が周囲を見る。


敵は四人。


自分たちも四人。


そして玄岳。


蒼真は息を整える。


「なら、四人を一人ずつ倒す」


蓮司が頷いた。


「俺は土遁の奴だ」


レイが雷遁の忍を見る。


「俺はあいつ」


凛が火遁の忍へ視線を向ける。


「私は火遁」


蒼真は風遁の忍を見た。


「俺は風遁」


四人がそれぞれ敵へ向かう。


その背後で、玄岳が動いた。


蒼真が振り返る。


「玄岳!」


「お前たちが四人を倒す間――」


黒雷が玄岳の身体を包む。


「俺は起爆装置を守る」


蒼真の表情が険しくなる。


「……そう簡単にはいかない」


玄岳が笑う。


「なら、証明してみろ」


五つの戦いが同時に始まった。


そして起爆装置の赤い光が――。


これまでで最も強く輝いた。


第100話 完

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