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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第4章「夜叉衆暗躍編」
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第101話「風を読む者と風を操る者」

地下室を駆け抜ける四つの影。


蒼真の正面に立つのは、風遁を操る忍。


その周囲には、絶えず風が渦巻いている。


「お前とは一度、風だけで勝負してみたかった」


風遁の忍が印を結ぶ。


「風遁・旋風刃!」


鋭い風の刃が横一列に放たれた。


蒼真は身体を低くする。


頭上を風刃が通過する。


一枚。


二枚。


三枚。


「まだだ!」


敵が腕を振る。


風刃の軌道が途中で変わった。


「……!」


蒼真は咄嗟に風影刀を構える。


ガキィン!


風刃が刀にぶつかる。


その勢いで蒼真の身体が後ろへ滑った。


「ただの風刃じゃないな」


「地下の風は複雑だ。だからこそ、俺には有利なんだ」


敵が地面を蹴る。


「風遁・風走!」


一瞬で距離が縮まる。


蒼真も風を纏う。


「風遁・風纏!」


二人の姿がぶつかった。


ガキィン!


刀と苦無。


一撃。


二撃。


三撃。


互いに距離を取る。


蒼真は息を整えた。


敵の動きは速い。


だが、それ以上に厄介なのは周囲の風だった。


敵は風を生み出すだけではない。


既に存在する風まで利用している。


「なるほど……」


蒼真は目を細めた。


「俺と同じように、風を読んでるのか」


「違う」


敵が笑う。


「俺は風を支配する」


その瞬間、地下通路の空気が一気に動いた。


「風遁・風圧!」


ゴォォォッ!


巨大な風圧が蒼真を吹き飛ばす。


「ぐっ!」


蒼真は風影刀を地面へ突き刺した。


ズザザザッ!


それでも身体は後退していく。


壁まであと数メートル。


蒼真は足に力を込めた。


そして――。


風の流れが一瞬変わった。


「……そこだ」


蒼真は刀を抜いた。


風圧に逆らわず、身体を回転させる。


風に乗った。


敵の横を一気に通り抜ける。


「なにっ!」


蒼真の風影刀が敵の腕を浅く斬った。


「ぐっ!」


敵が後退する。


蒼真は追撃しない。


「お前は風を支配してる」


敵が腕の傷を見る。


「それがどうした?」


「でも、風そのものには逆らえない」


蒼真は周囲を見渡す。


「風は必ずどこかへ流れる」


敵の目が細くなる。


「……」


「だから俺は、その流れを使う」


蒼真の身体を風が包む。


一方、その頃。


蓮司は土遁の忍と激突していた。


「土遁・岩拳!」


巨大な土の拳が迫る。


蓮司は受け止めない。


横へ流す。


ドゴォン!


拳が壁へ叩き込まれる。


「また受け流したか!」


「力任せじゃ、お前には勝てないからな!」


蓮司が踏み込む。


しかし地面から土の杭が突き出した。


「土遁・地槍!」


「くっ!」


蓮司は後ろへ跳ぶ。


その瞬間、土遁の忍が地面へ潜った。


「どこだ……!」


静寂。


蓮司は刀を構えた。


次の瞬間――。


足元。


「しまった!」


土の腕が足を掴む。


「土遁・土縛!」


蓮司の身体が引きずり込まれる。


「うおおっ!」


蓮司は刀を地面へ突き刺し、踏ん張った。


「こんなところで……負けられるか!」


その頃、レイは雷遁の忍を追っていた。


速い。


一瞬姿が消える。


次の瞬間、背後。


「雷遁・雷刃!」


レイが振り返る。


ガキィン!


短刀で受け止める。


しかし敵はすぐに離れる。


「……」


レイは敵を見失った。


静かだ。


雷の音すら聞こえない。


「隠れたか」


レイは目を閉じる。


足音はない。


気配もない。


だが――。


「雷なら、音が残る」


レイが振り向いた。


「そこだ」


短刀を投げる。


ヒュッ!


壁の陰から敵が飛び出した。


「読んだだと!」


レイはもう一本の短刀を握っている。


「音だけじゃない」


雷の微かな光を見ていた。


「光も残る」


二人が再び激突した。


そして凛。


火遁の忍が黒い炎をまとって迫る。


「火遁・黒炎弾!」


凛は水壁を展開。


ドンッ!


水壁が大きく揺れる。


「普通の火遁じゃない……!」


黒雷によって炎の威力が増している。


凛は水を集中させる。


「水遁・水槍!」


鋭い水の槍が放たれる。


敵は黒炎で弾く。


「効かない!」


凛はすぐに次の術へ切り替えた。


「水遁・水縛!」


水の縄が敵の腕へ絡む。


だが黒炎がそれを焼き切る。


「だったら……!」


凛は周囲を見る。


地下室には水蒸気が漂っている。


「水は、もう十分ある」


両手を広げる。


「水遁・水流陣!」


床に残った水が一斉に動き出した。


黒炎の忍が足を取られる。


「何っ!」


凛は水流を一点へ集める。


「今度は逃がさない!」


四人の戦いが続く。


その中央では、玄岳が起爆装置の前に立っていた。


蒼真たちの戦いを静かに見ている。


そして――。


中央の黒い球体が、再び明滅した。


カチッ。


玄岳が呟く。


「あと少しだ」


その声を、蒼真は聞き逃さなかった。


「……何?」


蒼真が玄岳を見る。


敵の風遁使いが隙を狙って突っ込んできた。


「余所見をするな!」


風刃が迫る。


蒼真は振り返らない。


「分かってる」


風影刀を横へ振る。


敵の風刃を斬る。


そして、そのまま敵の懐へ。


「風遁・風刃!」


ザンッ!


敵の肩を斬り裂いた。


「ぐあっ!」


敵が後退する。


蒼真は玄岳を睨む。


「あと少しって……何分だ」


玄岳は答えない。


ただ起爆装置を見る。


蒼真は確信した。


「……時間が決まってるんだな」


玄岳が初めて笑った。


「気づいたか」


「なら、その時間までにお前を倒す」


蒼真は風影刀を構える。


周囲の風が集まり始めた。


「今度は俺が、風を支配する」


風遁使いも再び構える。


「やってみろ!」


二人の風が激突する。


地下室全体が大きく揺れた。


そして起爆装置の赤い光が――。


また一段、強くなった。


第101話 完

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