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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第3章「風遁修行編」
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第81話「最後の一手」

四人が一斉に駆け出した。


対する迅牙も地面を蹴る。


「雷遁・瞬雷歩!」


バチィッ!


雷が弾け、迅牙の姿が消える。


「蒼真!」


蓮司の声。


蒼真は目を閉じた。


風が森を抜ける。


木々の揺れ。


葉の動き。


そして――迅牙が生み出す、わずかな風の乱れ。


「右!」


蒼真が叫んだ。


蓮司が振り向く。


「そこか!」


木刀を横薙ぎに振る。


ガキィン!


迅牙の刀を捉えた。


「止めた!」


だが、迅牙は口元を上げる。


「それはどうかな」


バチッ!


雷が刀から蓮司へ流れる。


「ぐあっ!」


蓮司の身体が硬直する。


迅牙が刀を引き抜こうとする。


しかし――


「水遁・水縛!」


凛の水が迅牙の腕へ絡みついた。


「今です!」


「任せろ!」


レイが飛び込む。


二本の短刀が迅牙へ迫る。


迅牙は腕を振り、水縛を引きちぎる。


そのまま身体を低くする。


短刀が頭上を通過した。


「甘い!」


迅牙がレイへ斬り込む。


キィン!


レイが一本で受ける。


二本目で迅牙の刀を弾く。


「まだ!」


レイが踏み込む。


しかし迅牙の足元に雷が走った。


「雷遁・瞬雷歩!」


「……!」


迅牙の姿が消える。


レイの背後へ回った。


刀が振り下ろされる。


その瞬間――


「風遁・風壁!」


ドンッ!


風の壁が迅牙を横へ吹き飛ばした。


迅牙が木へ叩きつけられる。


「ぐっ……!」


蒼真が風影刀を構える。


「もう、お前の動きは見えてる」


迅牙が立ち上がる。


「見えている?」


「ああ」


蒼真は風を感じ続けていた。


「お前が雷遁を使うと、必ず周囲の風が乱れる」


「……」


「だから、速くなっても完全には消えない」


迅牙が笑う。


「ならば――」


刀を逆手に持ち替えた。


「風が乱れる前に斬ればいい」


迅牙が走る。


雷は使わない。


「速い!」


蒼真が迎え撃つ。


ガキィン!


刀と刀がぶつかる。


迅牙が連続して斬り込む。


ガン!


ガキン!


キィン!


蒼真が全て受ける。


だが、少しずつ押される。


「蒼真!」


蓮司が駆け出す。


「来るな!」


蒼真が叫んだ。


蓮司が止まる。


「……!」


蒼真は迅牙の刀を受けながら、わずかに笑った。


「今だ」


迅牙の目が動く。


「何?」


蒼真が刀を受け流す。


迅牙の身体が前へ流れた。


そこへ――


「蓮司!」


「おう!」


蓮司が踏み込む。


木刀を振る。


迅牙が受ける。


ガンッ!


その瞬間、蓮司は力を抜いた。


迅牙の刀を受け止めるのではなく、横へ流す。


「なに……!」


迅牙の体勢が崩れる。


蓮司が身を入れ替える。


「これが修行の成果だ!」


木刀の柄で迅牙の腕を打つ。


迅牙の刀がわずかに浮いた。


「今です!」


凛が両手を突き出す。


「水遁・水槍!」


水の槍が迅牙へ迫る。


迅牙は身体を捻る。


水槍が肩を貫くように通過する。


「ぐっ!」


肩から血が飛ぶ。


だが迅牙は踏みとどまった。


「まだ……!」


最後の力を振り絞る。


「雷遁・瞬雷歩!」


バチィィッ!


強烈な雷が身体を包む。


迅牙が蒼真へ突っ込む。


速い。


これまでとは比べものにならない。


蒼真は風を読む。


「……そこだ!」


風影刀を振る。


ガキィィン!


迅牙の刀とぶつかった。


雷と風が激しくぶつかり合う。


「うおおおおっ!」


「はああああっ!」


二人の足元の地面が砕ける。


だが――


迅牙の雷が少しずつ弱くなっていく。


蒼真はそれを感じ取った。


「今だ!」


レイが動く。


迅牙が振り向く。


「!」


二本の短刀が左右から迫る。


迅牙は一本を弾く。


もう一本も刀で受ける。


そこへ凛。


「水遁・水縛!」


水が迅牙の両足を絡め取る。


「くっ……!」


さらに蓮司が踏み込む。


「これで終わりだ!」


木刀が迅牙の刀を弾き飛ばした。


カランッ。


刀が地面へ落ちる。


迅牙の身体が止まった。


蒼真が風影刀を突きつける。


四人が迅牙を囲む。


誰も動かなかった。


迅牙は荒い息を吐きながら、地面に落ちた刀を見る。


そして――


「……俺の負けだ」


森に静寂が戻った。


だが、蒼真は風影刀を下ろさなかった。


「夜叉衆として、何をしに来た?」


迅牙は答えなかった。


ただ、蒼真を見つめる。


「その答えは――」


ゆっくり顔を上げる。


戦いは終わった。


しかし、夜叉衆との因縁はまだ終わっていない。


第81話 完

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