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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第3章「風遁修行編」
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第80話「信頼と隙」

「そこが、お前たちの隙だ!」


迅牙が地面を蹴った。


バチィッ!


雷を纏った身体が、一瞬で蒼真との距離を詰める。


「蒼真!」


凛の声。


その瞬間、蒼真は動かなかった。


迅牙の刀が迫る。


ガキィン!


風影刀で受け止める。


「……!」


迅牙の目が細くなる。


「なぜ避けなかった?」


「避ける必要がなかったからだ」


蒼真が刀を押し返す。


「蓮司!」


「おう!」


蓮司が横から飛び込む。


迅牙は後ろへ跳ぶ。


だが、そこには凛がいた。


「水遁・水槍!」


水の槍が突き出される。


迅牙は身体を捻ってかわす。


その着地点には――


「そこだ」


レイ。


二本の短刀が迫る。


迅牙は刀で一本を弾く。


しかし二本目を完全には防げない。


ザッ!


腕に浅い傷が入った。


「……!」


迅牙が距離を取る。


「今のは?」


蓮司が聞く。


蒼真は迅牙を見ながら答えた。


「俺たちが決めた動きじゃない」


凛が気づく。


「それぞれが、その場で動いた……」


「そういうことだ」


蒼真が頷く。


迅牙は四人の連携を読むことで、攻撃の先を予測していた。


ならば――


「決められた動きを捨てる」


レイが短刀を構える。


「その場で合わせる」


「面白い」


迅牙が刀を握り直す。


「なら、それを俺が破れるか試してやる」


バチッ!


再び雷が走った。


迅牙が蒼真へ突っ込む。


蒼真は風影刀を構える。


だが、迅牙は直前で進路を変えた。


「……!」


凛へ向かう。


「凛!」


蓮司が走る。


迅牙が刀を振り下ろす。


ガンッ!


蓮司が木刀で受け止めた。


「させるか!」


迅牙が雷を纏った脚を振る。


蓮司は身体を引いてかわした。


その隙に凛が距離を取る。


「ありがとう!」


「まだだ!」


迅牙が蓮司へ斬り込む。


ガキン!


蓮司が受ける。


二撃目。


ガキィン!


三撃目。


蓮司の腕が痺れる。


「くっ……!」


「正面から受け続けるだけでは――」


迅牙が踏み込む。


「俺には届かない!」


雷が爆ぜる。


バチィッ!


蓮司が後ろへ押し込まれる。


その瞬間。


レイが迅牙の背後へ回った。


「隙ができた」


迅牙が振り返る。


「……!」


短刀が迫る。


迅牙は身体を低くしてかわす。


レイの攻撃が空を切る。


だが、その直後――


「風遁・風弾!」


蒼真の風弾が飛んできた。


迅牙は横へ跳ぶ。


風弾が地面を抉った。


「まだ!」


凛が水を放つ。


「水遁・水縛!」


水が迅牙の足へ絡みつく。


「今度こそ!」


蓮司が突っ込む。


迅牙は足を取られながらも刀を振った。


ガキィン!


蓮司の木刀とぶつかる。


「ぐっ!」


迅牙の動きが止まる。


そこへレイ。


二本の短刀。


さらに蒼真。


風影刀。


四人の攻撃が、ほぼ同時に重なる。


迅牙は水縛を引きちぎった。


バシャッ!


そして刀を横薙ぎに振る。


「雷遁・雷走!」


バチィィッ!


雷の衝撃が周囲へ広がった。


四人が吹き飛ばされる。


「うわっ!」


「ぐっ!」


蒼真も地面を転がる。


迅牙は膝をついた。


肩で息をしている。


雷遁の連続使用で、明らかに疲労が増していた。


蒼真がゆっくり立ち上がる。


「……かなり消耗してる」


迅牙が顔を上げる。


「お前もだろ」


「そうだな」


蒼真は風影刀を構え直した。


「だから、次で決める」


蓮司が立ち上がる。


「俺もいける」


凛も構える。


「私も」


レイが二本の短刀を握る。


「まだ戦える」


四人が並ぶ。


迅牙も刀を構えた。


「来い」


森に静寂が戻る。


次の一撃が、この長い戦いの流れを大きく変える。


蒼真が一歩踏み出した。


「行くぞ!」


四人が同時に走り出した。


第80話 完

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