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影狼ノ忍  作者: 次男坊
第3章「風遁修行編」
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第79話「連携の隙」

森の中。


傷を負った迅牙と、蒼真たち四人が向かい合っていた。


迅牙の肩から血が落ちる。


それでも、その構えには乱れがない。


「来い」


蒼真が風影刀を握り直す。


「次で決める」


「そう簡単にはいかない」


迅牙が低く笑った。


バチッ。


足元に小さな雷が走る。


蒼真は風を読む。


「雷が弱い……」


迅牙の雷遁は、先ほどより明らかに出力が落ちていた。


「今ならいける!」


蓮司が踏み込む。


「おおっ!」


木刀を振り下ろす。


迅牙は刀で受けた。


ガンッ!


蓮司がさらに押し込む。


「今だ!」


凛が水遁を放つ。


「水遁・水槍!」


水の槍が迅牙の横から迫る。


迅牙は蓮司の刀を受けながら身体を捻る。


水槍が肩を掠めた。


「くっ!」


そこへレイ。


「逃がさない」


二本の短刀が左右から迫る。


迅牙は蓮司から離れ、後ろへ跳んだ。


「風遁・風刃!」


蒼真が追撃する。


迅牙は刀で受ける。


ガキィン!


風圧で身体が後ろへ押される。


「今!」


四人が一斉に距離を詰めた。


蒼真が正面。


蓮司が右。


凛が左。


レイが背後。


完全な包囲だった。


迅牙は動かない。


「……」


四人も動きを止める。


蓮司が叫んだ。


「今度こそ逃げ場はないぞ!」


迅牙が薄く笑う。


「そう思うか?」


「何?」


「お前たちは、連携が上手くなった」


迅牙が四人を見る。


「だが――」


刀を下げる。


「動きが素直すぎる」


次の瞬間。


迅牙が地面へ手をついた。


「雷遁・雷走!」


バチィィッ!


雷が地面を走った。


「散れ!」


蒼真が叫ぶ。


四人が同時に飛び退く。


だが――


迅牙は誰も追わなかった。


そのまま蒼真たちの中央を走り抜ける。


「何……?」


蒼真が振り向く。


迅牙は森の奥へ走っていた。


「逃げるのか!」


蓮司が追おうとする。


「待って!」


凛が叫んだ。


迅牙は木々の間で止まった。


「逃げる?」


振り返る。


「違う」


刀を地面へ突き立てる。


「お前たちの連携を崩す」


地面に印が浮かび上がった。


「……!」


蒼真の表情が変わる。


「忍術か!」


「雷遁・雷縛陣」


地面から無数の雷の線が伸びた。


「うわっ!」


蓮司が後ろへ飛ぶ。


凛も水遁で防御する。


「水遁・水壁!」


水の壁が雷を受け止める。


バチバチバチッ!


「凛、無理するな!」


「大丈夫!」


レイが迅牙へ向かう。


「俺が止める」


「レイ!」


レイが雷の隙間を走り抜ける。


迅牙が刀を抜く。


ガキン!


二人の刃がぶつかった。


「また一人で来たか」


「違う」


レイが二本の短刀を交差させる。


「俺が時間を作る」


その瞬間。


蒼真が気づいた。


「……そういうことか」


迅牙の狙いは、最初からレイを一人にすることではない。


四人の位置を分断すること。


そして――。


「蓮司!」


「分かってる!」


蓮司が雷の線を飛び越える。


迅牙へ向かう。


「二人で挟む!」


「来い!」


迅牙が刀を振る。


レイが受ける。


蓮司が横から攻撃。


ガンッ!


迅牙が二人の攻撃を同時に受け止める。


「ぐっ……!」


迅牙の足が沈む。


そこへ凛の水槍。


「水遁・水槍!」


迅牙が刀を引く。


ガキン!


水槍を弾く。


だが――


蒼真が背後にいた。


「終わりだ!」


風影刀を振る。


迅牙が振り返る。


風刃と刀がぶつかる。


ドォン!


風圧が森を駆け抜けた。


四人の攻撃が、一つにつながった。


しかし迅牙は倒れない。


「……まだだ」


肩から血を流しながら笑う。


「今の連携――」


迅牙が四人を見渡す。


「一つだけ足りない」


蒼真が眉をひそめる。


「何が?」


迅牙が刀を構える。


「お前たちは、互いを信じている」


「それの何が悪い?」


「信じすぎている」


迅牙の足元に、再び雷が集まり始めた。


「だから――」


バチッ。


「仲間が動く前提で、自分の動きを決めている」


蒼真の目が見開かれる。


迅牙が踏み込んだ。


「そこが、お前たちの隙だ!」


第79話 完

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